第一話:二週間ぶり
御手洗久志凪は常に眠そうな顔をしている高校一年生である。成績、外見は上の下、運動神経も普通。引きこもり気味であることと親が止めなければ三食とも団子を食べようとするほど団子好きであることを除けば平凡であると本人は言っている。
そして団子については「団子は腹持ちがよく、原料は米であるため炭水化物も取れる。そしてたくさん種類があって飽きることがない。つまり団子こそ最強食!」というのが持論である。
そんなどこかズレた自称平凡な高校生は友達がいない。つまりボッチである。これは不登校児なのとコミュニケーション力の無さが招いた結果である。不登校といっても授業日数は足りており、テストの点数もまあまあなので留年することはない・・・はずだ。
今日久しぶり、まぁ約二週間ぶりに登校したのだが、早く来すぎていたため教室には3人しかいなかった。
「お、珍しいな。団子君が登校してるぞ」
教室に入ってきた俺を見てそう言うのは不知火護。このクラスで一番人気のある男子だ。身長190㎝もある長身で顔も整っている。しかも性格もいいので完璧だ。因みに団子君というのは久志凪のあだ名である。このあだ名は決してけなしているのではなく久志凪公認のあだ名なので問題はない。本人はこれを言われた時とても大喜びだった。
「今まで団子食ってたのか? もう二週間過ぎてるぞ。ギャハハ」
この少し性格が悪そうなのは中間陸。こいつも顔、運動神経はいいのでクラスの中で不知火護に次ぐ人気がある。
「あら、本当に久しぶりね。けどそんなこと言ったら久志凪君がかわいそうだわ」
穏やかそうな性格のこの女子は福満梨花。こちらはクラスで一番人気のある女子だ。肌はとても透き通っておりモデルのような体型である。
運が悪いことに久志凪の席はこの3人組のいる席に近いがすべてを無視し、席に着いてそのままうつ伏せになり寝始めた。
それから何分経ったのだろう。だんだんと意識が遠退いていく中その3人は何か焦ったように騒いでいた。そしてその直後、眠りにつこうとしたその時久志凪は体が浮いているような気がして目を覚まし、周りを見ると・・・。