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戦火の孤島  作者: 真那 木屶
七星の魔人
3/40

No.3 異人

 簡単な自己紹介を済ませ、三人は集合をかけたリルという人物のところへ向かう。

 その道中もモンスターに襲われたのだが、ナトゥスが歩行を阻害する雑草を刈り取るかのように討伐した。

 そうして森の中を進んでいくと、古ぼけた大きな屋敷が見えてきた。

 まるで貴族が住むような豪邸を手入れもせずに放置していたかのような、そんな屋敷。

 その庭では三人の人物が篠崎達を待っていた。一人はアレア。

 そしてその向かいで弓の手入れをしている人物と、少し離れた所でその様子を眺めている子供。


「悪い。遅くなった」


 ナトゥスが声をかけると、弓を手入れしていた人物が振り返って眉を顰めた。

 身長は160㎝くらいで、この中だとやや小柄と言える。中性的……というより、女性的な顔立ちで、ナトゥスと張り合うくらいの……超が付くほどの美人だ。

 鮮やかなアイスブルーの髪の毛を、肩にかかるくらいの長さで切り揃えている。


(男……いや、女?)


 問題はその性別だ。

 体格は小柄で華奢。胸は無いが一概に男とも言い切れない体つきと顔。

 少し厚めの上着を羽織っている所為で骨格もよく見えない。

 だが……


「遅い。本当に遅い。待ちくたびれた」

「だから悪いって言ってるだろ」


 ナトゥスに文句を言うその声は、間違いなく男のものだった。

 低く落ち着いたトーンで、ずっと聞いていると眠くなってしまいそうな声。

 見た目とのギャップに、篠崎は思わず苦笑いを溢す。


「お前いっつも遅刻するだろ。ごめんとか言いつつ本当は反省してないんじゃねえの?」

「連絡が回ってくるのが遅いんだから仕方ない」

「お前の足の速さならもっと早く来れるはずだけど。ていうか、俺はちゃんと連絡回ししてるから。お前が連絡を受け取ってから行動に移すのが遅いんだろうが」

「お前のカバーで連絡を回してくれたメルクを置いて来いってか? 森はモンスターの巣窟なのに、後衛のメルクと戦闘に関してはド素人の新人を放り出せねえだろ」


 言い合いをするその男とナトゥスは、どうやら犬猿の仲らしい。

 メルクやアレアが、呆れたような表情でその様子を眺めていた。

 やがてそれも見飽きたのか、アレアが二人の間に短剣を突き出した。

 艶めかしい漆黒の刀身に、二人は息を呑む。


「いい加減にしてくれる? いつもいつも懲りずによくやるよね。学習能力ないの? 頭に脳みそ入ってる? これならまだゴブリンの方が賢いんじゃない? 駄犬とか馬鹿猿みたいにきゃんきゃん喚かないで。一応、君等は人間なんだよ?」

