さる電車
さる電車
さる電車は終電あとのぷらっとホームにやってきます
必ずくるわくではありません
気まぐれなんです
黒猫のボクは
灯の消えたホームにいます
ボク
今日はさる電車くるかな、、、
暗いぷらっとホームにいるのは
黒猫のボク
赤い服の女の子
酔っぱらいのおじさん
まんまるの御月様
御月様の中から
シュコシュコと煙が、、、
さる電車は
暗いホームに降り立ちました
女の子はママとパパのペンダントロケットを
見せました
おじさんは茶色の封筒を見せました
黒猫のボクはガムの紙をみせました
それがチケットなのです
さる電車の
さる電車の車掌さんは
三人のチケットを切り
さる電車の運転手に号令をかけます
さる電車は出発するのです
シュコシュコ
シュコシュコ
おじさんはポケットから
よっちゃんイカを出し
女の子とボクにあげます
そうなんです
旅はお菓子がつきものなのです
さる電車はたからかに出発します
どこにいくのかな、、、
月夜の晩に
、
、
、
さる電車は
商店街をぬけ
街路樹の下を走ります
道しるべは満月のひかり
街はずれ 最後の街灯を抜けると
トンネルに入ります、、、
暗い 暗い もう使われてないトンネル
月の光もそこには届かないのです
女の子はペンダントのロケットを握ります
黒猫のボクは女の子にピタリと身体をよせます
暗闇に負けそうになりそう
真っ暗闇がみんなのココロを支配しそう
そんな 時 酔っぱらいのおじさんの歌がはじまりました
おじさんは下手くそでだみ声で演歌で、、
何一つ良いとこはありません
でも おじさんは 大きな声で
歌います
その声は光の玉になり
暗闇を駆け巡ります
黒猫のボクは その光の玉を
くわえて トンネルに投げつけます
女の子も立ち上がり 歌います
さるの車掌さんは汽笛を鳴らし
さるの運転手はさらにスピードをあげます
暗闇に乱反射する光の玉
もう怖いことなんてないのです、、、
さる電車は光のアーチを突き進んでいきました
ピーッ シュコシュコ ピーピー
光の三原則は
あわさり白い光になります
プラチナの出口にさる電車は飲み込まれていきます
トンネルを抜けた先に
さる電車はゆっくりと停車しました
おじさん
ここどこだ?
辺りは暗い交差点です
黒猫のボク
乗客の行きたいとこに停まるんだよ
おじさんと黒猫は振り返ります
女の子はいつの間にか交差点にいました
女の子の足元にはお花やお菓子が
たくさん置かれています
さる電車の車掌さんはおじさんに新聞をわたします
さる電車の新聞にこう書かれていました
○月×日 深夜未明 交差点でひき逃げ事件がありました
父親と女の子は即死 母親のみが意識不明
場所は、、
おじさん
ここじゃないか、、!じゃああの女の子は、、
女の子少しづつ影が強くなり
黒くなっていきます
女の子のまわりには取り囲むように
黒い影がまとわりつきます
黒猫は飛び出しました
女の子のまわりの影達を威嚇します
おじさんはどたどたと走ります
おじさん
だめだ! ここじゃないよ お嬢ちゃん
おじさんは振り返りますが
さる電車の車掌さんは悲しそうに首をふるだけです
おじさん
くそ! 自分の意志かぁ
黒猫のボクはジャンプをして
女の子のロケットペンダントの鎖を
くわえてちぎります
黒猫のボク
おじさん!
おじさん
よっしゃあ
おじさんはペンダントあけ
女の子とパパママが楽しそうにしてる
写真を女の子にみせます
おじさん
オッチャンが連れてったる パパんとこ
ここにはいないんだよ
おじさんは泣きながら女の子を抱きしめ
ます
黒猫のボクはロケットペンダントをくわえて
女の子に返しました
ペンダントは光ます 強く
そして あたりの影達を消し去りました
おじさん
さぁ、、行こう
黒猫のボク
切符ないよ 女の子
女の子はあきらめたように
キティちゃんのバッグから
ペコちゃん飴を三つだして
おじさんと黒猫にあげました
女の子
ママからもらったバッグなの
あとパパに貰った最後のお菓子
おじさんは泣いている女の子から
ペコちゃん飴の紙を奪い取りました
おじさん
おい! サル このサル
これがお嬢ちゃんの新しい切符だ
文句あるか あるなら俺が許さねえ
このサル
おじさんは油汗をたらしながら
禿げた頭をみだしながら
酒臭い息を吐きながら
泣きながら叫びました!
