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エーデル:マギカ 異世界の教師  作者: かわばんが
5/6

急転

 一糸纏わぬ、正にそれ。

 同姓ものとは違う匂い。まだ少女とかしか呼べないはずの彼女から、女の匂いがした。

 声が出ない。正嗣はまるで初心な男の様に唯たじろいだ。

 生を実感しない心に、確かに劣情が芽生えていた。

 街はコンコンと暗くなってきていた。夜は散らかった町並をシルエットにだけにしていった。

 その中で、少女の一糸纏わぬ身体だけが艶かしく輝いていた。

「先生、、、、、」

 吐息の様な台詞は少女でなく女のそれだった。

 されるがまま。正嗣の首に巻きついた腕は体温をこめられていった。

「ま、待て。待ってくれ、ブリット」

「待って?先生の方からしてくれるってこと?」

「いや、そうじゃなくて、こんなこと、よくないよ」

「何で?普通のことでしょ、若い男女が二人きりですることっていえばこれしかないよ」

「そりゃあそうだろうけど、まだ君とは会ったばかりだし、、、、、いや、そういう問題じゃあ、、」

「もういい、黙ってて」

 ブリットは鼻先で正嗣の唇に触れると、そのまま下に沿わせていった。

 倫理観と衝動に翻弄され目が回る。アルコールも入っていないのに、頭は現在の状況を羅列するのみで、冷静の判断をひたすら拒んでいた。

 二人の身体の距離が縮んでいく。星の微かな光さえも通さぬほど。

「ブ、ブリット、、、、、」

 身体の密着は、彼の倫理観の壁もまた取り去ってしまった。

 気付けば、彼女の身体に手を伸ばしていた。

 もう少しだ、もう少しだと胸の高鳴りだけが正嗣に訴えてきた。

 考えることを止めた。あの時と同じ、歩道橋から身を投げたあの時と一緒。

 目を閉じ、流れに身を任せる。唯、それだけ。

 そう思った瞬間。正嗣の耳に警報が鳴り響いた。

 幻聴?いや、それは確かに現実に鳴り響いていた。

「なんだ?警報!?」

 正嗣が飛び起きる頃には、ブリットはもう着替えを済ませていた。

「先生、先に行ってるね!」

「先に行くって、どこに!?」

 ブリットはベランダの手すりに飛び乗り、ぐっと、足に力を込めた。

「もちろん、怪物退治!!」


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