第四章3話 作戦会議
「まず、俺は戦力的判断は得意じゃない」
と言うよりゲームや漫画などに知識を宛にしていたら痛い目に合うのが目に見えてるからぼかすしかない。と言うのもゲームなどだと魔法を使える=遠距離最強など、極論ではあるがこれに近い図が構成される訳だが……前回のモンスター討伐も前々回の時も、近接も居たしもちろん全体的に練度は低くないレベルだっただろう。
攻略水準レベルを大幅に上回る……には届かなくとも、下回ることはない程度の練度に加え前々回に至っては連携もちゃんと取れていたそれでも手こずったのだ、ゲームがユーザーにクリアできるよう難易度を落としてるのに対してこちらはリアル、敵方も自分が負けるよう手を抜いたりする訳がなく全力で戦う。
必然的に、水準をを上まっていても勝てないということになる。最悪大幅に上まっていても火事場の馬鹿力で負ける可能性もあるのが現実。これはゲームでもないとは言い切れないが……
このような様々な事実と経験から生半可な知識で知ったかぶるより、知らぬと言うのを恥と思わず聞く方がよほど建設的で仲間のためにもなる。
「作戦立てるとか言って置いて……それってどうなの?」
「くふふ」
「私は助ける相手を間違えたのだろうか……」
皆違う反応を見せてはいるが全員の声が聞き取れた訳ではない。
「悪いな、頭を使うくらいしか俺は貢献できないが。その頭もこっちの知識が無い現状知識を得るところかになる。申し訳ない」
言ってはいるものの別に悪いとは思わない。それに皆攻めてる訳ではなく呆れてるだけ出し……それも良くない気がするが
「こっち?」
ぽろっと出た言葉を耳ざとく聞きつける人物が一人いる。
「気にするな。自分の恥を少しでも緩和出来ればと思い、違うとこなら知ってる風を装っただけだから」
取りあえず当たり障りのない言い訳をつけたことだし
「そう」
納得はいって無いようだが追及してこないからいいとしよう。
「で50人って多いのか? 俺たち三人……ヴァインズ一人で倒せるか? 罠を張り、ローリェの隠密で近づき奇襲……とかで」
「50人と言っても戦闘力は個々人で違う、雄也が50人だと楽勝だろうが、エンジャ辺りの戦力だと真正面からだと良くて2.3人と言ったとこだろう」
「「!」」
「……?」
あのヴァインズをしてもエンジャ二人……エンジャってそんなに強かったの?
「少し訂正するとあくまで正面衝突の場合だ、魔法使いはあくまで遠距離攻撃がメイン。矢面に立ち近接と戦うなど愚の骨頂、本当の力の三割出せればいいといったとこだろう」
遠距離対近距離だとどちらの土俵に立つかによって有利不利が変わるのは当たり前。言葉遊びに負けるのは少しむかむかするな。日本人として言葉遊びはそれなりに好きな方だから尚更
「そうだよな……エンジャ2.3人とか言うからびっくりして判断を見誤っちまった」
「そろそろ、そのエンジャと言う人物の紹介を願いたいのだが?」
三人だけで盛り上がってるのがお気に召さないとまでは言わないだろうが、ハブられて喜ぶコミュ障でもないようだ。
「ごめんね。エンジャさんは前の町に居たギルドの長で、私たちとモンスター討伐を一緒にした戦友……でいいのかな?」
「戦友では無い気もするが……実際俺たち二人は戦ってないし」
自嘲気味に言うが自分だけが食らう傷ならいいが2人……と言ったこともありそれがなくとも、自分でも思ってるだろう彼女は
「そう……よね」
落ち込む。
————もう少し考えて発言しろよ俺。さっきコロネにも同じようなことしたとこだろ
「そう言うつもりじゃ」
「ううん、大丈夫事実だし今後の戦闘には少しでも力になれるように、援護に使える魔法を磨けばいいだけだもの。直接戦闘に貢献できなくても皆の役に立てることはあるもの」
何故か分からないがフォローを入れる前に立ち直ってしまう。悪いことじゃないけど少し残念、不謹慎なのは分かってるけど落ち込んでる姿もカワイイと思ってしまう俺がいるだけに……。
————大人になって離れてしまうようで寂しな。
喜ぶべきことを寂しがるなんて、親になったことなどないけど子供の成長と言うのはこういった気持ちなのだろうか?
