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事故と自己

「緊急搬送です、20代女性、交通事故により意識不明、出血もかなりの量があります。」

「輸血の準備急げ!緊急オペだ。」

「香!香!頼むよ、死なないでくれ!」

「ご家族の方ですか?申し訳ありませんが、ここでお待ちください。」

「香!!」



「ハッ!」

規則的な音が部屋に響いている。

どうやら男は寝ていたようだ。男は、しばらく呆然とチューブを体中につけられ横たわる女を呆然と眺めた。

部屋に、異質な音が響く。扉がノックされたようだ。

「はい・・・?」

「失礼します。」

扉は静かに開くと、背広の男たちを招き入れた。一人の男が胸ポケットから手帳のようなものを出す。

「警視庁の、海野です。」

「同じく、岩崎です。」

「三山優大さん・・・ですね?」

「ええ・・・。」

「今回の事故には、大変お悔やみを申し上げます・・・。しかしながら、辛いとは思いますが事故の詳細を教えて頂けないでしょうか?」

「詳細・・・ですか?」

「三山さん、警察というのは厄介なもので事故である確証を得るまでは、あらゆうる可能性を考えだして疑わなければいけない職業なんですよ。」

「岩崎さん、なにもそんないい方しなくてもいいじゃないですか。」

「いや・・・いいですよ。理解はするつもですから・・・。」

「申し訳ありません、では事故の詳細を教えて頂けませんか。」

岩崎は、椅子を引っ張り出すと座り込んだ。

三山は、どこか緊張を覚えながら静かに思い出した。

「午後8時ころでしょうか・・・香と国道沿いの歩道を歩いていました。ガードレールもなく、私は車道側を歩こうか?と聞いたのですが・・・あの、これは私と彼女のルールみたいなもので右手で手をつなぐというものがありまして・・・そのせいで香が車道側を歩いていたんです・・・。」

「そうですか・・・。それで、どうなったのですか?」

「はい・・・突然です・・・突然、香がフラッとしたら・・後ろから車が・・・。」

「・・・わかりました、江本さんが突然バランスを崩した・・のですね?」

「はい・・・。本当、今でも夢か現実かわからなくて・・・ほんと数時間前までは元気だったんですよ?それなのに・・・。」

「海野、もういい。三山さん、辛いことを思い出させてすみません。あとは、我々が調べますのでどうか、そばにいてあげてください。」

海野と岩崎は、丁寧にお辞儀をすると部屋から出て行った。

再び、部屋は規則的な機械音に支配される。この音こそが、香が生きようと懸命にもがいてる証でもあった。

「香・・・。僕はね、君をとても愛しているんだ、これからも・・・これまでも・・・お願いだ、死なないでくれ・・・。」

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