94話
翌朝、寝ていたらバスルームに連れて行かれたわ・・・。
半分寝ながら全身を洗われ、痛いマッサージで目が覚めたわ。途中で軽食を摘みながらヘアメイクをされる。
ウェディングドレスを着せてもらい手袋とパリュールを着ける。最後にディアデムとベールを着けたら完成。ディアデムは仮縫いの時よりティアラっぽくなっているわ。
「お嬢様、今までで1番お美しいですわ」
「ありがとう、サラ」
「お嬢様、とっても素敵です」
「ありがとう、メル」
ルゥにエスコートをされエントランスに降りると、使用人の皆が出迎えてくれる。両親とお爺様達は招待客の出迎えで先に教会に行っているわ。
執事のクリスが一歩前に出る。
「お嬢様、本日は誠におめでとうございます。使用人一同、心よりお祝い申し上げます」
「皆ありがとう。ふふ、お式の前に泣いてしまいそうだわ・・・行ってくるわね」
「「「「行ってらっしゃいませ」」」」
馬車に乗り込むとサラに目元をを押さえられる。
「お嬢様、深呼吸ですわ」
「わかっているけれど・・・今日は難しいわ」
教会の控え室ではお母様とお祖母様が待っていた。
「リリ、とても綺麗よ」
「お母様、ありがとうございます」
「リリ、とても綺麗ね。リュドヴィックさんも、とても良い人ね」
「会われたのですか?」
「ええ。ご挨拶に来てくれたわ。お爺様も気に入ったそうよ」
「ふふ、良かったです」
お父様とお爺様も式の前に会いに来てくれたけれど、お爺様に泣かれてしまい大変だったわ。
「お嬢様、そろそろご移動を」
「わかったわ」
サラに促されて新郎新婦の控え室へと向かう。リュドに会うのは少し緊張するわね・・・。
控え室に入ると白の上下に光沢のあるライトブラウンのベスト。金糸の刺繍が施された衣装のリュドが待っていた。リュドの衣装は初めて見るけれど・・・。
「リリ、凄く綺麗だ・・・」
「リュドもとっても素敵よ。色を揃えてくれたのね」
「いつもお揃いだからね」
「ふふ、そうね」
軽く抱き締められ額に口付けられる。
「結婚式で白は珍しいね」
「リュドに初めてエスコートをして貰ったのも白だもの」
「そうだね・・・」
サラとメルが大きな箱を運んでくる。
「ブーケだよ。喜んでもらえると良いけど」
「とても楽しみにしていたのよ」
リュドから綺麗な水色の薔薇のブーケを渡される。リボンは私達の瞳のブルー。
「水色の薔薇・・・」
「もう少し青くしたかったけれど、これが限界みたいなんだ。領地の庭師達が綺麗な水色だけを選んで、今朝届けてくれたんだよ」
「領地の・・・とても嬉しいわ・・・」
「あぁ・・・リリ、泣いちゃ駄目だよ。せっかく綺麗にして貰ったんだから」
「お嬢様、落ち着いて深呼吸ですわ」
「だって・・・」
何とか気持ちを落ち着かせて、サラにメイクを直してもらう。その間にリュドの胸にも1輪の薔薇が飾られる。
「落ち着いた?」
「ええ。今日は使用人の皆に泣かされてばかりだわ」
「リリは皆から大切にされているからね」
皆は使用人だけれど、祖父母や両親、姉や兄のようだったもの・・・。
「そういえば、お爺様達に会ったのね」
「1度もご挨拶に行けなかったからね。お2人が式に来てくれて嬉しいよ」
「ええ。お祖母様がお元気になられてほっとしたわ。お爺様はリュドを気に入ったそうよ」
「リリの事をどれくらい愛しているか聞かれたから、誰よりも愛してるし、どれ程好きか答えたら気に入られたよ」
2人共、何を話し合っているの・・・リュドには羞恥心は無いのかしら?
「お2人共、そろそろお時間ですわ」
*****
リュドにエスコートをされて扉の前に立つ。ベールがサラの風魔法でふわりと翻る。
扉を守る聖騎士にリュドが頷くと聖堂の扉がゆっくりと開かれる。
光の降り注ぐ聖堂の中をリュドのエスコートでゆっくりと歩く。ドレスの重さで自然と歩みが遅くなってしまうけれど、リュドのエスコートは安心するわ。
司教様に祝福の言葉を頂く。心の中でそれぞれ女神様に誓いを立て、誓いの口付けを交わす。この世界の結婚式はとてもシンプルなものだけれど、女神様に誓うからとても神聖な儀式の様にも思えるわ。
招待客からも祝福の言葉を頂き、ブーケトスの為に外に出る。
「上手く投げられる気がしないわ・・・」
「リリは上に投げるだけで大丈夫。後は任せて」
自力で投げたかったけれど・・・腕力は無いのよ・・・。
私が投げるとリュドが風魔法で浮かせリボンが解け、薔薇が1輪ずつご令嬢の元に届く。よく見たらサラとルゥも風魔法を使っていたわ。
皆いつ練習をしたのかしら?リボンはメルが回収していたわ。
招待客を見送り、リュドと馬車に乗り夜会の為に邸に向かう。
「思ったより緊張したよ」
「皆の前で口付けは恥ずかしかったわ・・・」
「俺はリリは俺のだって皆に示せて嬉しかったよ」
「だから長かったのね・・・」
誓いの口付けがやけに長かったのよ・・・リュドが離れるのを待つしか無いから物凄く恥ずかしかったわ。するりと頬を撫でられる。
「こんなに綺麗なリリをまだ人に見せなきゃいけないのか・・・」
「ふふ、今日はリュドの為に綺麗にしてもらったのよ」
「凄く綺麗だし可愛い・・・夜会なんてやめたい・・・」
「私はリュドが旦那様だと皆に紹介出来る事が嬉しいわ」
「じゃあ・・・あと少しだけ我慢するよ」
そっと抱き寄せられ優しく口付けられる。
*****
ベールを外して軽食を摘み休憩とる。
「はぁ・・・式と夜会は別の日が良いわね」
「あと少しですから頑張って下さいね」
招待客の到着の知らせを受けて皆様を出迎える。ダンスを踊り挨拶に回り食事も休憩する暇もない。
デザートの所でティナ達と合流する頃にはフラフラだったわ・・・。
「リリ、素敵な結婚式だったわ・・・」
「ありがとう。ティナのお式も楽しみよ」
「ティナそんなに泣いたら目が腫れちゃうよ」
「だって・・・リリが結婚・・・」
ティナは泣きすぎてアンドリュー様に甲斐甲斐しくお世話をされているわ。私もティナの結婚式は泣くわね・・・。
「それにしても・・・リリ様達の誓いは長かったですわねぇ」
カティ様の感想に顔が熱くなる。やっぱり皆も長いと思ったのね・・・恥ずかしいわ・・・。
「リュドの独占欲の現れだな」
「ちゃんと皆に誰のものか示しておかないと心配で」
「見ているこっちが照れるからね」
「アンドリューも頑張って。結婚式は思った以上に緊張しますよ」
「そうだよな。俺も今までで1番緊張したな・・・」
「どうしてプレッシャーをかけるかな・・・」
サミュエル様も緊張していたなんて意外だわ。
「男性がリードして進みますものね。だから・・・口付けの長さも男性次第ですわね、ふふ」
サラに連れ出されるまで物凄く恥ずかしかったわ・・・。