『……すみませんでした』


 表情は一切動かず、その口からは刺々しい言葉がつらつらと出てくる。

 アレアの毒舌は篠崎に対してだけではなく、普段からこうなのだろう。

 ナトゥスやもう一人の男はアレアに頭が上がらないようだ。素直にアレアに対して謝罪の言葉を述べる。

 二人が謝ったのを見て取ると、アレアは短剣を鞘に収めた。


「わかればいい。……さて、全員揃ったし、そろそろいいんじゃない? リル」


 リル、と呼ばれたのは、離れた所で傍観していた子供。

 真っ黒な髪に、澄み渡った青空のような色の瞳。子供特有の柔らかそうな身体。腰には短剣を2本携えている。

 それが、この五人に集合をかけた人物だった。


「そうだな……本題に入る前に、少し自己紹介でもしようか。そいつとは初対面だしな」


 リルは篠崎の方を見てふっと笑った。幼い姿にそぐわない、大人びた笑みだ。


「俺はリルという。一応、此奴らの纏め役だな。

 武器は短剣を2本使っていて、遊撃が専門だ。魔法もそれなりに使える」


 リルの自己紹介を聞いた篠崎以外の四人が、内心で『それなりにって何だよ』と呟いたのは致し方なかった。

 実際、リルはその言葉通り短剣を使った遊撃を専門としているが、実は物理的な攻撃より魔法の方が得意なのだ。

 地風火水は勿論、回復・治癒、時空間など、その他にも様々な属性の魔法を使いこなす。

 普段の戦闘であまり魔法を使わないのは、戦闘力も他とは比べものにならないからに過ぎない。

 勿論、リルとは初対面の篠崎がそんな事を知っているはずもなく、特に疑問は持たず素直に受け入れる。

 ……否、一つだけ、疑問はあった。


「えっと……纏め役って……子供?」


 リルのその見た目から、本当に強そうには見えない。見た目だけなら、ナトゥスやメルクの方が屈強に見える。

 そんな篠崎の内心を理解したのか、リルはしてやったりといった表情になり、他の四人は思い出したくないことを思い出したとでも言うようにリルから顔を逸らす。


「俺を子供だと思うのは、この見た目なら仕方がないな。だが、実際は此処に居る誰よりも……というのは言い過ぎだが、かなり永い刻を生きている。そうだな、大体千年くらいか」

「へえ、千……せ、せんねんっ!?」


 篠崎の声が裏返ったのが余程おもしろかったのか、リルは意地の悪い笑みを浮かべて篠崎を見ている。


「う、嘘だよな……?」

「ああ、うん……嘘、だな。一応」


 どうしても信じ切れずに、助けを求めるような視線でナトゥスを見る。

 歯切れの悪いナトゥスの言葉に若干疑問を抱きつつも、リルをじと、と睨み付けた。


「実際は何歳なんだよ」

「おいナトゥス……このまま騙されていたら面白かったのに。まあいい。実際は三千歳以上だ」

「さん……って、増えてる!?」


 今度は嘘を言っているようには見えず、唖然として口を開けているしかなかった。

 リルは少しばかり残念そうな顔をしつつも、篠崎の反応が面白いのかけらけらと笑い声をあげる。

 他の四人もこうしてリルにからかわれることが多々ある。初対面のときは篠崎と全く同じ反応をした。

 篠崎は悔しそうに眉を顰めながら、纏め役についているのはこの中で一番強いからではなく、この中でも年長だからだろう、と思うことにする。

 そんな篠崎の考えに気がついたのか、ナトゥスが小さく溜息を吐き口を開く。


「あー、なにか勘違いしているようだから言っておくが、其奴は俺たちの中で圧倒的に強いぞ」

「嘘だろ」

「本当だ」


 ナトゥスの言葉を聞いた篠崎は天を仰いだ。

 リルに完敗したような気がした。別に勝負していたわけではないのだが。


「えっと……俺も自己紹介した方がいい、よな?」

「あ、ああ。頼む」


 事の成り行きを見守っていた青い髪の男が、篠崎の様子を見てどこか申し訳なさそうに言う。

 リルの自己紹介だけで疲れきった様子の篠崎を不憫に思ったのだろう。その視線には哀れみの色が宿っている。


「俺はクレイア。弓術師で後衛をしている。お前がこの島に来た時、目の前に矢が刺さっただろ? アレを射たのは俺だ。因みにその後、お前を殴って気絶させたのはナトゥス」

「ああ……あれか。本当にびっくりしたんだからな。目が覚めたら剣を突きつけられてたし」


 まともに動けずにいたところで、目の前に矢が突き刺さった光景を思い出し、篠崎は嫌そうに眉を寄せた。

 その様子を見たクレイアは苦笑いを溢す。


「悪かったって。普通の人間が入ってきたと思って焦ったんだよ。でも気絶させた後よく見てみたら、酷い怪我してたから……取り敢えずメルクに治療してもらって、ナトゥスとアレアに預けて、俺はリルに報告してたんだ。あ、そうそう。一応、この中で連絡を回したり報告をしたりするのと、策を練るのは俺の役目……てことになってる」

