95話
目が覚めるとリュドと目が合ったわ。
「おはよう、リリ」
「おはよう・・・リュド」
物凄く恥ずかしいわ・・・。
「体は大丈夫?」
「多分・・・」
「じゃあ、食事にしよう」
リュドに抱き上げられてソファへと移動する。
「まだ立てないといけないからね」
何故か膝の上に座らされ顔や手を拭かれる。子供みたいだわ。サンドウィッチとか軽食だけれど・・・。
「これだと食べにくいわ」
「大丈夫。食べさせてあげるから」
リュドは何のスイッチが入っているのかしら?果実水で喉を潤し、リュドに楽しそうにサンドウィッチを差し出され齧り付く。
「リリの口は小さいね」
見られながら食べるのは恥ずかしいわ・・・。そして1口食べると食べかけをリュドが食べるのよ・・・私はリュドと違って羞恥心があるのよ!
「リュドは凄く楽しそうね・・・」
「今までもそうだったけど、リリに食べさせるのは楽しいよ」
リュドが凄く嬉しそうだから、恥ずかしいけれど嫌とも言えないわね・・・。デザートまで食べ、のんびりとお茶を飲む。ずっとリュドの膝の上だけれど・・・。
ふと夜会から下がった後を思い出す・・・。
*****
湯浴みとマッサージをされ眠くなってくる。
「リリアンヌ様、寝てはいけませんよ!」
「だって・・・朝から大変だったのよ・・・」
軽食が用意されてバスローブのまま摘む。
「全然食べられなかったから美味しいわ・・・」
「今日はしっかりとした食事の時間は取れませんでしたものね」
香油を馴染ませた髪をしっかり梳かれ乾かされる。朝よりもツヤツヤじゃないかしら?
「奥様、そろそろ夜着に着替えましょう」
「奥様・・・・・・夜着・・・・・・」
何だかむず痒いわ・・・そして・・・その向こうが見えそうなヒラヒラした夜着を着るの?
「これは着る意味があるのかしら・・・透けているのだけれど・・・」
「旦那様には御座います」
リュドはこんなのを喜ぶのかしら?考えている間に着せられたわ・・・物凄く恥ずかしい・・・。ほぼ見えているのよ・・・。
ガウンを着せられ寝室へと促される。
「落ち着かないから・・・ヌイグルミを持って行っても良いかしら?」
微妙な顔をされたけれどサラが持って来てくれたわ。
「こちらに置くだけですからね」
「わかったわ」
「ワインはあまり飲み過ぎないで下さいね。それでは失礼致します」
少しだけグラスに注がれたワインに口を付け、ヌイグルミを抱き締める。
「リュドは何時頃来るのかしら?」
サラが説明してくれていたけれど、恥ずかしくて聞いていなかったわ・・・。
今日は朝も早くて忙しかったから、じっとしていると眠くなってしまいそう・・・緊張していたけれどヌイグルミを抱き締めていると落ち着くわ。
「あら?ブーケのリボンかしら?」
天蓋にブルーのリボンが結ばれている。
ベッドに座り水色の薔薇を思い出す。前世の青い薔薇はインクを吸わせて色を着けていたのよね・・・それとは違う綺麗な水色の薔薇は素敵だったわ。
「・・・・・・・・・」
ぼんやりと目を開けるとこちらを見つめるリュドと目が合ったわ。
「リリ、起きた?」
あら?私眠ってしまったのかしら・・・?
「ごめんなさい・・・」
「大丈夫。俺はさっき来た所だよ」
いつの間にかベッドにちゃんと寝かせられているわ。
「リリ、どうしてヌイグルミを抱き締めているのかな?」
「落ち着かなくて・・・」
「寝室には持ち込み禁止ね」
ヌイグルミはリュドに取り上げられソファに投げられたわ・・・ヤキモチの現れかしら?
「疲れているから寝かせてあげようかと思ったけれど・・・」
何かしら・・・笑顔が怖いわ・・・。ヌイグルミはリュドがくれたのよ?
初夜は前世でも経験が無いくらい、優しくしてくれて痛くは無かったけれど・・・寝たのは明るくなってからよ・・・。
男の人ってこんなに何回も出来るものだったかしら?
立てなくてリュドに抱えられてお風呂に入るのも恥ずかしかったわ。自分で洗えると思ったのだけれど・・・今世は1人で入った事が無くて出来なかったわ・・・。
リュドが楽しそうに隅から隅まで洗ってくれたけれど・・・恥ずかしくて死にそうだったわ・・・。
寝室に戻ったらベッドが綺麗になっていた事も恥ずかしかったわ・・・。
*****
ハイシーズンも終わりに近づいてきた。
社交の合間にルゥ達が持ってくる仕事を片付けるのにも慣れてきたわ。リュドは時々領地に行って指示を出してくれるから、とても仕事がスムーズよ。
「リリ、ティータイムを一緒にしよう」
「ええ。もちろん」
「今日は庭に用意したよ。もうすぐ領地に帰るからね」
「こちらの庭も来年までゆっくり見れないわね」
ティータイムのテーブルには椅子が1つ・・・。
当たり前のように毎回リュドの膝に座らされて、とうとう用意されなくなったわね・・・。
結婚してからリュドは一緒に居ると物凄く甘やかしてくるわ。
「リリ、何が食べたい?」
「レモンのケーキを・・・」
「レモンね」
そして食べさせる事を前よりも気に入って、ダイニングでの食事以外は膝に乗せられ毎回食べさせられるのよ・・・恥ずかしいわ・・・。
「リリ?」
口を開くとそっとフォークが差し入れられる。
「美味しい・・・」
「くくっ・・・顔が赤くなってる」
「だって恥ずかしいもの・・・」
「2ヶ月以上経つのに慣れないね・・・可愛い」
「リュドは恥ずかしくないの?」
「可愛いリリが見られるから恥ずかしくないよ」
何故そんなにメンタルが強いのよ・・・言っている事もちょっと、どうなのかしら?
「そういえば、今シーズン気がついた事があるよ」
「何かしら?」
「リリ、社交の時の俺の喋り方好きだよね?」
「・・・・・・・・・」
「リリが好きならあっちの口調にしようか?」
何故バレたのかしら・・・従僕の時を思い出すせいか好きなのよね。社交の時にしか見られないから、後ろに流す髪型も好きよ。
「このままで良いわ・・・」
「そうですか?リリが好きなら変えますが?」
「・・・っ!」
「くくっ、真っ赤だね」
「リュドのせいよ!」
「リリが可愛いから虐めたくなっちゃうよ」
「もう・・・許すわ・・・」
「何でも受け入れ過ぎは良くないって言ったのに」
「だって・・・恥ずかしいけれど嫌ではないわ・・・」
力を抜きリュドにもたれ掛かる。優しく髪を梳かれながら、結婚してから更甘くなったリュドに転がされている気がしてならないわ。




