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一球の軌跡  作者: 蔦田 慧輝
9/13

ベンチ

9.ベンチ


ベットに寝転び天井を見上げる。今日もかなりハードな練習をやったのに眠気には程遠い。無理矢理でも瞼を閉じてみる。すると青弥と奈那美が一緒にいる光景が目に浮かんできた。慌てて目を開ける。口の中で軽く舌打ちする。自分が目論んだことだ。なに今更、狼狽えてるんだ。俺があの二人が中途半端な関係でいることが嫌で、そのままで居られると自分が壊れそうで、今までの関係が壊れそうで…。二人がくっつけば皆が幸せになる。俺も青弥も奈那美も雪乃も。そう思ってやったことなのに。もう一度舌打ちする。なに狼狽えてるんだ。ケータイを手に取ってぼんやりと眺める。時間は11時を過ぎていた。突然、画面に『奈那美』と字が浮かんできた。ベットからガバッと起き上がる。今、青弥と一緒なんじゃないか?なんで電話なんてしてくるんだよ…。わけがわからなくて頭は完璧にテンパっていたが指はゆっくりと画面を押した。

『お、起きてた!』

明るい声が耳に届く。

『お前、ちょっ…今何してんの?青弥と一緒なんじゃ…』

『さくら公園で待ってるよん』

言いたいことを言う前に切られた。なんなんだよあいつ。ため息をつきながら掛けてあるコートに手を伸ばした。

街灯が道を照らすだけであたりは真っ暗だった。寒い。足早に公園に向かうとベンチに一人ポツンと奈那美は座っていた。かなりオシャレしてて今日のために頑張ったんだなと思いつつ、やはり可愛かった。

「早かったじゃん」

奈那美はそう言って軽く口元を緩めた。

「何考えてんだよ。青弥はどーした?」

奈那美は少し俯き、それから顔を上げた。

「告った!…けどフられちゃった」

固まってしまった。言いたいことはたくさんあるんだけど、言葉にならない。少しだけ怒りが込み上げた。誰に対しての怒りかもわからないけど…。それに…どこか気持ちが軽くなってる自分もいた。

「かっこわるいよね…。青弥のことなんて何にもわかってなかったみたいだしなぁ…」

奈那美を見る。少し考えてから言葉にする。

「わかってなかった…ってどーゆーことだ?」

奈那美は肘を抱えて俯いた。さっきまでの無理に作った明るい表情が消える。

「なんで俺なのかな…だってさ。青弥からしたら私なんてただの仲のいい友達だったんだよね」

それはちげーよ。そう言おうと口を開きかけた時だった。

「他にもいい奴いるだろって言われてもわかる訳ないじゃん」

一瞬、息が詰まった。深く息を吸い込み落ち着かせて、そして言葉を発した。

「ホントにわかんないのか?」

奈那美は表情を少し変えた。

「え、わかんないよ…」

あぁそーなんだ。ホントにわかってなかったんだ。俺がどれだけお前のことを見てたのか、どれだけ想ってるのか。ここまで鈍感なら教えてやらないとダメだわ。

「ここにいるじゃん」

つぶやくように言う。奈那美が俺に顔を向けた。

「お前のことちゃんとわかってる奴、ここにいるじゃん」

奈那美は目を見開いた。俺はその目をじっと見つめる。ちゃんと考え、想いを巡らせながらゆっくり言葉にしていく。

「俺はお前のこと一番わかってる自信あるよ。好きなことも嫌いなことも、いつもがんばってることもなんでも一生懸命なことも、少し…いやだいぶ鈍感なことも。んで…青弥のことが大好きなことも。」

奈那美は小さくうなずいた。

「だから…俺の前で強がってても無駄だから。俺の前では素直でいろよ。」

奈那美の目を真っ直ぐ見た。その目はみるみるうちに潤んできて、やがて溜まってたものが決壊した。一度壊れたものは戻るわけもなく、ただなるようにしかならない。奈那美の涙は何回見ても見慣れない。奈那美は口を震わせながら言葉を絞り出そうとしていた。

「あ…ありが…」

「バーカ」

右手を奈那美の頬に当てて親指で涙を拭った。ありがとうなんて言うんじゃねーよ。心の中で呟く。そして乱暴に奈那美の顔を自分の胸に持ってくる。

「ちょっ…痛いよ、バカ!」

「うるせ」

奈那美のさらさらした髪を撫でた。何も言わずに撫で続けた。しばらくすると奈那美の涙は俺の服を濡らすのをやめた。かわりに深くゆっくりと息をしていた。体で奈那美の体温を感じる。奈那美が何か呟いた。

「せいや…」

思わず奈那美の顔を見た。けど奈那美は心地よさそうに目を閉じてるだけだ。寝やがったこいつ。しかも寝言でせいやとか言いやがって。なんか笑えた。上を見るとクリスマスイブの夜空が広がっていた。

結局、奈那美をおぶって家まで届けてあげた。奈那美のお母さんには

『酔っ払って寝てたのを見つけたので届けに来ました』

とキツイ冗談を言ってきた。奈那美の体の感触がまだ残っていてほんのりあったかい。時計をみると1時を過ぎていた。今日はクリスマス。奈那美からはだいぶ余計な、けど少し嬉しいクリスマスプレゼントをもらったな。そう思いながらクリスマスソングを口ずさみながら歩いて帰った。


超お久しぶりです!


ホントに申し訳ない!


野球引退したら書けると思ったけど次は勉強がぁぁぁ


これじゃあ読者が離れても仕方ない…


今回は時間かけて書きました。わりと大変でした。けど自分的にはなんか落ち着きました笑

やっとそれっぽくなって来たかなと

相変わらず雄斗はわけわからんが笑


次回はいつになるかなぁ


雪乃が最近、影薄いから書きたいなと思います

またいつか笑

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