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第3話 決められたレールから外れる者
ある赤子が歌舞伎の名門家で嫡男として生を受ける。幼少期から叩き込まれた歌舞伎…よくよくは跡継ぎ。そんな彼も成長と共に決められたレールから外れる転機が訪れる。
彼が両親に隠れテレビを観た時だった。映し出されたテレビの世界でギターを弾き、ドラムを叩き、そして…美しい声での歌声。
「僕も将来、こんな風に歌ってみたい…」
テレビに釘付けとなった彼は奏でる音と歌声に感動を覚えていた。両親が帰宅し彼は急いでテレビのリモコンを操作し画面を真っ暗にする。
(僕もあんな風に将来歌おう!)
その後、彼は両親に隠れ動画サイトで歌を披露する。彼は"歌舞伎役者の跡継ぎ"と決められたレールから外れた行動と知りながらも起こす。それは絶対に成し遂げる夢に、志がある故に抗う行動だ。
今日も動画越しに不快音な声で歌声を披露する。音痴過ぎて草生える、音痴すぎワロタwwwと言われても尚、彼に諦めると言う名の選択肢は無い。夢を叶える日がくるまで。