遊び。
「おはよー!」
「今何時だと思ってるの?」
「えっと、10時50分かな!」
「集合は10時30分だよ。20分の遅刻。わかる?」
「あははは!ごめんね!」
空には黒っぽい雲が浮かんでいる。
昨日からずっとだ。
そして俺は、約束の5分前から待っていたのに、彼女は20分遅刻してきた。
やっぱりありえない。
俺は彼女に時間厳守について説いた。
彼女は笑っていた。
「で、どこいくの?」
「街にでるよ!」
「さぁ、帰ろうか。」
「なんで!ほら行くよ!」
彼女にむりやり手を引かれ、俺は電車に乗った。
街までは、そんなに時間がかからない。
電車ですぐだ。
「よし!着いた!ほら、✕✕くん、降りるよ!」
「わかってるよ」
彼女に手を引かれる前に、慌てて電車を降りた。
「人多すぎ」
「都心部だからね〜」
「で、どこ行くの」
「これから、遊園地に行くよ!」
「はぁ?」
「行こ!」
俺に反論をさせない彼女。
引きずられるように、俺は遊園地行きのバスへ乗り込んだ。
「着いたぁー!」
「帰ろうか」
「なにいってるの!」
休日ということもあり、遊園地は賑わっていた。
お金を持っていたからよかったけど、
持ってなかったらどうする予定だったんだろう。
それを聞いたら、「私が出す」と言っていた。
それもまぁ、面倒だったので、まだ良かった。
「雨降らないといいね〜」
「そうだね」
遊園地は久しぶりだ。
小学校で家族と来て以来、一回も来ていなかった。
「じゃあ、ジェットコースター乗ろっか!」
「はいはい。」
やっぱり俺は、流されるに限る。
つまらない反抗はしたくなかったし、なにより、
彼女がすごく幸せそうだったから。