「リルが居ればお前が策を立てる必要なんてないし、名ばかりの参謀だな」

「はあ!? リルが居ればお前の戦闘力だって意味ないだろ!」

「俺は囮として役に立ってる」


 また言い争いを始めた二人に、メルクとアレアは盛大に溜息を吐いた。

 そしてアレアが短剣を突きつけ暴言を吐き、二人が謝るという、数分前と同じ光景の繰り返しになるのだった。



 ◇◆◇◆◇



 篠崎も自己紹介を済ませ、前の世界で死んでこの世界に転生したということも教えると、皆一様に驚いた表情になる。

 アレアやリルでさえも信じられないといった表情になった。


「異世界からの転生者がこの島にねえ。さっきの地震と関係あるの?」

「どうだろうな。今起こっている異変は定期的なもので、今までにも同じ事があったが……転生者が流れ着くのは初めてだ」


 定期的、というリルの言葉に、メルク以外は首を傾げた。

 アレアもナトゥスもクレイアも、それなりに長い間この島にいる。

 だが、今回のようなことは初めて経験したのだ。定期的なものならもっと起こっていてもいいはずだ。


「ああ、お前たち三人も異変は初めてか」


 首を傾げる三人に気付いたメルクが、苦笑しながら言う。


「三人の中で一番長い間いるナトゥスでもまだ七百年程度だしな。知らなくても無理ないか」


 七百年というのもかなり長い。

 篠崎は驚いたようにナトゥスを見る。本人は相変わらずの無表情だ。


「いい機会だし、ちゃんと説明しないとな。先ずは『意思の大樹』へ行こうか」

「意思の大樹?」

「ああ。この島と会話出来る場所だ」


 篠崎が聞き返すと、ついて来いというようにリルとメルクが先頭に立って歩き出した。

 四人は顔を見合わせ、取り敢えず二人についていくことにする。


「意思の大樹って、その名の通りでかい木なのか?」

「ああ。俺たちも初めてここへ来た時は、まず最初にそこへ連れて行かれた。そこで今の名前をもらったんだ」

「名前を?」

「俺もアレアもクレイアも、最初からこの名前だったわけじゃない。多分、今からお前も新しい名前をもらうんだと思う」


 新しい名をもらえるという言葉に、少しだけ意思の大樹に行くのが楽しみになる。

 今の名前が嫌いなわけではないが、異世界へと転生したのに日本風の名前なのはミスマッチ感があった。

 その為、新しい名というのには興味が湧いたのだ。

 しかし多少の疑問と不安もある。


「でも、何で新しい名にする必要があるんだ? 名前を変えたとして、メリットがあるのか?」

「この島には色んな精霊が住んでいるんだが、その精霊の名前を付け、精神と肉体に宿らせることで、島に魂が順応する。因みに名付けをしなかった場合、島の『霊気』に魂が耐えきれずに、百年かけて朽ち果てる」


