風紀委員
頑張ります。
今年も良い年になりますように。
これは、風紀委員会副委員長を務める一人の男と彼を支える人物達の物語である。
「リトルバスターズって、知ってる?」
放課後。
下校時間が過ぎ、溜まっていた風紀委員の仕事をしている志水遥に問いかけてきたのは副委員長の倉成和人だった。
「はい、勿論。彼等は有名ですから。私達風紀委員会のブラックリストに乗せられていますし。っていうか、副長も分かってるくせにそんなこと聞かないでくださいよ。で、リトルバスターズがどうかしたんですか?」
遥がそう言うと彼は薄く笑う。
「ん?ああ、いや別に特に深い意味はないんだけどね」
そう言って遥の方に歩み寄る。
「折り入って君に頼みたい事がある」
…………………………………………………………。
「……それを私にやれっていうんですか?」
遥の声は若干震えていた。
「うん、そうだよ。君にしかできないと僕は踏んだんだ」
表情を変えずに笑みを浮かべながら彼は言う。
「でも、委員長は知らないんじゃ……!?」
「二木委員長?うん知らないよこの事は。僕の独断だ。時期がきたら話すつもりだけどね。でも聞けば必ず納得してくれるはずだよ。これは学内の秩序、ひいてはこの学校すら変えられるんだからね」
「チャンスは今しかない!行くんだ遥君!『operation little basters』を開始する!」
~翌日~
「………それでは今日の風紀会議は終了します。質問のある人は?」
風紀委員室に委員長である二木佳奈多の声が響く。
「あー…、一ついいかな?」
片手を挙げてそう言ったのは副長の倉成和人。
眼鏡を少し上にあげながら席を立つ。
「何かしら?」
「リトルバスターズについてなんだけどさ、彼等に対する取り締まりはどうするの?」
その問いに佳奈多は少し眉を吊り上げたがすぐに表情を元に戻した。
「リトルバスターズに対しては、要注意リストに乗せていつも以上に警戒する。そういったはずよ?」
「そうだったっけ?最近物忘れが激しくってねぇ。ハッハッハ!」
「………はぁ。貴方、仮にも副委員長なんだからもっとそれらしくしてちょうだいね」
笑う彼に対して溜め息を吐きながら佳奈多は部屋を出た。
同時刻・中庭
「もう……どうして私がこんな事を」
面倒くさそうな顔をして屋上から双眼鏡でグラウンドを眺めているのは風紀委員の川端香奈。
「副長がやればいいのに……。私がしなくたってさ」
グラウンドでは複数の少年少女たちが野球をしている。
そう、彼等こそがリトルバスターズ。
風紀委員会のブラックリスト最上位。
簡潔に言うと、彼女が副長から任せられた任務はリトルバスターズメンバーの監視。
「………あれ?あの人は……」
再び双眼鏡で眺めているとリトルバスターズメンバー以外に、見知った顔の人物を捉えた。
「志水先輩がなんでリトルバスターズと一緒にいるの……?」
同僚の志水遥の姿を見た香奈は不思議そうな声をあげ、首を傾げた。
さて、ここでこの学校の風紀委員会の概要を説明しておこう。
風紀委員会は以下の6組織で構成されている。
取締り執行部
風紀特別調査部
特別執行部
風紀尋問部
一般生徒指導部
内部調整部
副委員長である倉成和人は内部調整部。
志水遥と川端香奈は特別調査部である。委員長の二木佳奈多は生徒指導部及び内部調整部所属である。
「リトルバスターズ。僕の期待を裏切らないでくれよ?」
校舎の三階にある風紀委員室の窓からグラウンドを見下ろしながら倉成和人は笑みを浮かべた。