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苦痛世界の領主~少女育成記~  作者: 俊杰


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17/30

ねずみねずみの私、本当におしまいだ

「ありがとうございます、旦那様。」衛兵はぼうっとしている。

フィルドは手を伸ばして彼を引き起こし、拳で衛兵の肩を軽く叩いて励ました。「適した兵士を育てるのは容易じゃない。お前たちが奴隷の身分から抜け出し、真の戦士、いや騎士になるのを待っているんだ!」

衛兵は興奮して血が騒いだ。彼は以前ずっと、フィルドの約束を絵に描いた餅か、貴族の冗談だと思っていた。しかし今、彼ははっきりと感じた。フィルドは他の貴族とは、少し違うと。

「フィルド様のために突撃する!」

周囲の者たちも熱血に感染し、狂ったように長戟を振るって腐った死体を刈り取った。


すぐに、音に引き寄せられた腐った死体は一掃された。フィルドが大雑把に数えると、なんと七十体以上の腐った死体がいた。

フィルドは微かに冷気を吸い込んだが、空気中の生臭い悪臭がすぐに気管へ流れ込み、慌てて口を閉じた。心の中でつぶやいた。「酒蔵の仕事にこんなに多くの人間が必要だったのか?帝国が死の霧を起こすと決めた時、なぜ北境の人々に避難するよう通知しなかったんだ?」

「まあいい、俺の知ったことか。」

無駄な問題を考えず、フィルドはさらに酒蔵の奥へと進んだ。


しばらく歩くと、フィルドは醸造用の大広間を見つけた。彼は氷砂糖や麦などの原料が見つかるかもしれないと夢想した。

しかし、彼の非現実的な幻想に応えたのは、一體の恐ろしい蝙蝠女の死体だった。目を見開いたまま、首から鼠蹊部まで暴力で引き裂かれ、中の内臓は跡形もなく消えていた。

「この大麦は無駄だ。元は大麦酒を作るためのものだった。」フィルドは傍らにまだ「大麦」と呼べるものが散らばっているのに気づいた。十年の時と腐敗が、大麦粒をゆっくりと蠢かせるようにしていた。フィルドは腐敗の不可思議さに驚嘆した。「もしかしたら腐敗は悪魔の呪いではなく、特殊な放射線なのかもしれない。」

「放射線?」

アシーナの脳がフリーズし、間の抜けた様子でフィルドの言う新語を考え込んだ。突然、彼女の表情が変わった。「気をつけて!何かが急速に接近しています!」

速すぎて、フィルドは小さな地図に閃く髑髏マークに気づく間もなかった。

「ガンッ!」

前方に立っていた衛兵の表情が劇変し、無意識に天井を見上げた。刹那、手中に掲げた盾が突然多くの破片に崩れ、衛兵は手足をばたつかせながら吹き飛ばされた。バイオハザードのリッカーに似た怪物が、衛兵の元いた位置に現れた。細長い尾と鼻だけが、これが鼠から変異したものだとわからせた。

鼠の怪物が一声叫び、鋭い爪をフィルドに向かって振り下ろした。

フィルドはただ一陣の強風が襲ってくるのを感じ、巨大な爪が眼前で不断に拡大する。

「させない!」

肝心な時、アシーナが竜種狼を操り、身を翻してフィルドの前に立ち、体を丸めてフィルドをしっかりと遮った。

パラパラという一陣の炸裂音が、大面積の火花と共に響いた。竜種狼は鱗を頼りに爪撃を受け止め、唸り声一つ上げなかった。眼前の巨狼を見て、怪物も面食らった。自分の鋭い爪を見て、これまで無敵だった爪が、今日は血のついた鱗二枚を引き剥がしただけだった。

竜種狼が手を上げて一撃、鼠の怪物を叩きのめした。

山猫らはすぐに時機を捉え、腰刀や長戟で猛劈乱砍した。しかし鼠の怪物は皮が厚く肉が固いのを頼みに、何度も斬られてもただ表皮の傷を負っただけだった。

それは長い四肢を振り回し、塵を掃うように七、八人を掃き飛ばした。衛兵たちは全身甲冑を着ていた。たとえ札甲が重くなくとも、人と甲冑を合わせれば百数十斤はある。それなのにこれほど容易に打ち飛ばされた。

