表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

留守番電話

作者: 水瀬 悠里
掲載日:2026/08/02

スマホが震えた。


《新しい留守番電話があります》


知らない番号だった。


再生する。


最初は何も聞こえない。


ザー……


ザー……


古いカセットテープみたいなノイズ。


切ろうとした瞬間。


「……聞こえる?」


女の声だった。


「お願い。気づいて」


そこで途切れる。


いたずらかと思って削除した。


翌日。


また留守番電話。


ザー……


「まだ、消さないで」


心臓が止まりそうになる。


同じ番号ではない。


非通知でもない。


毎回違う番号から届く。


三日目。


ザー……


「あと少しだから」


四日目。


ザー……


「もう、すぐ後ろ」


思わず振り返る。


誰もいない。


その夜から、家の中で音がし始めた。


カツ。


カツ。


裸足ではない。


硬い靴音。


廊下を歩く音だけがする。


ドアを開けると止まる。


閉めると、また歩く。


カツ。


カツ。


カツ。


眠れなくなった私は、最後の留守番電話を再生した。


ザー……


女は泣いていた。


「やっと届いた」


そのあと、小さく笑う。


「今度はあなたが録音する番」


プツッ。


その瞬間、スマホが勝手に録音を始めた。


画面には赤いランプ。


私は触っていない。


スピーカーから流れてきたのは、


今、この部屋で震えながら息をする、


私自身の呼吸だった。


その呼吸のすぐ後ろで、


硬い靴が一歩だけ鳴る。


カツ。


録音時間は、まだ増え続けている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