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18話

「セリーヌ」

「……」

「……セリーヌ」

「っ!!あ、どうしたの?」


つい考え込んでしまっていた間に呼ばれていたようで、急いで返事をする。


「……何考えてんの?」

「!?……いやいや別に何でもないよ。それよりも、もう1つ食べる?はい!!」

「話を逸らすなよ」

「っあ……」


どうしよう、何か怒らせてしまったのだろうか。

殿下との思い出が頭を過ぎる。

最後のパーティーでの私を射抜くあの冷たい目が、私を責めたてるのだ。

いやだ、捨てられたくない!!

謝らないと、謝らないと、謝らないと……


「ご、ごめんなさい、ごめんなさい」

「……?」

「許して……お願いします」

「セリーヌ」

「私にはもう貴方しか」

「セリーヌ!!」


震える体をギュッと抱きしめられる。

私の目からは大粒の涙が止まらない。

ルートの強く抱きしめる手に力が入る。


だいぶ落ち着いた頃に体を離される。

ゆっくりと頭を撫でられると、顔を上げて視線がぶつかった。

ねぇ、どうしてそんな痛ましいものを見る顔で私を見ているの?

そんな疑問を口にする事も出来ずに黙り込む。


「なぁ、セリーヌ。あの噂のせいだろ?」

「……」

「俺も散々迷惑してるんだ。いい加減どうにかするべきだったな」

「……」

「……俺の隣を許したのはお前だけなんだから……黙って隣にいたらいいんじゃない?」

「……うん」


ルートはセリーヌの顔が晴れていない事に焦る。


「どうすればお前は安心出来る?」

「……?」

「他人と口を利かなければいいとか?」

「いや、それは無理でしょ」

「俺にはお前に言われて出来ないことなんてないけど?」

「……ふふ」

「……その顔のほうがいいよ」


思わず笑いが出ると、優しく顔を撫でられる。

うーん、泣きすぎて鼻水が垂れそうだ。

ルートも気づいたのか、制服から2枚目のハンカチを出そうとしている。

ひらっと白い布が1枚ルートの膝に落ちた。


「あ」

「?これって……」

「……はあ?何でもいいだろ別に。たまたま持ってきていただけだし」

「まだ何も言ってないよ……」


私が最初にあげたハンカチを持ってきているとは思っていなかったが、非常に嬉しい。

感動でまた涙が出そうになっていたら、これまた違うハンカチで顔を拭かれる。

ハンカチ何枚持っているんだろう……。

鼻水もしっかり拭かれたら、内側にたたみなおして制服のポケットに入れた。……入れた?


「ちょ、ちょっと!!汚いよ!!私が弁償するから今すぐ捨てて」

「は?俺のハンカチをどうしようが勝手だろ?……まあ後で捨てておくからいいよ」

「……うん……じゃあお願いね?」


また頭を撫でられて目を瞑る。

でもそっか。ハンカチ持っててくれたんだよなぁ。


「ありがとう、元気出たよ」

「あっそ。あんな噂くらいで踊らされるようじゃ先が思いやられるなぁ」

「その時はまた安心させてね」


にこーっと笑うとルートも目を細めて口元だけで笑う。

ちょうど昼休憩の予鈴が鳴り出したので、2人で教室に向かいだす。

今までは途中で別れていたのだが、今回は教室まで送ってくれるようだ。


「それじゃあ、セリーヌ嬢。また帰りにね」

「うん、ありがとう」


ルートはクスッと笑うと耳元に口を寄せて小声で呟く。

「今日は仕方ないかもしれないけど、口調戻ったままだから気をつけなよ」

「!!」

「じゃあね、ゼノ行こう」

「ああ」


手を振りながら教室を出ていくルートと顔を赤くした私。

当然周りがキャーキャーと集まってくる。

騒ぎ立てる令嬢たちの質問に答えている横で、エレノア様はゼノ様の忘れ物に気づいたらしい。

だが教師が来たため諦めたようだ。

あら、なんだかもしかしてゼノ様とエレノア様っていい感じなのかしら?


その後、次の休憩になればエレノア様が私に教室から出ないで下さいねと言い残し、忘れ物を届けにいった。

しばらくしたら、真っ青な顔をして忘れ物をまだ手にしているエレノア様が帰ってきた。

私を確認すると、泣きながらセリーヌ様ぁ!と抱きしめられる。


「どうしたの?」

「ちょっと怖い思いをしたので!!」

「あらあら」


わーんとくっついてくるのは正直可愛い。

頭を撫でてあげて落ち着かせる。

考えれば先程までは私がこっち側だったのか……恥ずかしい。


「もう大丈夫です……ありがとうございます」

「どういたしまして」


授業をあと1つ受ければ帰れる。

今日はゆっくり休みたいと思うセリーヌだった。

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