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国粋  作者: 真逆
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結末

事件は起こった。


平成最後を口火に大暴動が勃発した。


特定の人種に対する暴力。


冴えない会社員が最初に起こした暴動事件はネットやニュースで拡散されたが、非難されるどころか同調する声が高まり、全国各地で暴動が発生。


収拾がつかなくなってしまった。


「お前達がこの国からいなくなるまで徹底的に殺し尽くす」


これが彼等の起こした暴動のすべてだ。


この国に存在していることが罪であり、それは法律云々の話ではないという。


「人間にとって有害な虫を殺しても法律で裁かれないだろう」・「何人もやっているなら自分もやっても大丈夫だろう」という開き直りが彼等から躊躇いを奪った。


世界中は第二次世界大戦を思い出した。


「そうだ、この国の人間はこういう奴等だった」と。


何でもなかった男だからこそ、何でもできた。


彼と行動を共にした者達は心酔した。


社会的地位の無意味さ、周りの目の虚構さ、そして本能の尊さと信念を貫く精神を。


多くの人間が言葉ではなく、行動で示す彼の姿に感化されていった。


それと同時に理性が麻痺していったのだ。


理性を捨てた愛国者達は恐れを知らない。


法律や倫理のような綺麗事は彼等の前では無力である。


人間の欲求とやらは人間すらも呑み込んでいくのだ。


世界は取り返しのつかなくなる一線を越えてしまった。


そして、面白いほど変わり果てていく。

このような男は今も眠っている。

そして、どこにでもいる。

もし、一人でも目覚めてしまったらもう止まらない。

あと一歩のところまで近づいていることに我々は気づき始めている。

しかし、相手が一向に気づかないから、事は本当に起こってしまうかもしれない。

「気づいた時にはもう遅い」という言葉を口にするのはきまって甘く見ていた側なのだから。

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