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ミッドライフクライシスを授ける。

作者: 小波

 


 光と影

それは人の永遠のテーマ。どんな光にもどんな影にもその反対側というのは感じられないまますぐ側にある。


40代は影の時代。なんと大胆に平均寿命80年と決めつけてぶった斬ったな。私が80で死ぬかどうかは知らないけど、ミッドライフクライシスと呼ばれるところへ足を踏み入れた。


 今のところ、肌や歯、疲れの抜けない体、特に膝腰肩。わかりやすい場所へ変化は出てきた。年だと認めざる負えない。あの薬品会社のCMは本当だったんだ‥。私は年相応であると、白髪も皺も大して無いのでここで素直に頷く。この先もっと増えるだろう年齢を重ねる悩みを思うと耐えれるかな、と落ち込みそうになる。この落ち込みの部分をクライシスと呼ぶかも知れなかった。


 はるか昔に図書の先生に頼まれて学校の機関誌に作文を書いた。一年生の春もう学校へ行くのに限界が来ていた私へ図書の先生は図書室へ誘って下さった。そしてそこでラベンダーの編み込みをさせてくれた。ドライフラワーに柔らかで艶やかなリボンを交差させていく。


 原稿用紙には本にまつわる話を書いた。沢山の本棚の間で見渡していると一生かかっても手に取る事もなく通り過ぎる本は一体どれくらい、生きてるうちに何冊読めるのだろう‥そんなことを書いた記憶がある。あっという間に学校を辞めた私のいくらかの成果だと思う。


 一冊の本に例えれば丁度半分読み切ったところの中年である。ここから後半へ物語はどう展開していくのか、結末なんて全く読めないその今にいて、一旦本を閉じて目を瞑る。


 私の本はもう充分に分厚いなと感じ、波瀾万丈だねと幾人かに言われたことを思い出す。図書室にしか行かない私が今の私よりも苦しかったことも私が私を読むからわかるのだ。


 光も影もお互いの存在を知らないのだろうか。光と影の様に真っ二つには出来ない人の一生、光は本人には見えていないのかも知れない。そして濃淡が多数ある人の影。


 子供の手を引き歌いながら歩道をちんたら歩いていたら後ろに気配がして慌てて道を譲った。そうしたらその方はおばあちゃんでいつも貴方達を楽しくみているのよと笑っていた。あの人の皺のような優しい歳の取り方がしたい。歳を取るのは怖いことだけでは無いはずだ。それがなんであるか未知だから見た目に囚われたりしてるけど。振り返ってみたらだいぶ頑張り過ぎてた高校生の背中が見えた。今よりも老けていた(実際言われた)あの人は私へ確かに届けてくれた。生きていてほしいと。

読んでくださって嬉しく思います。まだまだ書きます。

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