 一切表情を動かさずに、淡々と答えるナトゥス。

 普通に聞くとつい流してしまいそうになる説明らしい説明だが、最後辺りで不穏な言葉が聞こえ、篠崎は眉を寄せた。


「魂が朽ち果てると、どうなるの……? 死ぬとか……?」

「死にはしない。だが、死ぬ以上に恐ろしいと言われているな。俺も詳しくは知らん」


 軽く首を横に振り、知らないと告げるナトゥス。

 死ぬより恐ろしいこと、と言われてもピンと来ないのか、篠崎は首を傾げた。

 というより、名付けにそんな深刻な理由があること自体、まだ未熟な篠崎には理解に苦しむものだった。



「それにしても、リルもメルクも異変のことはわかっているみたいだ。なんで俺たちには、今まで知らされなかったんだろうな。わからないことだらけだ」


 不意に、クレイアが小さな声でそう言った。

 クレイアは、ナトゥスほどではないにしろこの島には長く滞在していた。

 リルやメルクとは良好な関係を築けていたし、島のこともそれなりに知っているつもりだった。

 それでもまだ、この島にはクレイアの知らない秘密があった。

 リルやメルクは隠していたわけではないのだろうが、この長い間に知らされなかったのは寂しいとも思う。

 そんなクレイアの気持ちを理解できるのか、ナトゥスもアレアもただ黙っているだけだった。



 ◇◆◇◆◇



「これは……大樹っていうか、超巨大樹、だろ……」


 意思の大樹を見た篠崎が開口一番に言ったのはそんな言葉だった。

 篠崎の言うとおり、意思の大樹と呼ばれるその木は頂上は霞んで見えないほどに高く、太さも1㎞どころではないだろう。

 これを木と呼んでいいのか、なんて考える篠崎を余所に、リルは意思の大樹へと話しかける。


「久しいな、異人島。四百年振りか」


 リルの言葉が聞こえたのか、意思の大樹がざわりと枝を揺らす。


『リルか。それにメルク、ナトゥス、クレイアとアレアもいるな。もう一人はついさっき引き寄せた奴か』

「ああ。シノザキタクムという。こいつの新しい名をくれないか」


 脳に直接響くような不思議な声。

 聞いているだけで冷や汗が流れ、足が震えてしまうような、そんな声だ。

 その声に驚いた様子もなく、リルは話を進める。

 篠崎を含む他の五人は、意思の大樹の声に身体が強張っていた。


『ふむ。そうじゃな。シノザキといったか。お前は以後、ジュナと名乗れ』

「ジュナ……」

『この島に住む万能の精霊の名じゃ』


 篠崎……否、ジュナの目には、意思の大樹がふっと微笑んだように見えた。

 勿論、木である以上表情なんてものがあるはずはないのだが。

 様子を見ていたリルが、名前の件は済んだと判断し口を開く。


「さてと。名前も決まったし、次は異変についての説明か」

『ああそうじゃったな。リル、任せても良いか』

「はいはい」


 リルは若干面倒くさそうに呟き、説明を始める。


「ナトゥス達はもう知っているかも知れないけど、ジュナも居るしまずはこの島の正体から。この島の正体は、100万年の刻を生きる巨大亀だ」

「……亀?」


 リルの説明を要約するとこうだ。


 この島は世界に1匹しか存在しない巨大亀のモンスターで、海で命を落としかけた人間のうち「普通じゃない者」を選んで引き寄せる。

 自分の周囲に結界を張り、外部の者は異人島を見つける事はできない。意思の大樹を通して島民と会話をする事が可能だ。

 現在、ジュナ達が居る場所は、亀の甲羅部分にあたる。


「えっと、島についてはわかったけど、普通じゃない者って?」

「それについては……そうだな、メルク。お前が説明してくれ」

「了解」


 リルに話しかけられたことで、少しだけ緊張が解れたのか、メルクが口を開いた。


「俺たちはそれぞれ、特殊な力を持っている。スキルとも魔法とも違う、特別な力。俺のは判りやすいから実践して見せるよ」


 そう言ってメルクが取り出したのは、小さくて細い針。縫い針のようなものだ。

 その針をジュナに手渡し、申し訳なさそうに笑う。


「悪いんだけど、その針で俺の指を刺してくれる? 少し血が出る程度に」

「は!?」

「いや、反応としては正しいんだろうけど、そんな目で見ないで。変態を見るような視線を向けないで」


