28話
学園入学から1ヶ月が過ぎた。
少しずつ週末にお茶会等の招待状が届くようになったわ。サラの言っていた通りハイシーズン以外も社交があるのね・・・。
学園ではティナとカフェテリアでよく勉強をしているわ。問題が解けた時のティナは可愛いのよ!嬉しくて尻尾をブンブン振る犬を思い起こさせるわ。
可愛いティナを思い出しながら仕事をしているとリュドが部屋に来た。
「どうしたの?追加の資料?」
「エマニュエル様の調査が終わりましたのでお持ちしました」
何だかリュドの顔が不機嫌ね。
「噂は予想以上に酷かったのかしら?」
「お嬢様が読まれるのは・・・」
「大丈夫よ。大体の予想はしているから」
渋々手渡すリュドを下がらせたいのに控えているわね・・・読み終わったらすぐ回収する気ね。
あらあら、思った以上に奔放ですのね。前世のラブホテル的な所の常連なのね。これだけの人数を相手にして隠し子とか居ないのかしら?プレゼントに宿代・・・お小遣いがいくらあれば足りるの・・・?
でも・・・今は面倒な相手に惚れ込んでいますわね。この方、私は「掃除機」と呼んでいますわ。馬鹿ボン達から金品を言葉と時には体で巧みに巻き上げ最後は被害者面して慰謝料まで請求しますのよ。
馬鹿のお掃除をして下さるので、関わらなければ仕事の手際も鮮やかで優秀ですわ。
卒業して家を出た後ならご勝手にって言えますけど・・・どうしようかしら?とりあえずアンドリュー様に手紙で警告した方が良いかしら。でもセギュール伯爵が非情な決断を出来るのか微妙ね。
手紙を書く準備をしていたら調査書は回収されていったわ・・・リュド的にあの内容は駄目なのね。
前世40代だから平気よって言えたら楽だわ。
*****
アンドリュー様は両親の説得と隠し子が居ないか調査しているみたい。
定期的にエマニュエル様の調査報告を読んでいるけれど、この前はプレイ内容がわかる為リュドが物凄く見せるのを渋ったわ。
ちゃんと閨教育は受けたし、前世があるから文章なら全然平気なのに・・・。さすがに男性への耐性は無いけれど。
「もう、アレを切って種蒔を止めてしまえば良いんじゃないかしら?」と言ったらリュドにお説教をされたわ。
「名称で言っていないのに・・・アレも駄目なの?」と言ったらネグリジェの件も蒸し返してリュドったら酷いのよ!つい膨れてしまったわ。子供っぽい事をして恥ずかしくなっていたらメルが微笑ましそうに見ていて更に恥ずかしかったわ・・・。
でもサラ以外の前でも素を出せるようになったのは良い事よね?
まぁ・・・切ってしまえば良いは本心なんだけど・・・もうすぐ3月なのに内容は酷くなる一方。種蒔より卒業後どうするのかを考えた方が良いわ。このままなら慰謝料コースよ。
私なら今すぐ切り捨てる。調査書を片手に考え事をしていたら取り上げられたわ。
「リュド、まだ読んでいたのに」
「1度読めば十分です」
「内容はアレだけど、ただの文字の羅列よ?」
「それでもお嬢様が読むような内容ではありません」
「リュドは過保護ね」
リュドの眉間の皺がいつもより深いわね。内容のせいよね?お説教は嫌よ。
「私なら切り捨てているけど・・・あの甘い伯爵夫妻は切り捨てられないと思うの。でも今切らないと危険よ。セギュール伯爵家が傾きかねない。事業を拡大して今は財政に余裕があるとは言えないもの。この問題が無ければ順調に利益を伸ばして安泰なのにね・・・」
ティナが嫁ぐにはオリヴィア夫人は人柄も良く嫁イビリなんてしなさそうだし安心していたのに・・・優しさと甘さがイコールなのは問題ね。でも他家の事に口は挟めないわ・・・。
「リュドはこの件に関わって欲しくないのよね」
「当たり前です。報告内容もですが・・・これはセギュール伯爵家の問題です」
「そうよね。でもティナは本当にアンドリュー様が好きよ。その為に努力もしてきたわ。出来れば好きな人と幸せになって欲しいの・・・」
皆を心配させているのは心苦しいわ・・・。
「報告は今回までで良いわ。でも調査は続けて。念の為にお父様に報告をして頂戴」
「畏まりました」
メルがハーブティーを入れてくれた。
一息つき、悩んだけれどサミュエルお兄様に手紙を書いたわ。ティナの味方になってくれると良いけど・・・。
*****
報告を受けないと気になるけれど結果を待つと決めたわ。お父様とサミュエルお兄様が動いているみたいだし大丈夫だと思いたいわ。
いつもの様にカフェテリアで勉強をしていると視界の端に馬鹿ボンが居た。正直、気持ち悪くてすぐに視界から外したわ。
「リリ、どうしたの?」
「ここの解き方が合っているか考えていたの」
「え?もうそこまで進んだの?」
「ティナ、競争しているわけじゃないわ。ちゃんと理解しながら進めないと」
「それもそうね」
それにしても居るだけで不快だわ。顔が良いからと何故ご令嬢に人気があるのか全然わからないわ。
邸に帰り、部屋でカフェテリアでの事を話したら皆に微妙な顔をされたわ。リュドが言いにくそうに。
「お嬢様、普通のご令嬢は素行調査などはご両親がされ詳細な調査内容は知りません」
「そうなの?メルも?」
「私は両親が調査していたのかも知りません。でも、夜会で一部の人には近付かない様にと言われていました」
「だから顔だけでも人気なのね・・・あら?お相手がたくさん居るのだから知っていても人気なのかしら?」
私は前世は「おひとりさま」を謳歌していた。恋人は居た時もあるが、恋愛偏差値はマイナスだと今世も自負している。
近いのはアイドルに夢中になるファンの心理かしら?会いに行けるアイドル?いえ・・・ホストかしら?理解できないわ・・・。




