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朽ちる

作者: 武田道子

朽ちる


しわがれたりんごを森の奥で見つけた

つややかだった赤い皮は小じわが寄って

どす黒く色をなくしていた

あちらこちらに虫食いのあとがあった

朽ちるとは悲しいことだと思った

もし私が美しく光る九月のりんごを知らなかったら

この変わり果てた姿を見た私は哀れむだろうか?

森にぽつんと捨てられ

誰からも感嘆の声を上げられることもなく

誰をも喜ばせるすべをなくした

古く汚い廃物に変わってしまっただけのりんごを


人の命もこうして同じように朽ちていくのだろう

つややかな人生が少しずつすり減らされ

魂だけがむき出しになるとき

消えていく肉体

傷んでいく肉体

惜しまれているのは

消え入りそうな一片の思い出

捨てられずに葬られる

それだけの違いが人とりんごを隔てている


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― 新着の感想 ―
[一言]  りんごだってただ朽ちるのではなく、後世に種子を残して朽ちるのではないかな、と思いました。  そして私はりんごが大好きです。
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