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05話


7月末、領地へと帰って来たわ。来月から授業が再開するから数日はゆっくりと過ごしましょ。


それにしても暇だわ・・・読書や刺繍しかやれる事は無いのよね。


前世は映画を観に行ったり友人に引きずられジムにも通っていたのよ。毎週末1回という頻度だったけど、デスクワークだからいい運動になっていたわ。


この世界のご令嬢の運動と言えば・・・ダンスの練習くらい?あと出来る事は家が無駄に広いから歩き回ってウォーキング?使用人達の迷惑になりそうね・・・。


乗馬も良いわね。前世ジョー〇って健康家電があったくらいだもの乗馬は健康に良いはずよ。


サラを呼んで聞いてみましょう。


ちなみに呼ぶ時は硝子のベルを鳴らすわ。魔道具だから割れないし小さくチリンと鳴るだけ。鳴らすとサラが着けているブローチが光って知らせるの。私のベルは黄色だから黄色に光るわ。お父様は青。お母様は赤とそれぞれの色で光るからわかりやすいでしょ。


「お嬢様、お呼びですか?」

「乗馬をしてみたいと思ったの。私にも出来るかしら?」

「出来ますよ。先にお嬢様が乗れる鞍があるか確認しませんと」

「じゃあ、今日は厩舎まで馬を見に行っても良いかしら?」

「では、支度を致しますね」


ブーツに履き替え手袋に指を通す。仕上げに帽子をかぶせられたわ・・・ロリータさんがかぶるような、あご下でリボンを結んだ前だけツバのあるメルヘンなやつよ。


何だか地味にメンタルにくるわね・・・。


「馬と触れ合うのに日傘は邪魔になりますからね」


理由があっての帽子なのね・・・小さい頃は疑問に思わずかぶって庭を散歩していたけど12歳よ?そろそろキツいわ・・・。


帽子をかぶっている令嬢は社交場で見かけなかったから何歳まで使う帽子かわからないわ。シンプルな帽子って無いのかしら。




*****




王都は建物が多くて暑かったけど領地は過ごしやすいわ。


庭の花を見ながら厩舎への道を歩く。木々の間を抜けると草原が広がり少し先に厩舎と柵が見える。邸からは子供の足で15分ほど歩くけど良い運動ね。


領地の庭って広すぎると思うの。もはや庭と言って良いのかもわからないわ。森は狩猟で使うけど、川が流れて大きな池もあるわ。渡り鳥が毎年来て可愛いのよ。


ちなみに邸も三階建てのほぼ城。メルヘンなお城じゃなくて見た目は前世にあったリーズ城みたいな感じ。タウンハウスはロダン美術館みたいな感じかしら?どちらも石造りよ。


柵のそばに着くとサラが厩舎の人に声をかける。


「お嬢様がお1人で乗られるんですか?」

「乗れないわ。乗馬を始めたいと思って今日はとりあえず馬を見に来たの」

「わかりました。では今日はポニーでどんな感じか試してみますか?」

「ええ。お願いするわ」

「では準備させますから、それまで馬を触ってみますか?」

「いいの?」

「こちらへどうぞ」


最初はポニーなのね。馬の背は高いから怖そうだし丁度良かったわ。


教えて貰いながら馬を撫でる。すごく見てくるわ・・・撫で方が違うのかしら?それにしても馬って黒目がちでまつ毛バサバサで可愛いわ。足が前世の馬より太いわね。品種が違うのかしら?毛の色は白?グレーかしら?


「こんなに近くで初めて見たけど可愛いわ」

「この子は牝馬で賢く大人しいですから、お嬢様が乗るのにピッタリですよ」

「まあ、貴女に乗れるように頑張るわね」


わざわざ頭を下げて手にスリスリしてくれてる。何だかお返事してるみたい。やる気が出るわね。


「ポニーの準備が出来ました」


振り返ると鞍を乗せられた茶色のポニーが居た。なんか・・・見た事ないタイプの鞍ね。そもそもドレスで乗れるの?乗馬服に着替えないのかしら?


乗るための踏み台を置かれたけど、どうしたら良いのかしら?


「お嬢様、右足はここにかけて、こちらに左足で鞍に座ってください」


横向きに座って乗るの!?


「馬って跨って乗るんじゃなかったかしら?」

「ドレスの女性はサイドサドルという横向きに座って乗ります」

「そうなのね」


まずドレスで乗馬する事が普通なのに衝撃だわ。何とか乗れたけど横乗り怖い・・・足をかけているから滑り落ちたりしないとは思うけど鞍から手が離せないわ。手網を引いてもらい馬場を一周する。


「ありがとう。乗馬服を仕立てたら本格的にお願いするわ」

「畏まりました。最初はポニーでの練習になりますが、お嬢様専用の鞍もご用意しますね。普通の鞍にしますか?」

「違いがあるのかしら?」

「サイドサドルは基本歩くだけですね。走りたいのなら普通の鞍が良いでしょう?」

「サイドサドルは走ったら駄目なの?」

「走れますが乗ってわかったかと思いますが体をずっと捻った状態ですからね。かなり負担がかかります」

「教えてくれてありがとう。普通の鞍で出来れば黒い革で出来るかしら?」

「黒革ですか?出来ますが・・・」

「あの白?グレーの子は黒い鞍が似合うと思ったの。駄目かしら?」

「畏まりました。準備しておきますね」


最後に乗せてくれたお礼にポニーにおやつをあげた。食べる時は歯を立てずにお口・・・唇かしら?ハムハムされてくすぐったかったわ。馬のお口がフワフワなのも初めて知ったわ。


そういえば今世で初めて動物に触ったわね。



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