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転生したら伯爵令嬢~恋愛偏差値マイナスだけど優秀な部下(婿)を捕まえたい~  作者: 塩豆大福


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57話


今日は夜会の為に久しぶりに朝から磨かれているわ。夜会の支度も随分と慣れたから前ほど大変では無くなったわね。


ちなみに平凡ブラウンさんの事はすぐに調査を指示したわ。乙女ゲームかはわからないけれど、関わりたくはないわね。


ティナには絶対近付かないよう言い聞かせたわ。学園は2週間の休暇だけれど何かあったら大変だもの。


「お嬢様、リボンを締めますよ」

「ええ。お願い」


今回は雪が降り積もるような銀糸の刺繍が美しい青いドレス。後ろの編上げのリボンをキュッと締められると胸からウエストのラインが・・・少し恥ずかしいわね。


「お嬢様、素敵ですわ」


鏡の前でくるりと回ると上半身はスッキリとしてスカートはふわりと広がる。縫い付けられた石や銀糸がキラキラとして素敵だわ。


支度が終わるとリュドが迎えに来てくれる。


「お嬢様。とてもお美しいです。まるで冬の精霊様の様ですね」

「ありがとう。リュドも良く似合うわ」


リュドに手を取られ指先に口付けられる。手袋越しの唇の感触にビックリしたわ。いつもは口付けるふりなのに・・・。


顔が熱くなるのを深呼吸で落ち着かせる。


エントランスに降りると、お母様がイタズラが成功したような顔で微笑んでいた。理由がわからずにいるとお父様が。


「この衣装はやり過ぎじゃないか?」と渋い顔をされる。


リュドをよく見ると、どう見ても同じ刺繍が施されたお揃いの衣装。そういえばリュドの衣装は毎回お母様が用意していたわね。エスコートをして貰ったすべてお揃いだったのかしら?


ここまでお揃いなのは初めてね。物凄く恥ずかしいわ・・・。




*****




久しぶりに王宮の豪華絢爛なホールに足を踏み入れる。


「リュドにエスコートをされてここへ来ると、緊張していたデビュタントを思い出すわ」

「酔っているのは可愛らしかったですね」

「初めてだったから仕方ないでしょう?でも、お酒に弱いとリュドのエスコートの時にわかって良かったわ」


陛下が1年の感謝を女神様と精霊様に捧げ夜会が始まる。両親と挨拶回りをして別れると、リュドが手を差し出してきた。


「久しぶりに踊っていただけますか?」

「ええ。喜んで」


リュドの手を取り舞踏の輪に入る。リュドと踊れることに少し浮かれてしまうわ。


「リュドのリードが1番踊りやすいわ」

「光栄ですね」


ターンでふわりと持ち上げられる。


「ふふ、急にビックリしたわ」

「もうヒールに不安はありませんね」

「ええ。もちろんよ」


曲が終わり舞踏の輪を出るとティナとアンドリュー様に会った。


「ティナ、アンドリュー様、挨拶回りは順調かしら?」

「ええ。悪く言う人も居ないわ」

「良かったわね」

「それにしても派手な事をしたね」

「あれはリュドが急にふざけたのよ」

「ちょっとした出来心で」

「リュドがこういう場でって意外だな」


確かにエスコートをしてくれている時でも必要以上に前に出ないのに。


「そういえば、リリ達はお兄様を見かけたかしら?」

「まだよ。ご令嬢を連れて来るのよね?」

「そうなの!お姉様になるのかしら・・・」

「楽しみね。アンドリュー様はご存知なの?」

「まぁね。噂をすれば・・・だね」


サミュエルお兄様と一緒に来たのは、私とティナが昨日ご挨拶をしたカトリーヌ・デュロン伯爵令嬢だった。


聡明で姉御肌な所がサッパリとしていて大好きな方よ。濃い金色の髪にグリーンの瞳の美女よ。


「皆に紹介するよって皆顔見知りだけどな」

「お兄様のお相手ってカティ様でしたの!?」

「カティ様なら安心ですわね」

「ふふ、黙っていてごめんなさいね。迷っていたけれど・・・お受けしたの」


カティ様と見つめ合うサミュエルお兄様は幸せそうね。


「カティは王宮で侍女として来年から働くからな。結婚は2年後くらいを考えている」

「正式に婚約が決まったら手紙を書くわね」

「楽しみにしていますわ」

「早くカティお姉様とお呼びしたいですわ」




*****




会場の端に移動し6人でお喋りをする。


給仕から飲み物を受け取り2人の婚約を祝う。たくさん喋って喉が乾いたのか、ぶどうジュースをすぐに飲んでしまったわ。新しくリンゴジュースのグラスを受け取る。


「リンゴジュースなんて久しぶりに飲むけれど美味しいわね」

「リンゴジュース?」


皆の視線がグラスに集まる。どうしたのかしら?


「リリ、それ本当にジュースよね?」

「ええ。美味しいわよ」

「失礼致します」


リュドに取り上げられ1口飲まれる。欲しいのなら給仕から貰えばいいのに・・・。


「シードルですね。発砲性では無いタイプなので間違えたのでしょう」

「リリ様はお酒に弱いのかしら?」

「ええ。でもリリは酔うと可愛いのよ」

「あら?そうなのね」


皆の視線が刺さるけれど、間違えたのは給仕だから私は悪くないわ!


「おい、酔いが回ってきてないか。シードルはビエールと変わらないだろ?」

「やはり2杯目からは駄目ですね・・・ワインほど強くないので歩けるでしょう。今のうちに控え室に下がりましょう?」

「私はまだ大丈夫よ?」

「リリ、動けるうちに行った方が良いわ。おじ様達を見かけたら伝えておくわ」

「お願い致します」


リュドに促されて渋々控え室に向かうリリアンヌを見送り。


「やっぱり、リュドがエスコートだとお酒を飲むわね・・・」

「普段より気が緩むせいじゃないかな?」

「リリ様はジュースとの違いがわからないのかしら?」

「リリは弱いくせに酒好きなんだ」

「ふふ、なかなか危なかっしいわね。彼は婚約者なのかしら?」

「リリの従僕のリュドよ」

「あの衣装で?」


皆が微妙な顔で頷くので、なかなか微妙な関係なのかとカトリーヌは思った。


「彼に任せて大丈夫なのかしら?」

「問題無い。あいつの理性と精神力は凄いからな」

「絶対真似できないよね・・・」

「まぁ、2人が言うのなら良いけれど・・・彼はリリ様がお好きみたいだから」

「「「えっ!?」」」

「あら?違うのかしら?」


ティナだけが素直に歓喜の声を上げ、サミュエルとアンドリューは微妙な顔になった。


「おじさん達は喜ぶだろうが・・・」

「リリアンヌ嬢、吊り橋効果だって頑なだよね?」

「まぁ、リュドは候補でも無いからな。どうなるか・・・」


恋愛面だけが成績不良のリリアンヌに2人は溜息をついた。



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