序章
何事も、道楽です。
仕事の転勤で、この土地に居をかまえたが、この町では、少し変わった慣習や、性癖を持った人が多い。
私は高校の教員として、この町の県立高校に勤めている。29歳、2歳の長男と、半年前生まれた次男、最近太り気味の妻がいる。
転勤して、早くも2年半。生徒達も慣れ親しんで、あだ名を戴いた。根は悪く無いが、傲慢さが大人の頭を悩ますのだ。
しかし中にはとんでもない困ったさんが居るのだが、それは後の話にしよう。
先ず、私がこの土地に引っ越して間も無く起きた出来事から、話すとしよう。
ご近所の挨拶、よそ者に対する警戒心を解いてもらうため、お腹の大きくなった妻の代わりに、私が、挨拶して回る事になった。
<Sさん宅>
私は先ず、お隣の地区長をしてらっしゃるSさんの家に出向いた。
外から見ると、中々摑みどころの無い、田舎の家だった。
「ごめんください。先日越してきました、Aです。」
明るく、振る舞う。人は声の調子でも本質を問われる。何せ、地区長のお宅だ。片手には、簡素ながらお菓子の詰め合わせを、用意して或る。
「はぁーぃ、はい、はい、」
ドタドタと足音が近づく。玄関の鍵がカシャと外され、ガラガラと私と対峙した。
下手で、すみません。慣れない仕事ですから