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第二話:魔力・MPは1

「おい、ここはどこだよ」

「教室にいた・・・よな?」

「確かにいたわよ」


 あの3人組が久志凪より少し離れた場所で慌てふためいていた。今久志凪たちがいるのは地面に大きな円とその中にとても複雑な幾何学模様が描かれている部屋。幾何学模様の線と円のところに均等に置かれている石が光っているおかげで部屋の隅が少し暗くなっている程度には明るくなっている。


 部屋には階段が1つあり、そこから水色のドレスを着た銀髪の14、5歳の少女と6人の鎧を着た人たちが下りてきた。


「皆様よくいらっしゃいました。私はエレーネ・ダクロスと申します。話がありますのでこちらについてきてください」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。ここはどこなんだ?これは何の冗談だ?」

「口を慎め、異世界人。何だその態度は」


 鎧の人の1人がそういったとき、久志凪たち4人は驚いていた。その人の態度ではなく、”異世界人”という単語に。しかし久志凪はすぐにそれを否定した。


「あはは。そうかこれはドッキリか。こんなことまでするなんて最近のテレビ番組はすごいんだな」

「何を言っている。ドッキリやテレビ番組ということの意味は知らんが大人しくついてこい」

「口を慎むのはルシク、お前の方だ。あの方々は我が王国の賓客。粗末な態度はとるな。それが誰のとった態度であろうとそれが王国の総意だと思われるぞ」

「も、申し訳ありません、姫様」


(ここが本当に異世界だとしたら・・・いやそんなことはないはずだ)



 ***************



「もうすぐ父がこちらに参ります。一応頭を下げていてください」


 久志凪たちが連れてこられたのは豪華な椅子が正面に一つあり、大理石のようなもので作られた大きな柱がある部屋。頭上には大きなシャンデリアがある。久志凪たちが最初にいたのは地下室だったらしくこの部屋に来るときにエレベーターのようなものに乗ってきた。そのエレベーターのようなものを見たとき全員安心した。やはりここは地球ではないかと。


 しばらくして扉が開いた。そこから出てきたのは宝石がたくさんついた金色の王冠を冠り、豪華な服を着た30歳前後の男。今までの人たちのセリフを本当だと考えるとエレーネという人の父親であり、王様でもあるはずだ。


「ん?・・・四人?まぁ良いか。私はケルティア・ダクロスと申す。そなたら四人は我が王国、ダクロス王国の賓客である。顔を上げてくれ。そして名を言ってほしい」


 護から順番に陸、梨花。最後に久志凪の順番で答えた。


「うむ。ありがたい。して、アレクよ。確か召喚人数は三人なのではなかったか?」

「はい。設定はそうしました」


 今、この部屋には久志凪たちを除いて3人いる。その三人の内、ケルティアとエレーネ以外の白いローブのようなものを着た50歳くらいの金髪の男がそう答えた。


「ではなぜ四人いるのだ」

「おそらく誤差なのでしょう」

「誤差?」

「はい。召喚用魔法の発現工程はまず設定した能力値より高い人を探します。その中で設定した人数がまとまっているところに座標を合わせます。そして召喚します」

「どこで誤差が発生するのだ?」

「問題は2つあります。一つ目は召喚用魔法が測る能力値は魔力ということです。陛下もお分かりの通り魔力というのはステータスの中でも桁が違います。ということはその下三桁ほどは誤差になってしまい、計算のうちに入らないのです。二つ目は座標の範囲です。範囲は万一動いていても大丈夫なように半径が6メートルに設定されているのです」


 久志凪たち三人(・・)は魔法、魔力、能力値という日常生活では出るはずのない単語を聞いて頭にはてなマークを浮かべていた。


「では中心から遠かった者の魔力は三桁以下というのか?」

「はい。そうなります」


 地下室での位置を覚えていたエレーネが申し訳無さそうに久志凪を見ていた。


「ではステータスを見ればわかるな。その者にはどうするか後で聞くとしよう。アレク召喚した理由の説明を四人に頼む」

「マモル様、リク様、リカ様、クシナ様の内どなたかは分かりませんが、勇者として召喚させていただきました。理由は魔族領にある大国ベルティアの魔王であるクルシュ・ベルティアがこの世界を支配しようとしているので、クルシュ・ベルティアを倒してほしいからです。これは全世界の意思です」


 久志凪たち三人(・・)は頭おかしいのか?痛い子なの?的な目でエレーネ、ケルティア、アレクを見ていた。・・・そうただ一人この事に心を踊らせている人がいた。


「まじかよ!魔王とか魔族とかタカマル!」


 その一人とは陸であった。日頃、普通にしている陸だが実は重度の中二病だったのだ。自室には神話などの本が壁一面の棚に所狭しと置いてあり、休日は時々人気のないところに行って痛い決め台詞を大声で言っていた。


