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17話

――学園に入学して3ヶ月が経った7月初めの頃


5月に私の誕生日はやってきて13歳になった。

ルートはもちろん、エレノア様やなんだかんだ仲良くなった他のクラスメイトからも祝われて毎日がご機嫌である。


そんな幸せな日々に影が差すような噂が耳に入る。


中等部2年のルート・レーゲン伯爵令息とクロエ・ブープル子爵令嬢が想いあっているという噂だ。


「婚約者がいる人にあんな噂が流れるなんてありえなくないですか!?私はセリーヌ様とルート様がラブラブなのを知ってるから良いですけど、何も知らない人が聞いたら勘違いしてしまいますよ!!」


エレノア様はいつの間にかゼノ様と仲良くなっていたようで、私とルートの関係も相当詳しくなっている。

何故知っていると思う事まであったので、より気をつけなければならない。


「うーん……確かに気にはなるけど……。噂を誰が流しているかも分からないし、もしかしたら本当に……」

「いやいやいや!?何を仰っているんですか!!どう見てもルート様はセリーヌ様一筋ですよ!!そんなことより噂の出処です……あの、私に任せていただけませんか?今こそ名探偵エレノアの出番です!!」

「……?エレノア様……怒っている割に楽しんでません?」

「そりゃ犯人見つけて問いたださなければいけませんからね!!セリーヌ様親衛隊の私が邪魔するもの全て蹴散らせて差し上げます!!」

「し、しんえ?」

「そうそう、セリーヌ様。今日からなるべくおひとりで行動するのは避けていただけませんか?どこでつけこまれるか分からないですし」

「あの……私はどうしたら……?」

「基本的に教室の中にいて下さい。行動する時は私かルート様と一緒です!!あ!昼食の時1人になるな……迎えに来てもらうしかないか」

「エレノア様?」

「ちょーっとここにいて下さい!!少し2年のところに行ってきます!!」

「え?」


エレノア様はすぐさま立ち上がると、そのまま走って行ってしまわれた。

走っているところを注意されなければいいけど……。

同じクラスの令嬢達が次の授業の課題について私に話しかけてきてくれたので、寂しく思う事なく時間が過ぎていった。


エレノア様が戻ってきて話に加わるが、課題を忘れていたのか涙目で私を見つめる。

苦笑を返して、私の課題を見せてあげた。

間に合うかな?


どうやら間に合ったようで、安心した顔のエレノア様を見て吹き出しそうになる。

可愛らしいんだから。

授業も無事に終え、昼休憩の時間になった。

私はいつも通り、裏庭に向かうため立ち上がる。


「あ、セリーヌ様駄目です!!」

「!?どうしたの?」

「1人になるのは駄目だと言ったではありませんか〜!」

「あ、そうでした……ではどうすれば??」

「ふふ……既に手は打ってます!!」


自信満々のエレノア様と首を傾げる私。

だが、時間が過ぎていくばかりで何も変わらない。

ルートに遅いと怒られてしまわれないだろうか……。

その時、通路の方からキャーと騒がしい声が聞こえてきた。

声はどんどん近づいている気がする。


「あ、来ましたね!!」

「何が……」

「やぁ、セリーヌ嬢お待たせ〜。じゃあお昼に行こうか」

「!?」


この教室にやって来たのは、優等生の振りをしたルートと何故かゼノ様。

どうやら私を迎えに来たようで、エレノア様が考えたのはこれだったのかと納得した。


「それでは失礼するね」

「あ、ちょっと……」


にこりと笑うと、私の手を引いてそのまま教室を去る。

ゼノ様を置いてきて良かったのだろうか。

騒がしかった声は、どんどんと小さくなり聞こえなくなっていった。

周りに誰もいない事を確認してからいつもの裏庭に着くと、特等席のベンチにすぐに向かう。


「はあ゛〜」

「……ごめんね」

「!?いや、別に……」


化けの皮が剥がれたルートについ謝ってしまった。

余計な手間をかけさせてしまったかな。


いつも通りにベンチにハンカチを引いてくれるルートにお礼を言うと、2人で座る。

2日目以降からバスケットをルートが持ってくれるようになり、私はそのまま裏庭に行くことになった。

今日もルートがバスケットを持ってきてくれたようで、私の膝にバスケットが置かれる。


「はい、ルート」

「ん」


私の手から食べるのはもう習慣になっており、文句も言わずにパクパクと食べていく。


あの噂について聞くべきか、聞かないべきか。

気にはなるが、別にルートを疑っているわけではない。

そう。ただ、気になるだけなのだ。

あの殿下の時と同じではないのかと。

だがそれを聞いてしまえば、彼はどう思うのだろうか。

信頼されていない?面倒くさい?……そんな風に思われるくらいなら、知らないフリをするべきだ。


貴方にまで捨てられたら、きっと私は耐えられない。

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