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転生したら伯爵令嬢~恋愛偏差値マイナスだけど優秀な部下(婿)を捕まえたい~  作者: 塩豆大福


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49話


部屋に2人きりにされた。


専属だが俺も一応男なんですけどね・・・。


リュドはリリアンヌからする仄かな甘い香りと柔らかい感触に「これは5歳!これは5歳!」と自分に言い聞かせた。


意識をそらす為に色々と思い返した。


専属になるまで、お嬢様は社交のハイシーズンしか王都に居ない為、ほぼ会った事は無かった。


屋敷でたまに見かけるが、当主夫妻の色彩を受け継いだお人形の様に可愛らしい少女だった。ご令嬢によくある癇癪や我儘など見た事も聞いた事も無かった。


接点と言えば仕事である素行調査だ。


お嬢様が10歳の時から頼まれている各家に対する素行調査はとにかく細かい。家丸ごと邸内での振る舞いを含む家の内情。成績はもちろん些細な噂まで調査内容は詳細だ。


素行の悪い家ほど異様に分厚くなる。しかも、あのお人形の様なお嬢様本人が目を通していると聞いて耳を疑った。


お嬢様が学園に入る時に専属になってからは「将来の女傑」と呼ばれる異様さを身を持って知った。とにかく仕事に厳しい。15歳の少女の考え方では無いし求められるレベルも高く、資料は最低5年分は比較される。


気になる事は徹底的に調べられ納得されなければ絶対にサインしない。しかも嗅覚が異様に鋭い。お嬢様が「気になる」と言うと何か出てくる。ある意味旦那様より厳しいと思う。どうやら先代にその辺は似ているらしい。


その代わり改善案は素晴らしい。実際に現場で働く者達の声をしっかり聞いてくれるので領地での評価も高い。お嬢様は「領地の勉強」と思っているが実際はすでに仕事を割り振られている。


しかし公私がとてもハッキリしている。性格の裏表は無い様だがギャップがかなり凄い。「公」である仕事があれ程厳しいのに「私」はかなり緩む。


休憩と称して俺達やメイド達とお茶を飲み他愛ないお喋りをしている時は15歳の少女らしくなる。拗ねたり突拍子も無い事を言いサラさんに怒られるのも、少し子供っぽくて気安い。


自分に興味が無い様で周りの共通認識は「恋愛感情」だけは持ち合わせておらず、大事な人以外は興味が無く他人は素行調査がすべて。自分の容姿も「そこそこ整っている」程度の認識でデビュタント後を皆が心配していた。


しかし・・・クリスティナ様が絡むと人が変わるのだけはどうかと思う。


アンドリュー様の弟の調査書は本当に見せたくなかった。だが顔色一つ変えず冷たい目で読んでいたので「公」の時は本当に別人だ。セギュール伯爵家が切り時に家族の情で動かなかった時からお嬢様は読んでいないが・・・出来れば燃やしたい。


あの後もクリスティナ様達の背中を押し、憂いなく幸せな結婚が出来る様にと高額の祝儀を出された。そして密かに害虫駆除をされていた・・・これは私情混ざりの「公」だったな。


鉱山を相続したからと高額過ぎて、本当にこの額で小切手を切るのか何度も確認した俺は悪くないと思う。




*****




お嬢様のデビュタントでエスコートを旦那様達から頼まれたのは驚いた。「将来の相手は本人が決めるから護衛名目で虫除けになってくれ」と言われて引き受けた。


ただ・・・奥様から渡された夜会服には意図を感じた。正直に周りに勘違いをさせると言うと「結婚するまでにリリアンヌに恋愛のれの字くらい芽生えさせたいの!」と言われたが短い付き合いの俺でもわかる。無理だ。


成績と素行調査が1番重要と言っているんだぞ?


デビュタント当日はとても美しく心からの賛辞が出た。奥様の期待に少しは応える為、ダンスではハプニングを使い距離を詰め、酔ったお嬢様と2人でテラスに居たが・・・照れてはいても専属としての信頼か警戒心が無く無自覚無防備なのは困った。


あれでは危なかっかしいと「目の毒だと」注意したら勘違いして泣かれて更に困った。自分の容姿を理解させようとしたら少しやり過ぎてしまったが、子息とは適切な距離を保っているので安心した。


クリスティナ様の婚約パーティのエスコートを頼まれた時も「どうしても出なければならない夜会とかぶってね」と旦那様は言っていたが・・・奥様から渡された夜会服に再び意図を感じた。


まぁ、クリスティナ様の婚約に浮かれてアルコールを飲み過ぎない様に見張るには丁度良いと思ったのに、サミュエル様のイタズラで無駄になった。


しかし、酔っ払うと甘え方がアレなのは色々大変だった。素直に身を預けてくるのは物凄く可愛かったが・・・あのドレスはヤバかった。耐えきった俺は偉いと思う。


お嬢様のデビュタントから物凄く俺の理性と精神力が試されている気がする・・・。特に奥様がそうなる様にと仕向けてきて困る。


しかし・・・お嬢様に恋愛のれの字もないのは変わらない気がする。俺は多分「身内枠」と言うやつだと思う。


社交で会う子息達みたいに壁があれば対応に困らないが、専属のせいか俺には壁が無く、お嬢様は成人したばかりで少女と言える歳だが無自覚無防備に甘えてくる。しかも・・・やたらと育っている・・・。


俺も一応健全な男なのでそういう欲が無いとは言わない。




*****




そして今だ・・・。


ストールに包まれているとはいえ薄い夜着だ。そんな状態のお嬢様を抱きかかえさせ2人きりにするとはサラさんも強引だな・・・。


何かあったらどうするつもりなのか・・・・・・いや・・・何もしないけど・・・。


「んぅ・・・・・・りゅど・・・」

「お嬢様、目が覚めましたか?」

「ん~・・・・・・」

「ベッドに横になりましょう」

「んっ・・・・・・ねる・・・?」

「そうですよ」


抱き上げてベッドに下ろすが・・・・・・襟を離さないな。


「お嬢様、手を離してください」

「やだ・・・・・・りゅどもねるの」


一緒に眠れる訳がない・・・仕方なくジャケット脱ぐ。


「明日返して下さいね」

「りゅどのにおい・・・すき・・・」


この無自覚5歳児め・・・。


「それは良かったです。さぁ、眠りましょうね」

「んぅ・・・・・・」


上掛けをかけしばらくすると寝息が聞こえてきた。椅子に座ると長く深い溜息がもれる。


本当に奥様やサラさんはどういうつもりなんだ?朝の鍛錬を増やしたが・・・精神をもっと鍛えようかな・・・。



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