 いきなりおかしな事を言い出すメルクに、訝しげな視線を向ける。

 メルクは耐え難かったのかそっと視線を逸らした。


「取り敢えずやってみろ。やればわかるから」


 その様子を見ていたリルが、苦笑を溢しながら促す。

 たとえ相手に頼まれたとしても、人を傷付けるという行為は気が引ける。

 けれど、早くしろといった視線を向けるリルやメルクに負け、ジュナはメルクの左手人差し指の先に針を刺した。

 少しだけ血が溢れているが、それを拭き取れば何処にあるのか判らなくなるほどに小さな傷。

 それでも、故意に相手を傷付けたことによる罪悪感や背徳感といったものはある。


「これでいいのか?」

「ああ。充分だ」


 眉を顰めながらメルクを見ると、にっこりと笑い返された。

 そして、近くにいたリルやジュナにしか聞き取れないほどの小さな声で「ごめんな」と呟く。

 次の瞬間……。


「いっ……」


 唐突にジュナが小さく声を漏らし、自分の左手を見る。

 人差し指の先から、少量の血が溢れていた。


「え? なんだこれ」

「これが俺の『普通じゃない』力。ダメージを与えた相手に、受けたダメージを押しつける能力。俺の傷は綺麗さっぱり無くなる」


 そう言ってメルクは自分の人差し指の先を見せた。

 血を拭き取った様子は無かったのに、血の痕さえも綺麗になくなっている。


「これはまた……随分と便利な能力だな」

「だろう? 他の四人も判りにくいけどそれぞれ違った能力を持ってる。こんな能力を持っているから、俺たちは『異人』と呼ばれている。異人が住んでる島だから、ここは『異人島』ってわけだ。で、他の人の能力はそのうちわかるだろうから後で説明するとして……」


 メルクはふっと真剣な表情になり、ジュナを見つめる。

 それはリル達も同様で、アレアに至っては敵対的な視線がより強くなっている。


「えっと……なに?」


 そんな視線に耐えきれず、ジュナは絞り出したような声でそう尋ねた。

 それに最初に応えたのはクレイアだ。


「俺たちは、能力を持っている奴を互いに『異人』と認識することができる。本能的に理解できるんだ。子が母を母であると認識できるように。そしてここは異人だけが流れ着く異人島……それなのにお前からは何も感じない。至って『普通』なんだ。お前の雰囲気は」


 クレイアにそう言われ、ジュナは漸く自分が向けられている視線の意味を理解した。

 恐らくこの五人は、『普通』の人間よりも数倍、下手をすれば数百倍強い。

 強い者からすれば、弱い者は足手まとい以外の何ものでもない。


 アレアが「島に選ばれた」と言っていたのは、異人島に異人だと……強いと認められたということで、恐らくこの世界の人間にとっては栄誉となる。

 クレイアが「普通の人間が入ってきたと思って焦った」と言っていたのは、ジュナから異人としての雰囲気を感じ取れず、何かがおかしいと思ったからだろう。


 だが、例えジュナが異人でもそうでなくても、もう引き寄せられてしまったのだからどうしようもない。


「そんなこと言われたってな……望んでここへ来た訳じゃないんだぞ?」


 引き寄せたのは『異人島』であって、自分の意思ではない。

 言外にそう告げるジュナに、アレアは眉を顰めた。


『そう邪険にするでないぞ、お前達。ジュナは歴とした異人じゃ』


 再び、脳に直接響くような声が聞こえる。


「だったら、何故ジュナからは何も感じない? 何も能力を持っていないように思えるんだが」


 その声を……異人島の声を聞いても、問題なく話すことのできたリルが、異人島に聞き返す。

 相変わらず、他の五人は身体が強張ってしまっていた。


『そうじゃな……「今は」能力を持っていないからじゃろうな』

「今は?」

『ジュナよ。お前はモンスターを見付けたら魔核を食せ。お前はそうすることで力を得る』


 訝しげな表情をするリルをそのままに、異人島はジュナに話しかける。

 ジュナはただ黙って異人島の言葉を聞いていることしかできなかった。

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