41話
あら?私どうやって帰って来たのかしら?今は何時?昨日の事を思い出そうと頑張っているとサラが来た。
「お嬢様、おはようございます。気分は如何でしょうか?」
「大丈夫よ。私どうしたのかしら?」
「サミュエル様のイタズラでワインを飲まれて酔って眠ってしまわれたのです」
「えっ!?」
「パーティはすぐに辞されたので大丈夫ですわ」
サミュエルお兄様めぇ・・・。
「今は何時なのかしら?」
「10時を過ぎたところですね」
酔って記憶無くて寝坊・・・。
「さぁ、湯浴みを致しましょう」
「ええ。お願いね」
身支度を整えてもらいながら。
「リュドには迷惑をかけてしまったわね」
「ふふ、子供のように抱えられて帰宅したのには驚きましたわ」
「えぇ!」
何それ!恥ずかしくて死ねるわ・・・。
「お嬢様がなかなかリュドを離さなくて・・・ふふ、乳母がいた頃を思い出しましたわ」
前世の記憶がハッキリする5歳くらいまでは、乳母に結構甘えていたのよね。それで眠る時はお気に入りのヌイグルミや人を抱き枕にしてたのよ・・・あれをリュドにしたの?
両手で顔を覆い唸ってしまったわ・・・。
*****
朝食というより昼食に近い食事を食べてる間も皆の目が生温いわ・・・。成人したのに酔って眠って抱っこで帰宅。使用人達にも見られたなんて・・・。
でも・・・リュドはいつも通りなのよね。
部屋に戻り仕事に手をつける。が・・・集中できないわ。
「お嬢様、クリスティナ様からお手紙です。お返事がすぐ欲しいと」
「ありがとう」
サミュエルお兄様のイタズラの謝罪と体調を心配してくれているわね。今日のお茶会の誘いね。来られるなら準備出来次第ってお茶会なのよね?
メッセージカードを取り出し返事を書きメルに渡す。
「メル、これをお願いね。それとティナの所に今から行くから支度をお願い」
「畏まりました」
帰ったら仕事をしましょう。書類等を片付けドレスに着替える。
とりあえず・・・サミュエルお兄様が居たら殴っても良いわよね?
*****
エントランスでティナが待っていた。
「ティナ、お誘い嬉しいわ」
「リリ、体調は本当に大丈夫?」
「ええ。大丈夫だから安心して」
お茶会のテーブルにはサミュエルお兄様とアンドリュー様も来て居た。座ると使用人と共にメルも部屋を出て行った。
「サミュエルお兄様、アンドリュー様、ご機嫌よう」
「リリアンヌ嬢、昨日は大丈夫だったかい?」
「ええ、まぁ・・・」
「悪かったよ。あんなに酒に弱いとは知らなかったんだ」
「仕方ありませんから許して差し上げますわ」
素直に謝るサミュエルお兄様なんて何だか気持ち悪いわね。
「でも、酔っているリリはヤバかったわ・・・色気ダダ漏れって感じで・・・」
「そうだな。リリは男の前では絶対飲むな!」
「まぁ、安全を考えたら・・・そうなるよね」
昨日の事は御者から聞いて何となく思い出したのよね・・・でも色気?
「それはドレスのせいでは無いかしら?」
「それもあるけれど、酔っているリリはすっごく可愛くて!すっごくエロいわ!」
「エロい・・・・・・」
2人が頷くと言う事は本当なのね。エロいねぇ。
「アルコールは乾杯だけで今後のドレスは少し考えるわ」
「その方がいいわ。それで・・・昨日は何かあったの?」
ティナってこういう事は鋭いのよね・・・。キラキラした瞳で可愛いけど。
「御者の話だと・・・帰りに私グリーズと行った花畑に行くって聞かなかったみたいなの。すぐ帰る約束で寄ってもらったのだけれど・・・花を見て馬車に戻った時にはリュドに抱えられて眠っていたそうよ。だから、酔って我儘を言って途中で眠って、子供の様に抱えられて邸に帰ったわ」
「「「うわぁ・・・」」」
「それは・・・ちょっと恥ずかしいわね・・・」
「ええ。皆の微笑ましい目が辛いわ・・・しかも5歳までしていたやつをやったらしいのよ・・・」
サミュエルはピンときてニヤリと笑う。
「お気に入りを離さないアレか?」
「そうよ。サミュエルお兄様のせいですからね!」
「何だい?それは?」
「アンドリュー様、リリは教育が始まるまでは結構甘えん坊だったのよ。眠る時はお気に入りのヌイグルミを抱えて眠っていたの。すっごく可愛かったわぁ・・・でも時々それが人になるのよ。お泊まりした時に寝惚けながら「ティナ、だっこ」って言われた時は何かの扉が開きかけたわ・・・」
「それをリュドにやったって事?」
皆が見てくるから黙って頷いた。
「「「うわぁ・・・」」」
私だって「うわぁ!」よ!そうだわ。4人しか居ない今なら試せるわね。
「サミュエルお兄様、ちょっとお願いがあるのですが」
「なんだ?」
「ちょっと抱き締めてもらっても良いかしら?」
「「「はぁ?」」」
「確認したい事があるのよ」
「はぁ・・・抱き締めれば良いんだな?」
「ええ。お願いしますわ」
椅子から立ち上がり抱き締めてもらうが・・・違うわね。
「ティナ、アンドリュー様にもお願いして良いかしら?」
「構わないけれど、何を確認しているの?」
「わからないから確認しているの」
ティナの許可を取りアンドリュー様にも抱き締めてもらうが・・・やはり何か違う。
「お2人共、ありがとうございます」
椅子に座り直し考える。
「リリ、確認してわかったの?」
「そうね。何も思わない事がわかったわ」
「へぇ、何か思う人が居たのね」
「デビュタントの時に転びそうになって、リュドに抱き締められたのだけれど何故かとても落ち着いたの。昨日も眠ってしまったわ。お父様に近いのかと思ったのだけれど違ったから、兄的な感じかと思ったのよ。でも2人とも違うわねぇ・・・」
うんうんと悩むリリアンヌを放っておき3人は小声で話し合う。
「ねぇ、抱きしめられて落ち着くって恋なのかしら?」
「違うんじゃないかな・・・普通はドキドキするよ」
「リリは恋愛感情がマイナスだから落ち着くだけ「あり」なんじゃないか?」
「眠れちゃうほど落ち着くのに?」
「「・・・・・・・・・」」
正直、男としてそれは悲しい・・・。
「ねぇ、リリ。リュドって男の人が好きな人?」
「女の人が好きだって言ってたわ」
恋愛対象は女性なのに、リリアンヌのあの状態に大人の対応というか無反応・・・。サミュエルとアンドリューはリュドの理性と精神力の強さを尊敬した。




