5.魔物の森
お待たせしました!
えっ?待ってない?知らないなァ
たのしんでくれれば幸いです
「まだカイトのお父さん帰ってこないねぇ…」
どんよりと曇り天気の悪い朝、当たり前のように食卓に並ぶリコがそう切り出した
「一昨日くらいにお父さんから手紙はきてたんだけどね…『そろそろ帰れると思う』くらいしか内容なかったけどっ…!」
送られてきた手紙をパタパタと振りながら苦笑いをするカイトの母。おかげで少し寂しげなのであった。
朝ご飯の片付けを終わったカイトはリコと一緒に稽古場に向かう道で
「なぁリコー、今日は稽古場の奥の森の方まで行ってみないか?」
と提案した
「確かに毎日しっかり稽古してるけど…あの場所結構危ない所だったと思うんだけど…?それに天気も悪いし…」
訝しげに言うリコ
「いや…まぁ……うーん……どうにかなる!いや!どうにかするさ!!」
「あっ…うん…特に考えてたわけでは無かったんだね…」
カイトを見ながら呆れるリコ。すると少し不満そうにカイトは言った。
「何も考えてないわけじゃないよ?リコも言ったみたいに稽古も欠かしてないし、俺も着実に強くなってる。あと危ないって言っても低級の犬みたいな魔物しかいないから平気だと思う」
「ほんとに?」
心配しつつ首を傾げるリコ。
「ほんとに、最低でもちゃんと逃げられるくらいはできると思う!」
それを聞いたリコは諦めて一つ溜息をつき
「危なそうならすぐ逃げるって約束してね…私も周りを頑張って気にしておくから…」
と言った。
「やっぱり暗いねぇ…」
森の湿った道を歩きながら不安そうに呟くリコ。
「大丈夫だって!危なそうならすぐ逃げるって約束したでしょ?」
とカイトが宥め、リコが返事をしようとしたとき遠くの木の根本の茂みからガサッと音がした。
「魔物…かな?とりあえず離れないでねリコ」
そう言いながらリコの前に立つカイト。言われた通りにおとなしくしてるリコを見てカイトは一歩踏み出し長剣を抜き構える。
「じゃあ一戦やろっか魔物さん!!」
カイトの声をキッカケかのように飛び出してくる魔物。まさに大型犬と同じような形をしているが大きな特徴は顔だろう。その顔には目は無く、大きな鼻と牙を持っている。その鼻を活かし真っ直ぐ突っ込み、飛び掛かってくる魔物に対し剣を左から右に水平に切りつけるカイト。その切っ先は派手な血飛沫を撒き散らしながら魔物の胴体を切り裂いていく。そのまま魔物は地面に「ボトリ」と落ち、動かなくなり霧散した。
「なんか想像以上に弱かったなぁ…血ですごい汚れちゃったけど…」
カイトはそう言いながらに魔物の霧散した場所に落ちる濁った紫色の石を手に取った。
「ほんとに弱かったね?怖い森だって言われてたはずなのに…なんでだろ…」
首を傾げるリコ。血を持っていたタオルで軽く拭きながら
「広いし暗いから迷い込まないように、とかじゃないのかな?確かに小さ過ぎる子とかだと魔物も危ないかもしれないけども…」
とカイトは言った。
「そうなのかなぁ…何か違う気がするんだけどなぁ…」
リコは頬を掻きながら唸っていた。
次回もうちょい進むよ(宣言)