サルの車掌さんは
ゆっくりと笑い
どうぞと 女の子を招きいれます
再び汽笛がなります
ピー ピーッ
次のいく先へ出発します
さる電車はゆっくり力強く走りだします
月の光の線路の上を、、、
電車の旅には 楽しい事がたくさんあります
窓からの風
ワクワク ワクワク 次のえき♩
あと ご当地名物
サルの車掌さんがカートを押してきます
サルの車掌
お茶にお菓子に冷たいビール お弁当〜
新宿名物冷凍みかん〜
おじさん
ビール あとイカ
女の子
冷凍みかんください
車掌
お金足りませんね^ ^
冷凍みかんは300円だよ
女の子
、、、
おじさん
冷凍みかんちよーだい
女の子
いらない
おじさん
ちがうよ ちがうよ!!
ペコちゃん飴のお代分だよ
オッチャン ペコちゃん飴死ぬほどすきなんだよ 笑 汗
女の子
ありがとう(๑>◡<๑)
おじさん
あと猫に金缶
黒猫のボク
ないよw
サルの車掌さん
あるよ
おじさん 猫 女の子
爆笑
おじさんはビールを飲んで
黒猫は金冠を食べ
女の子は新宿名物冷凍みかんを食べました
美味しいね 美味しいね♩
ミンナで食べるの美味しいね♩
女の子は冷凍みかんをたべながら
おじさんの似顔絵を書きました
似顔絵のタイトル
新宿名物冷凍みかんってなに?
おじさんはゲラゲラ笑いながら
サルのボッタクリだな
また2人と一匹は
ゲラゲラ笑いました
ミンナ思いました
どこまでも いつまでも
この旅が
続けばいいなぁ
と、、
旅の目的はなんですか?
車内の大きな広告
その広告に2人と一匹は見ないふりをします
おじさん
えっーと 次は温泉あるかな ハハ
猫
修善寺か箱根 希望
おじさん 猫
ハハ(=´∀`)人(´∀`=)
女の子
、、、、
女の子
、、、
女の子
帰らなきゃ、、、
黒猫
だな、、、
おじさん
うんうんと泣きながら頷く
黒猫
あれだよ イマジネーション
目をつむり 想像
パパとママ
女の子
うん
女の子のまわりに光のウズができます
女の子のまわりの光のウズは大きくなります
女の子のまわりの光ウズがやがて
車内を光で埋め尽くしました
光はあまりの密度から逃げるように
さる電車の進行方向へ向かいます
強く 強く
パパ、、、 ママ、、、
おじさん
いけー いけーーーーーーー!!!
黒猫は女の子の袖を引っ張り
なんども引っ張り
バイブレーションを拡散します
女の子の光が
貫くように ビームのように 車掌さんの
頭をビリビリ通り越し
さる電車の運転手さんの帽子を吹っ飛ばしました
もう行き先はきまりました
ミンナは終わる寂しさより
女の子の行くべき場所を強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く
オモイマシタ
おじさん
いけーーーーーーーーーーーーーー!!
.°(ಗдಗ。)°.絶対いけーーーー
猫
、、、、!
さる電車は光ウズの中へ
真っ白は光が
やがて現実的な白い色へ
カーテン
壁
ナース服
病院です
病院の集中治療室です
女の子
ママー ママー ママー.°(ಗдಗ。)°.
ウェッ ウェーン ママーママー
女の子がいくら泣こうが叫ぼうが
ママに声は届かない、、、
触る事も出来ない、、
女の子の背中に懐かしい匂い
女の子
!!
パパーーーーーーーーーーー
パパはにっこり微笑みます
おじさん
どうなるの?
黒猫
選ばないと、、、
パパと行く道と
ママのそばにいる方と
おじさん
酷だな (´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
電車の発車ベルが鳴ります
発車時刻は容赦しません
黒猫
今すぐ決断しないと
永遠に彷徨う魂になる
おじさん
、、、、、
女の子
パパんとこで ママを見る!!
おじさんと黒猫
(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)(;ω;)
パパはママとの結婚式の写真を
さる電車の車掌さんにみせます
チケットは許可されました
電車が発車します
ヂリヂリチリヂリとベルは鳴ります
女の子
ママーママーママーーーーーーーー!
