12話
2回目の社交シーズン。今年も順調に交友関係を広げる事が出来たわ。それとなくティナとアンドリュー様の距離が近づくように立ち回ったわよ。
ティナは私の話を聞いた事もあり、前よりも色々と考えて勉強を頑張っているわ。無理をしていないか心配だけど・・・。
「後悔はしたくないの。努力した結果なら駄目でも諦められるでしょ?でも・・・時々愚痴は聞いてね」
はぁ・・・ティナが健気で可愛いわ・・・。
愚痴なんていくらでも聞くわ!ストレス発散の為にどんどん言って欲しいくらいよ!
誰か電話の魔道具を開発してくれないかしら?
何故か私の中でティナは特別なのよね。自分でも理由なんて説明出来ないわ。でも百合じゃないわよ。
サミュエルお兄様はとても複雑そうよ。親友と妹だものね。どう思っているのか聞いてみたけど「まだ婚約とか以前の話だろ・・・」と普段見ないような仏頂面だったわ。
サミュエルお兄様ってわかりにくいけどティナの事をかなり大事にしているのよ。隠れシスコンなんだから。
私が領地に帰る前にティナからアンドリュー様と手紙のやり取りを始めたと報告を貰ったの。良い関係を築いていって欲しいわ。
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グリーズで駆け足が出来るようになったわ。
最近は馬場を出て庭をお散歩しているの。グリーズの好きに歩いているから自分の邸の庭なのに知らない所や綺麗な場所がたくさんあったわ。
サラが当たり前のようにサイドサドルでついてきたのは驚いたわ。乗れるなら教えてくれれば良かったのに。
乗馬服も少し変わったの。燕尾服もキュロットも前より細身になって動きやすいのよ。前世に近づいたかしら?
お坊ちゃまスタイルから燕尾服は黒、キュロットは白。ブーツも黒を新調したわ。前世の乗馬服って白と黒のイメージなのよ。4年に1回のスポーツの祭典でしか知らないけど。
念の為シルクハットもお願いしたわ。届いた帽子は高さがイメージしていた半分くらいでチュールがついていたの。走ったらチュールが顔に張り付かないのかしら?でもちょっと男装をしている気分ね。
ただ、サラからは「ドレスもそのくらいやる気を出して下さい」と言われたわ。
フリルを減らして寒色だけにしてくれたら・・・多分出るわよ。
次は走れる様になる事が目標よ!
まだ走れる様になっていないの?と思うでしょ。私も思うけど駆け足より先の指示はグリーズが拒否するのよ。厩舎の皆からは「グリーズに認められる様に頑張って下さい」と言われているわ・・・。
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3回目の社交シーズンが来た。学園に入る前の最後の年。
今年はティナと一緒に同級生になるご令嬢達との交友を広げたいわ。楽しい学園生活にしたいものね。
ちなみにタウンハウスのドレスルームは色の大洪水よ。色別で並んでいるけどピンクやイエローも結構あるわね・・・やんわり嫌だと言っても無視されるのよ。
昨年までのアフタヌーンドレスはお気に入りを除いて処分したわ。捨てるのかと思ったら親戚の子爵家と男爵家のご令嬢に払い下げるんですって。
ドレスがどうなっていくか聞いたら、払い下げて、古着屋に渡って、最後は平民の晴れ着になるそうよ。ちゃんとリサイクルされている事に驚いたわ。
だから、お気に入りと今年仕立てたワンピースとドレスだけなのにすでに一杯ね・・・。靴に日傘、ビジューや髪飾り、帽子とターミ〇ーターみたいな物も増えたわ。
明日、ティナと2人でお茶をするから久しぶりに自分でドレスを選びに来たけど・・・あり過ぎるわ・・・。
「サラ、多くないかしら?」
「お嬢様、普通のご令嬢より少ないんですよ」
「え?これで少ないの?」
仕立てても1回しか着ていないドレスもあるのよ?
「お嬢様は必要最低限しかお買い物をされませんから」
「当たり前でしょ?必要無いのに何故買うのかしら?」
「ですから、お嬢様の意向を汲んで最低限しか仕立てておりません」
サラは何故不満そうなの?必要の無い物は買っても意味無いじゃない。頬を膨らませたらサラに苦笑いされたわ。子供みたいな事をして恥ずかしいわね。
「でもドレスルームは一杯よ?」
「ご安心下さい。まだお部屋はありますので」
まだあるのね・・・。ドレスルームは何部屋用意されているのかしら?1度お母様の所を見せてもらおうかしら?
「でも来年からは今まで以上に仕立てますからね」
「そんなに必要なのかしら?」
学園があるから出られないお茶会やパーティもあるのに?
「学園に入られたら週末毎にお茶会やパーティの招待状を頂く事もあります。王都に3年住むのですから社交シーズンだけではありませんよ?1年中、何かしらご招待はありますからね。それとデビュタント後は夜会や晩餐にも出席しますのでイブニングドレスも仕立てませんと」
「わかったわ・・・」
来年1年だけでドレスルームは1部屋じゃ足りなさそうね。
イブニングドレスって値段はどのくらいするのかしら?考えると気が滅入るわ・・・。スキルで金銀財宝出しちゃう?
「学園に入ったら乗馬は出来ないわね」
「横乗りなら構いませんよ」
「乗馬服も新調したのよ。跨ったら駄目なの?」
「少々はしたないかと・・・」
「横乗りなら・・・学園に入る時にグリーズを連れて来ても良いかしら?」
「旦那様の許可があれば大丈夫ですよ」
お父様の機嫌が良い時に切り出しましょ。そして横乗りの鞍を新調しましょう。グリーズと王都に来る為に領地に帰ったら練習を始めなくちゃ。