「ちょっと待って。まだあの人達の言っていることが本当とは限らないわ」

「そうだぞ、陸。証拠がないじゃないか」

「ふむ。ではその証拠を見せるとしよう。エレーネ、魔法を」

「分かりました。火球(ファイア・ボール)


 火球(ファイア・ボール)。名前から四人は赤々と燃える火の球が出てくると思っていたが、エレーネの手のひらの上に出てきたのは直径20センチほどの青白い火の玉だった。しかし、一切熱さを感じるとこはなかった。


「・・・魔法」


 その呟きは梨花から発せられたもの。実物を見せられるとあの三人が言っていることを信じるしかなかった。


「魔法!俺にも使えるかな?」

「火属性に適性があれば使えますよ。ではついでなのでステータスを見てもらいましょう。ステータスの出し方は簡単です。心のなかでステータスと念じるか口に出せば現れます」


「ステータス!」


 先程からテンションが上がっている陸は大声で唱え、他の三人は心のなかで念じた。


(ステータス)


 そう念じた途端、久志凪の目の前にたくさんの文字が現れた。




 名前・・・御手洗久志凪(みたらしくしな)

 種族・・・人族


 職業・・・一般人 ランク:F


 基本値

 HP・・・1561

 MP・・・1(*1)


 攻撃・・・87

 防御・・・65

 俊敏・・・91

 知能・・・384


 魔力・・・1(*1)


 成長値

 Lv 0


 HP・・・+0

 MP・・・+0


 攻撃・・・+0

 防御・・・+0

 俊敏・・・+0

 知能・・・+0


 魔力・・・+0


 スキル・・・

 言語取得・串使い(クシマスター)・団子作り・超並列処理”二列”(デュアルタスク)・完全記憶能力”1/2”・スキル連携


 称号・・・

 勇者召喚に巻き込まれた者・どうせチート・どこまでも続く団子愛・准ニート


 ステータスの見方

 ・名前、種族はそのままの意味です。

 ・職業はその時によって変動し、ランクが付けられます。ランクはF~Sまであります。

 ・基本値は今後一切変動しません。成長値によって値は変化します。因みにHPが0になったとしてもすぐには死にません。

 ・スキルは自分が使えるスキルのことです。訓練をすることで増やすことのできるスキルもあります。称号は自動的に増えます。スキルと称号は詳細を見ることができます。




(ちょっと待ってくれます?魔力とMPが1ってなに!?他のステータスとの差が激しいよ!まぁ詳しくスキルとかを見てみるか)



 《言語取得》

 言語を取得しやすくなる。また、翻訳機能もある。

 現在取得済み言語・・・日本語、英語、ダクロス語

 主翻訳先・・・日本語

 異世界転移の特典としてダクロス語を取得


 《串使い(クシマスター)

 串を無から作り出し、それを自由に操ることができる。魔力・MPは消費しない。

 現在最大出力本数・・・5本

 特殊スキル

 ※スキル連携あり。詳しくはスキル連携を参照のこと。


 《団子作り》

 団子を無から作り出し、食べることができる。どのような種類でも可能。また、タレなども可能。魔力・MPは消費しない。

 特殊スキル


 《超並列処理”二列”(デュアルタスク)

 物事を大きく分けて二つ同時に考えることができる。細々としたものは除く。

 ※スキル連携あり。詳しくはスキル連携を参照のこと。


 《完全記憶能力”1/2”》

 見たもの、聞いたことを半分は確実に記憶できる。このスキルによって記憶されたものは決して消えない。

 ※スキル連携あり。詳しくはスキル連携を参照のこと。


 《スキル連携》

 スキルを連携して、新しい効果を生み出すことができる。

 串使い(クシマスター)超並列処理”二列”(デュアルタスク)により最大10本の串を操ることができる。

 超並列処理”二列”(デュアルタスク)と完全記憶能力”1/2”により3/4を確実に記憶可能。


 《勇者召喚に巻き込まれた者》

 本来は転移するはずではなかった人につけられる称号。


 《どうせチート》

 知能が高く、特殊スキルを二つ以上持つ人につけられる称号。


 《どこまでも続く団子愛》

 団子をこよなく愛する人につけられる称号。


 《准ニート》

 学校や仕事があるにもかかわらず、学校や仕事に行く頻度が極めて低い人につけられる称号。



(水はないけど食糧難にならないスキルが有る!?なんかチートっぽいんですけど・・・)


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