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転生したら伯爵令嬢~恋愛偏差値マイナスだけど優秀な部下(婿)を捕まえたい~  作者: 塩豆大福


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52話


興奮しながらリリアンヌを連れ出したクリスティナを2人は見送った。


「クリスティナ、どうしたのかな?」


サミュエルはニヤリと笑いリュドに視線を向ける。


「リュドの話題になったらリリの様子がおかしくなったからだな」

「そうなの?サミュエル達って3人兄妹みたいだよね。お互いの事にすごく敏感だし」

「まあ、俺からしたら妹が2人居るようなものだ。リュド、何があった?」


リュドは困った様な顔をして。


「おそらく、森から出てすぐの事を思い出されたのかと」

「傷だらけだった事か?」

「サミュエル様と合流した時には怪我は治っていましたが、森から出た時は怪我だらけの血まみれでしたからね。お嬢様は思い出すと少し不安になられる様です」

「リリアンヌ嬢はしっかりしていても女の子だからね」

「それだけじゃないだろ?」

「それが・・・昨日から様子が少し変でして」

「昨日何かあったんだな?」


かわしても追求してくるだろうから諦めてリュドは話し始める。


「お嬢様からお詫びで刺繍されたハンカチを頂いたのですが、旦那様にしか渡した事がないと言うので私が頂いて良いのかと話していたら真っ赤になって急に倒れられました」

「は?あのリリがか?」

「はい。あのお嬢様がです」


何とも言えない沈黙が落ちる。何故なら全員知っている。リリアンヌは照れたり恥ずかしがったりするが倒れるほど繊細では無い。真っ赤になって倒れるなど・・・。


「とうとう・・・リリアンヌ嬢にちょっと芽生えた?それで恥ずかしさから倒れたとか?」


アンドリューは前向きに考えた。


「いえ、前日まで恋愛小説のヒーローを犯罪者扱いしていましたので無いかと・・・」

「犯罪者扱いってどんな?」

「簡単にバルコニーへ侵入される邸は大丈夫なのか?それと行く先々に現れるつきまとい男を好きになる理由がわからない。どう考えても真面な人じゃないのに何故か?また会ったねっと社交以外で4回もされたら尾行を疑うと。あと男は仕事をしているのかと」

「あぁ、リリアンヌ嬢だね・・・ヒーローに対しても厳しいね・・・」


アンドリューは遠い目をした。婚約者とその親友の落差が激しい・・・。


「ハンカチって今持ってるのか?」

「こちらです」


サミュエルから聞かれ胸元から男性が持つには少し可愛らしいハンカチを差し出す。


「うわぁ・・・これは照れるね・・・」

「アンドリュー、リリに花言葉を期待するな。あいつは負の押し花を量産するタイプだ。俺は子供の時に「絶望」という栞をもらった・・・」

「あぁ、リリアンヌ嬢は気にしない人なんだね」


リュドはやはり無自覚5歳児は深く考えていなかったと安堵した。3人で話しているとクリスティナだけが戻ってきた。




*****




「リリはどうした?」

「倒れたから寝かせてきたわ」

「「はぁ!?」」

「大丈夫よ。花言葉を教えたら許容範囲を超えて倒れただけだから。サラが付き添っているし」


また倒れた事がリュドは心配になったが、サラさんが付き添っているのなら問題ない。


「クリスティナ、花言葉教えちゃったの?」

「ええ。真っ赤になって可愛かったわ!アンドリュー様、リリは恋しちゃってるのよ!」

「はぁ・・・?」

「あら?これがリリが刺したハンカチね。リュド、大事にしてあげてね」

「畏まりました」


クリスティナに差し出されたハンカチを胸元に仕舞う。


「恋してるってリリアンヌ嬢が?」

「ええ。本人は吊り橋効果だって言ってるわ。でもあれは違うと思うわ」

「えぇ・・・本当に?」

「本人は吊り橋効果だと思い込んでいるから微妙だけれど・・・」

「だとよ。リュドはどうなんだ?」


吊り橋効果の相手など1人しか居ないが、どうかと聞かれても返事に困る。リリアンヌは雇い主のご令嬢で将来の主だ。


「どうかと聞かれましても・・・」

「リュドはリリの事、何とも思わないのかしら?」

「お可愛らしいとは思いますが」

「恋愛対象としてはアリかしら?」


キラキラした瞳で期待してくるクリスティナに顔が引き攣りそうになる。恋愛対象として見ていたら従僕など務まらない。


「考えた事が御座いませんので」

「真面目だわ・・・リュドは真面目すぎるわ!」


不満そうにクリスティナは頬を膨らませる。アンドリューは苦笑いして。


「クリスティナ当たり前の事だからね」

「どうしてかしら?」

「仕えるご令嬢相手に恋愛感情を持っている異性の使用人なんて危なくて専属になんて出来ないよ。信用されている者で無ければ無理だ」

「それもそうね。リュドはいつもリリに対して態度が変わらないものね」

「まぁ、吊り橋効果じゃなかった時が楽しみだな」

「そうね!お兄様、リリの応援をしましょうね」


エノー兄妹の期待する目にリュドとアンドリューは苦笑いした。




*****




目を覚ますとまたベッドに寝ていた。これは・・・デジャブかしら?


「お嬢様、お目覚めですか?」

「私また倒れたのかしら・・・」

「はい。クリスティナ様と話している最中に」


思い出したわ・・・・・・何という花言葉を刺してしまったのよ!?前世は花言葉などと無縁だったから全然興味が湧かなくて・・・習ったけれど覚えていないわ・・・。


みるみる赤くなるリリアンヌにサラは苦笑いしながら果実水を渡す。


「サラ、ありがとう」


一気に飲み干すと少しスッキリした。


「落ち着かれましたか?」

「ええ。リュドは・・・・・・花言葉を知っていたのかしら?」

「受け取った時に気づいたと思いますよ」


リリアンヌは両手で顔を覆い言葉にならない悲鳴を上げた。


「大丈夫ですわ。そういう意味では無いとわかっているでしょうから」


それは意味の無い、ただの柄だと思っているという事?それは・・・何だか悲しいわ。でも・・・言葉のまま受け取られても困るのだけれど・・・。


「リュドが気にしていないのは残念ですか?」

「そのまま受け取られても困るけれど・・・少し悲しいわ。吊り橋効果っていつ終わるのかしら?」

「それは私にはわかりませんわ」

「またリュドを困らせるわね・・・」

「大丈夫ですよ」


吊り橋効果なのか、そうじゃないのかは、わからないがサラはリリアンヌの変化を微笑ましく見守っていた。



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