パパは女の子を抱きしめます
電車は病院から出発されました
さる電車に時間と空間の概念はありません
窓から見える景色が
ぱらぱら漫画のように 物語を映し出します
例えるなら 暗闇の連続フラッシュ
裸のママの優しい胸元
パパと看護師さんが笑う
公園でおにぎりを食べ
ボートに乗る
クリスマスの夜
ケーキ
大好きな大好きな
キティちゃんのバッグ
にんじんが嫌だったから捨てた
ママに怒られた
泣いた
パパが抱きしめてくれた
いつも いつも そばにいる
パパとママ
交差点
大きな音
景色は一瞬真っ赤になる
痛い 痛い、、、
身体が熱い、、
ママは遠くに飛ばされる
パパはわたしを抱く でも動かない、、
痛い痛い痛い 苦しい苦しい苦しい
だんだん 景色は暗くなっていきます
最後に景色に映ったものは
叫ぶおじさん2人、、
コロッケの匂いとともに
景色は消えた
黒猫のボク
パパを頭でつっつきました
酔っ払いのおじさん
頑張れ 頑張れ 女の子へ声をかけます
パパは女の子を後ろから抱きしめます
ママの笑顔を思い出して!
女の子は目を瞑りました
パパは女の子と2人でロケットペンダントの写真を握りしめます
景色には2匹の犬がいます
犬達の上には1人の女性がいます
女の子
ママーーーーー!
パパの涙が女の子の膝下に落ちました
パパ
あの子達がママを守ってくれるよ
ぼくたちは先にいかないと
犬達は元気にママのまわりを走り
仕事をし 時には話しかけます
けっしてママがさみしくならないように、、
女の子
キティ、、 しげお、、、
よろしくお願いします
酔っ払いのおじさん
良い挨拶だ!
電車の景色が夕焼けになり
再び あの交差点に到着します
パパ
さぁここからは2人でいかないと
頑張れるね
女の子はうなづく
2人は下車しました
電車は汽笛をたくさんならし
2人の新しい門出を祝福します
シュコシュコシュコシュコシュコシュコ
*・゜゜・*:.。..。.:'・*:.。. .。.:*・゜゜・*
女の子
ボクー おじちゃん ありがとう!!
おじさんとボクはいつまでもいつまでも
手を振ってました
最後にもらったペコちゃん飴を舐めながら
黒猫のボクとおじさんは夜風を浴びながら
外をみています
黒猫のボク
おじさん、、どこいくの?
おじさん
おじさんなぁ、、子供ん時
スーパーヒーローになりたかったんだよ
さる電車の窓の景色が再び真っ黒になります
おじさんの車が赤いサイレンを鳴らし
前の車を追いかけます
おじさんは車内の拡声機で何度も前の車を呼び止めます
車はさらに加速をし
交差点に突っ込みました
交差点の若い夫婦 女の子は車にはねられ
車は逃げ去りました、、、
おじさんは車から転がりおり
若い警察官に車を追うように指示をします
妻はすぐに救急隊に連れていかれ
夫は即死 女の子もすぐに息を引き取ります
肉屋から飛び出した 店主が必死で叫びます
おじさんと店主のもと 女の子は亡くなりました
おじさん
あの女の子 殺したのおじさんなんだよ、、
途中から気づいたけど言えなかった
謝れなかった
おじさんは卑怯な弱虫なんだよ
おじさんが使ったさる電車の切符を黒猫にみせます
茶色の封筒には
遺書と書かれていました
黒猫のボクは
ジャンプをしておじさんにタックルをします
黒猫のボクは
おじさんを噛みつきます
黒猫のボクは
おじさんを舐めます
黒猫のボクは
おじさんのハゲた頭を引っ掻きます
黒猫のボクは、、etc
生きて生ける 五感感情の全てをおじさんにぶつけます!!
それは おじさんが今生きている事を
知ってもらいたいから
ネコとおじさんは泣きました
何も言わず
ただ ただ泣きました
しばらくすると
さる電車の車掌さんが切符の確認にきます
おじさんの封筒をパチリと切り
中から紙を出し
帰りの切符になります
とおじさんに渡しました
車掌さんは
茶色の封筒をビリビリに破き
まどから捨てます
白い紙にはおじさんの文字でなく
こう書かれています
スーパーヒーロー認定書
本日からあなたはスーパーヒーローとして
みんなを守る為に生きる事を命令します
さる電車 管理事務所
おじさんが交差点でおり
ついにさる電車の乗客は黒猫だけになりました
あれだけ 騒がしかった車内も
静かに ゴトゴトと滑車の音だけです
さる電車は 商店街を抜け 繁華街の路地裏につきます
黒猫は赤煉瓦がある繁華街の
青いバケツの上でおりました
月夜と街灯と赤煉瓦は黒猫に似合うのです
さる電車は終点につき
回送電車にきりかわり
車庫へと向かいます
黒猫は闇にとけるように
街中に消えていきました
また次の旅まで
黒猫のボクは少しおやすみするのです
そう月夜の晩まで