第27話 警戒する猫
とある猫は譲渡会で人間に引き取られ部屋の片隅で縮こまりながら目の前に歩く女性に警戒していた。
(人間なんて信用できない。隙を見計らって自由を手に入れるんだ)
睨むような目で女性の動向を伺いながら玄関口に繋がるドアを見つめる。ほんの少し距離がある場所で女性は袋と小さな器を取り出し屈むと猫は更に警戒し目を泳がせる。
「ほら。ご飯だよ~!沢山お食べ」
陶器で出来た器にカランカランと音が鳴り女性は猫の前へと出すと立ち上がり背を向ける。
(ふんっ。ご飯で釣ろうって魂胆か?俺様はそんなやわな猫じゃ———)
猫の鼻に魚粉の匂いが漂いヨダレがほんの少し垂れる。
(ちょ…ちょっとだけなら)
縮こまっていた猫は立ち上がりそろそろと歩き出す。女性の方へ視線を移すと遠く離れたキッチンで料理をしていた。
猫は器の前まで辿り着くとカリカリのご飯を口に咥え噛む。
(う…うま~~~~~~~!!外の世界では食えないご飯だ!)
猫はあっという間に平らげると我に返り部屋の片隅へと戻り縮こまる。
(お、俺様とした事が全部平らげてしまった!!食べたら何だか眠たく…)
まんまと人間に手の平の上で転がされているような気分になるがお腹が膨れた猫は目がトロンとなり次第に閉じていく。
———【一か月後】
「これ買ってきたよ!」
女性は猫に”にゃんちゅーる”と書かれた袋を満面の笑みで見せる。
「にゃ~(飼い猫最高ーーーーっ!!)」
その後、猫は飼い主にいつもピタリとくっつき寝る時もずっと一緒に暮らした。
うちの猫はちゃおちゅーるのスティックを出した瞬間に目の色が変わるんですよ…。
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