21話
もうすぐ年が明けるわ。学園生活は楽しみだけど領地を離れるのは少し寂しいわね。
今日はグリーズとお散歩よ。領地の庭をこうして歩くのは次はいつ出来るかしら?
「グリーズ、この庭ともしばらくお別れよ。でも王都の乗馬スポットを教えて貰ったから遠乗りやお散歩に出掛けましょうね」
「お嬢様、風が出てきましたのでそろそろ」
「わかったわ。グリーズ、帰りましょう」
乗馬友達となったご夫人方から王都で乗る場合のルール等を教えて貰ったわ。皆からサイドサドルは体に良くないからと言われてやめた。せっかく鞍を作ったのに・・・。
でもお父様とは横乗りの約束だったから困ったわ。相談したらご夫人方が渋るお父様を説得してくれたの。持つべきものはお友達かしら?
許可が出てドレスでの跨り方と念の為に普通の鞍での横乗りを教えて貰ったわ。練習し始めはワンピースを引っ掛けたりして、周りが物凄く慌ててたけど今は慣れたから平気よ。
社交シーズンにお会い出来るかしら?
いつの間にかサラもお仕着せで跨って乗る様になっていたわ。いつ練習したのかしら?サラって何でも出来るのよね・・・。
タウンハウスに移ったら侍女と従僕が増えるの。従僕は執事見習い。将来は専属執事になる予定よ。侍女はメイドから昇格したから今はタウンハウスで勉強中。
サラが選んだ人達だから心配はしていないけど仲良くなれるかしら?
*****
年が明けて2日目。タウンハウスに引越したわ。この世界には「お正月」が無いの。年末に女神様と精霊様に感謝を捧げるお祭りがあるだけよ。
入学式は来週。今日から3年間は基本領地には帰らないわ。
社交のハイシーズンは授業が午前中だけになる為、授業数が減るから長期休暇は無いのよね。唯一12月の最後の週と1月の最初の週の2週間が長いお休みよ。生徒の卒業から入学までね。でも何かあれば転移塔ですぐに帰れるから問題無いわ。
グリーズも新しい厩舎を気に入ったみたい。邸から近いから頻繁に会いに来られるわね。
部屋で休んでいるとノックの音がする。
「お嬢様、お休みのところ失礼致します。新しく専属になる2人をご紹介しても宜しいでしょうか?」
「ええ。入って頂戴」
サラに続いて2人が入ってくる。
「執事見習いのリュドヴィック・ロアンと申します」
「専属侍女となりましたメラニー・プラティエールと申します」
「2人共よろしくね。邸の中ではあまり畏まらないで。学園に通うからそれほど仕事は多くないと思うけどゆっくり覚えてね」
「「はい」」
2人共・・・硬いわね・・・。カントリーハウスの使用人達は雰囲気が柔らかいけど、タウンハウスは来客も多いからキッチリしているのよね。
「少し質問を良いかしら?」
「「はい」」
「じゃあ、座ってくれる?サラ、皆でお茶にしましょう」
「畏まりました。さぁ、2人共ソファに掛けなさい」
サラに促されてソファの向かい側に並んで座ってくれたわ。サラは忙しいから滅多にお茶に付き合ってくれないのよね。
「この紅茶は私のお気に入りなの。カフェのブレンドティー。定期的にブレンドが変わるし毎回美味しいから楽しみなのよ。さあ飲んでみて?」
ちょっとは表情が和らいだかしら?
「私の事はサラから聞いてね。まず、使用人の事は家族だと思っているわ。専属は特にね。ミスをしても罰したりしないから安心して。まずはリュドヴィックから質問をして良いかしら?」
「はい」
「とりあえず・・・リュドと呼んでも良いかしら?」
「構いません」
「資料を読んだけど仕事の方は期待しているわ。確か23歳だったわね。今までは邸の中での仕事が多かったのかしら?」
「はい。外に出る事はありますが資料をまとめたり書類仕事が多かったですね」
「そう。これからは私に同行してお茶会やパーティに出掛ける事もあると思うわ。嫌じゃないかしら・・・?ほら・・・リュドは見目が整っているから」
「お気遣いありがとうございます。大丈夫です」
リュドはイケメン執事見習いなのよ!ライトブラウンの髪にブルーの瞳、サミュエルお兄様とはタイプが違うけど爽やかな色気のある美青年よ。
微笑むと色気が増すのね・・・連れて歩いてどこかの変態に攫われないかしら?
「嫌な事があったら言ってね」
「ありがとうございます」
「次はメラニーね。愛称はメルかしら?」
「はい。メルとお呼び下さい。20歳です」
「メルは侍女の仕事には慣れたかしら?」
「はい。覚える事は多いですがやり甲斐がありますね」
「わからない事はサラに聞いて無理はしないのよ?あとメルも嫌な事があったら言ってね」
「お嬢様、ありがとうございます」
メルも可愛らしいのよ。赤みがかったブラウンの髪にグリーンの瞳。少しソバカスがあるのが可愛いわ!
ちなみにサラはミルクティー色の髪にグリーンの瞳。口元のホクロが色っぽいお姉様よ。絶対にモテるはずなのに33歳の今も独身。多分、触れてはいけない話題よ。
「2人は乗馬は出来るのかしら?」
「私は出来ます」
「私は乗れません・・・すみません」
「メル、乗れなくても大丈夫よ。グリーズと出掛ける時はサラかリュドにお願いするわ。メルは邸の事をお願いね」
「はい。お嬢様」
「緊急時に簡単で良いから連絡を取れる魔道具とか無いかしら?」
「確か旦那様が使っていたと思います」
「じゃあ、明日は皆で魔道具組合に行ってみましょう」
最初の印象だけど仲良く出来そうで良かったわ。その後も少しお喋りをして2人の硬さは取れた気がする。