「下がれ!これはもう通常の生物の範疇を超えている。」フィルドは盾を構え、素早く隅を見つけてしゃがみ込んだ。彼は罵りながらつぶやいた。「弩を持ってくるのを忘れた。このような皮の厚い怪物には、普通の人間は弩矢でしか防御を破れない。アシーナに任せよう。」

鼠の怪物は起き上がり、衛兵を捕まえて軽食にしようとした。

「思い通りにはさせない!」アシーナは力を手中の長槍に注ぎ込み、全身から気勢が爆発した。

強大な衝撃力で、長槍は牛皮紙を破るように鼠の怪物の体に突き刺さり、その後骨の隙間に引っかかった。もし地形が制限されていなければ、アシーナが巨狼に乗って突撃できたはずで、そうすればこの一撃で鼠の怪物を貫通できただろう。

鼠の怪物は痛みで叫び声を上げ、両爪が素早く掴みかかってきた。

「ドーン!」

巨狼が高速列車のように鼠の怪物の胸に激突し、その攻撃を中断させると同時に、それを吹き飛ばし、体の隙間を露出させた。

これは三階の腐敗生物だった。狭隘な地形では、三階の、闘気や魔法を持つ人間でなければ殺せない。あるいは城防用の弩砲や貫通弩が必要だった。

幸い、神選者は常人よりも強すぎる。アシーナは一階神選の戦力で、十分にそれを圧倒できた。

「極寒貫殺の槍。」

アシーナは初めて神技を使った。

手中に星の煌めきが集結し、一筋の長槍が凝縮した。まるで翻騰する幽青色の蛟龍のようだ。アシーナは大量の神力を注ぎ込み、その後足で腰を、腰で腕を導き、力一杯投げ出した。神技が鼠の怪物に轟撃すると、たちまち鮮血が噴射し、骨は折れ筋は砕けた!大面積の砕けた肉が攪拌され、壁にこびりついた。

「ふう〜ようやく解決した。」アシーナの顔色は少し青ざめ、息を切らして疲れているように見えた。

戦闘は電光石火のうちに終わったが、その中の危険は人を窒息させるほどだった。

フィルドも深く息を吐いた。「君がいてくれて良かった。最後の鹿肉のステーキは君にやる。」

「領主様万歳!」鹿肉のステーキが食べられると聞き、アシーナの尾は絶え間なく揺れ、よだれが不甲気なく流れ出した。戦闘時の高冷さはどこへやら。しかし彼女は胸を軽く叩き、大きく構えて言った。「私は半分だけで十分です。領主様もとてもお疲れですから。」

フィルドは大いに慰められた。


小さな地図が示すところでは、大酒蔵の怪物はもう残り少なく、星々のように散らばる小さな髑髏マークだけだった。

慎重を期して、フィルドはまず負傷者を連れ出し、薬を塗った後、休息を取った隊を連れて、大酒蔵を細かく一掃した。

夜の九時までに、一掃作業は最後の段階に達した。

大酒蔵全体がぼろぼろで、至る所に崩落があった。石の隙間から吹き抜ける風が灰色の埃を舞い上げた。唯一の救いは、大酒蔵の全体構造が保たれていたことだ。一階と二階は一同が探し尽くしたが、何の価値あるものもなかった。ただいくつかの真っ黒な壊れた木があるだけで、小屋を建てたり焚き火に使える程度だった。

「次はワインセラーです、旦那様。」衛兵が言いながら進み出ると、扉の厚い塵など構わず、両手に力を込めて分厚い扉を開けた。一道の幽暗な階段が眼前に露わになった。

フィルドは唾を飲み込み、緊張して不安げに手をもみながら、心の中で絶え間なくつぶやいた。「菩薩様、神様、どうか私に少しでも役立つものを見つけさせてください…」


大量のオークのシェリー樽が陰鬱なセラーに積み上げられていた。一部はすでに崩落で押し潰されて破損し、至る所に乾いた水痕があり、鼠の痕跡も這っていた。

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