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少女の感激

エレノア・サミエルという自分を理解したのは7歳の暑い夏の日であった。


まず私には前世の記憶がある。

35歳までの長くて短い人生だ。


辛さや厳しさなどが詰まっていたような事はなく、平凡という言葉が似合っている。

ただ普通に、学校に行って卒業して会社に入って働いて。

そんな毎日を繰り返していたが別に苦ではない。

帰ればオタ活という楽しみがあったからだ。


好きな作品のグッズを集めて祭壇にしたり、痛バを作る。

ゲームだって課金もするし、映画やミュージカルだって見に行った。

リアルでもネットでも友人はいたので、充実はしていたと思う。

1つの作品に没頭していたわけでもなく、色々な作品をかじっているオタク。


その中の1つに悪役令嬢というジャンルがあった。

私もそれなりに知っているジャンルである。

たくさん漫画も読み漁ったし、大体の有名な作品は分かるはずだ。

ざまあ展開にはワクワクが止まらなかったし、何だかんだ楽しませてもらった。


それが……何故私が異世界転生しているの!?

鏡に映るこの顔は誰!?

いや、漫画ではよく見たよ!?でもそれってその作品に凄い思い出があったりさ、なんか辛い過去が〜とかあるじゃない?

私そんなのないのよ!!


どうしようどうしよう〜!!と思っていると、いきなり部屋の扉が開く。

私が起きている事に驚いたのか、その人は大急ぎで医師を呼びに行った。

どうやら私は熱で寝込んでいたらしく、3日3晩魘されていたらしい。

うわ〜めっちゃ定番のやつだ……


私はこの人の記憶もなければ、この世界の事も何も知らない。

何も思い出せないです。と記憶喪失ということにしたが、おそらく母親と思われる人が倒れてしまった。

いや、すみませんね。中身違うんですよ。


そして、私の名前がエレノア・サミエルだと言うことを知ったのだ。

次に思ったことは、この世界は悪役令嬢ものなのかどうか。

もしそうなら、私はおそらく悪役令嬢の敵である主人公ポジションであろう。

子爵家の生まれということもあるし、何より可愛い。

少なくとも悪役令嬢ではないことは確かだ。

だって悪役令嬢って大体もっと身分上でしょ!!


私的には、波風立てずに緩やかに過ごせたらいいので、出来るだけ目立たないように生きようと考えている。


だが、現実はそう甘くはなかった。


「殿下の誕生祭〜!?行きたくないよぉ」

「こら!エレノア!!」

「姉さん!王宮って言ったら美味しいご飯もあるって聞いたよ!」

「え?それなら行く」


そうして招待状が届いた私と弟は、誕生祭に参加する事になる。

でもさ、これ絶対殿下に惚れられた〜とかあるパターンでは?

それは困るよね。マジで。


「ひぇ〜!!金持ちすぎる〜!!」

「す、凄いね……これが王都」


会場に入場すれば、弟と共に絶句するレベルでしばらく開いた口が塞がらなかった。

田舎の子爵家では、こんな豪華な飾りはそうそうない。

もう桁違いだ。凄すぎる。

え、というかこのドレスで大丈夫?周りの気合いの入れ方やばくない?


周りとの差にあたふたしていると、他の貴族とは格が違う2人組が入場してきた。

男の子は黒髪の美少年で、The王子様と言えるような風貌をしている。

表情はムッとした顔をしているので、機嫌は悪いのかもしれない。

女の子は薄い金髪に、程よい大きさの髪飾りをつけている美少女だ。

こちらは機嫌がよさそうである。


2人は手を繋いで会場の端へ寄っていくと、2人の空間に入ったのか誰も近づけない雰囲気になった。

私は思わずガン見してしまう。

何あのカップル!!可愛すぎんか〜!!

よく見たら女の子のほうのドレス……お相手の目の色じゃない?尊いんだが。

オタク心全開で見ていた私を弟が全力で止める。


「ね、姉さん〜そんなに見ちゃ駄目だって」

「あと少し」

「無礼だって!!やめなよぉ」


まあ確かにジロジロと見ては相手に失礼に当たるか……。

しょうがないので、弟のほうを見る。

弟は安心したようにほっと息をつくと、ご飯を食べましょうと提案してきた。

そうだ!ご飯!!

それからは最初の殿下の挨拶以外はずっと王宮のご飯に舌鼓を打っていた。



いきなり近くでざわざわと場が騒がしくなる。


「……?なんだろ?」


じっと目を凝らして見てみると、先程のカップル2人と、もう1人年上に見える男が何やら険悪なムードで向かい合っている。

何やら話しているようだが、全然聞こえない。

野次馬気分で近くに寄ってみる。

そうすればピーターと呼ばれる男が美少女の手にキスしようとしていた!

なんてこった!ド修羅場か!?

だが、あの美少年によってその手は叩き落される。

やるじゃないの!!少年!!


それからは、超激おこな少年に煽るような言葉を浴びせるピーターと無視してその場を去ろうとしている少年に周りの皆がドキドキしていたが、少女の声が聞こえるとそちらに意識が向かう。


貴族らしく淡々と相手を攻める言葉。

侯爵家というステータスで周りを味方につける強さ。

私たちは問いかけられれば、肯定の言葉を返す。

相手は蒼白な顔で何も言い返せない。

全てがかっこよかった。

こうして私の心は撃ち抜かれた。


そして、この人が悪役令嬢だと直感した。


それからはあの少女の事を調べまくった。

セリーヌ・シェーン。侯爵家のご令嬢。

数ヶ月前に伯爵家のルート・レーゲンと婚約している。

婚約時期が殿下の誕生祭が決まってからというのも気になる。

気がつけばセリーヌ様の超大ファンになっていた私は、学園の入学が被る事に感謝した。


王立学園について調べると、やはり物語の世界の可能性に信憑性が上がる。

悪役令嬢に学園物はお馴染みだからね。

ただ私が知らない作品なのだろう。


長期休みやよくある卒業パーティーがあったりと色々な意味で都合よく出来ているのだ。


それと女の子が気になるのはやはり制服!!

この学園の制服がかなり可愛い♡

中等部と高等部ではデザインが違うのだけれど、きっとこだわって作ったんだろうなぁ!!

ちなみに出入りは自由だが中等部、高等部は別館になる。

学年が上になるほうが上の階らしく、1年生は2階らしい。

階段上り下りきつくない?と思ったけど、この世界にはちゃんとエレベーターもあるようで、魔法で動いているらしい。

さすが異世界!!ますます楽しみである。

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