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調査報告

2話目です。

それでは、駄文ですがどうぞ!!

あれから一週間後の朝。


窓から入る日差しで倉成和人は目が覚めた。

手早く制服に着替え、学内の食堂へと向かう。


「お早うございます。えーっと、これとこれと後これも頼みます」


食券を調理のおばさんに渡し、豚カツ定食とカレーにスパゲッティというハードな内容の朝食を頼んだ。

椅子に座り食事をしていると、目の前の席に誰かが座った。


「相変わらずよく食べますね、副長」


「む?ああ、遥君か。その様子だと上手くいったみたいだね」


志水遥は現在、和人の命令でリトルバスターズに潜入している。


「一つ聞きたいんだけどさ、君どういう理由をつけて、あの子達と仲良くなったわけ?」


和人の問いに遥は


「いや……まあいずれ話しますよ。そんなことより、面倒な事が」


和人の眉がピクリと上へつりあがる。


「………何があった?」


「じつは、3日前なんですけど」



彼女の話はこうだ。



「………直枝理樹が襲われただと?」


「はい。聞くところによれば、校舎裏を歩いていたところを誰かに襲われたらしいんです。口と鼻に布のようなものを押し付けられて、気がついたら体育倉庫に閉じ込められていたと。扉も開かないように細工がされていたようです。結果的には理樹君の声を聞きつけた井ノ原君が扉を吹っ飛ばして事なきを得たんですけどね」


「なるほど。道理で今朝から風紀委員室が騒がしいと思った」

ふむ、と考え込むような仕草をする和人。

そんな彼の態度に僅かながら苛立ちを覚えながら遥は話を続ける。


「だから私も調べたんです。そしたら、私達ふうきいいんの部署が絡んでいる事が分かりました。今回の事件に絡んでいるのは内部調整部・特別調査部の可能性が高いんです」



それを聞いた和人は豚カツを口に頬張りながら溜め息をついた。


「……………はぁ。ピンポイントでウチのことっぽいねぇ。こういうのは病気になる元だ。身体にも精神にもよくない。スパイの君にも、計画を進める僕にとっても」


「副長の仕業とは思ってませんよ」


「内部の仕業か」


深い溜め息を吐き、箸を皿の上に置きながら和人は話を進める。


「そもそも『オペレーション・リトルバスターズ』はLBリトバスメンバーを潰す計画じゃない。そこに調査部全体が絡んでるってのがまずおかしい」


この計画を知ってるのは調査部でも極僅かの人間と僕だけだからね、と眼鏡を上に少しあげつつ彼は言う。


「貴方の仕業とは思ってませんよ副長クアエシトール。だけどこんな妙なことが何回も起こったら私が慌ててボロを出してしまいますよ。もしばれたら計画は水の泡、風紀委員会からは追放。リトルバスターズからは完全に敵視されるでしょうね」


遥の言い方に何かを感じたのか、和人も普段とは違う無表情の仮面をつけ、言った。


「分かったよ遥君。調査部を唆した元凶を見つける」


「貴方がそう言ってくれるなら安心です」


遥の顔がホッとした表情に戻る。

それを待っていたのか、和人が問いかけた。


「そうだそうだ、もう一つ君に聞きたい事があったんだ」


「何ですか?」


「我等が標的『リトルバスターズ』とは、どんなんかね?」


そう問われた遥は何ともいえない顔をしながら言う。


「はっきり言って、分かりません。特にリーダーである『棗恭介』とメンバーの一人『来ヶ谷唯湖』は自分の考えている事を他人に悟らせようとしない。あの2人は自分の思いを、自分の考えを霞にかける術を知っている」


「ほう……なるほどね。面白いじゃないか。でも安心したよ。何だかんだ言いながらも普通の学生らしくていいじゃないか。今はね。僕は彼等が制御不能の怪物になるのを望まない。僕の最大の懸念はそこだよ。リトルバスターズが怪物になるとしたら、まず化けるのは棗恭介・来ヶ谷唯湖・能美クドリャフカの三人同時だ。そんな気がしてならない。本当はもっと聞きたい所なんだけど、そろそろ時間だ」


和人はそう言って壁に掛けられた時計を指差す。

もうすぐ朝のHRホームルームだ。


2人は椅子から立ち上がると食堂を後にし、外に出る。




「有意義な話が出来て良かったよ」


「はい。私もです」









「「さあ、授業に行こう」」








教室に向かって歩き出した和人だが、振り返ると同じように教室へと向かおうとしている遥に声をかけた。



「遥君!!『能美クドリャフカが打ち上げたロケットは何本目だ!?』じゃあまたね。ハッハッハ!!」




「あはは、相変わらず陽気な人ですね、副長は」





そして2人は今度こそ別れた。










午前の授業が全て終了し、倉成和人は風紀委員室に戻り、ある人物と話していた。


「忙しいのに呼び出してすまないね、香奈さん」


「いやいや、滅相もないっス」


彼と話しているのは川端香奈。

和人の命令でLBリトルバスターズの監視任務をしていた彼の手駒の一人。


「君を呼び出したのにはそれなりに理由があるんだ。とりあえず、そこの椅子に座ってほしい」


「は、はあ」


「本日付けで、君をLB監視の任から外す。その代わりに、君には『エリス』の管理・副長である僕の補佐をしてもらう」


香奈は副長の言葉に妙な単語が入っていることに気づくと問うた。


「『エリス?』」









「ああ。君と同じ女生徒だよ。女神の、『エリス』」










次話からリトバスメンバーが登場します。

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