「雄也殿何を迷走してるのか私には分からないが余り迷走しないで貰いたい」
現実に引き寄せるのは愛しの君であり迷走させてた本人……ではなく依頼主の方だ
「殿? ローリェも言ってたが呼び捨てで構わない」
「ローリェさ……さんもそうおっしゃたがそう言うわけに」
少しは崩してるところを見るに強情ではないみたいだが……
「やめてくれ、敬称なんかつけられるような人間じゃないし。敬称なんかつけて呼べれたら全身がむずがゆくなる」
「ですが……」
「本人がいらないと言ってる。本人の意思を蔑ろにしてまで通すべき様なことなのか?」
「……」
こういった言い方で少し強めにいうと大抵の人物は引く。揉めるのが面倒、空気を読むなど引く理由は人それぞれだが大抵の人は引く。だがごくまれにそれでも引かず自分の我を通す偏屈、頑固者が居る。
「それでも、私は付けるべだと思う。」
その少数と言える頑固者の部類に彼女は入ってるようだ。かくいう俺もがんこなほ言うだと思うが……
「これは使いたくなかったし使う気もなかったが、お前がそっち側の人間だと言うならこれを使わずには紺話が済まないだろう」
そう最終一歩手前の手段。最終手段は本当に使いたくない威厳尊厳そんなものを気にしない俺でも少しは体面を気にする心があるということだ
「お前が引かないと言うなら、俺たちはお前に手を貸さない」
「「!」」
「はぁ~」
ここまで言わせたんだ流石に引
「それでも私は引きません」
「「「!?」」」
なんと、自分の目的より敬称をつける方を優先するとういう本末転倒な答えに至ってしまった彼女は。もう意地を張ってるとしかも得ない。
————そうなると最終……手段を使わないといけない………………よね?
「ちょっと雄也!」
「ほんとそれだけは勘弁してください」
ローリェが叫ぶのと最終手段が発動するのはほぼ同時。叫んでいた彼女は反応が遅れるが、これでもう敬称がなくなり俺の威厳も同時になくなる。それは
「あ……頭をお上げください」
ジャパニーズ土・下・座。
頭に血が上り、引くに引けない状況になり意地を張り続ける人物を冷静にさせた上に負い目まで感じさせることの出来る最強にして最低最悪の最終兵器。これに立ち向かえる奥義などないと断言できる。
「なら、ならもう敬称などつけないと誓え。お前が何を大事にしていて何を信仰しているなど俺には分からないけどとにかくお前の大事な何かに誓え絶対に破らないと」
「わ、分かりましたから誓います。誓いますから頭をお上げ下さい」
「心がこもって無い、今だけの仮初じゃないだろうな?」
「違います。ちゃんと誓ってますですから頭を」
「そうか……そこまで言うならしょうがない」
この反応を見てたいがためにもう少ししていたかったのだが、無言の二人の反応が少し怖くそこまで踏み切ることが出来なかった。
因みに最終兵器と言ってはいるが、通じない相手ももちろん居る。今のコロネの様に慌てふためきこちらを気遣う、周りの目が恥ずかしく立たせようとする人物が多い中。
白けた目でごみでも見るかのように冷徹に見据える人物も勿論いる。そんな冷たい人間でなくてよかったと内心安堵しながら立つと
「流石だわ、そこまで出来るなんて」
「驚いたそこまで敬称をつけて呼ばれるのが嫌なのに、助ける気があるとういのか」
二人の反応が冷たくは無かった。それどころかすごいと称賛までしてくれる。この反応はさっきと違う意味で全身がむずがゆくなるのでやめて欲しいが、見下げたように白い目で見られるよりはマシ。そう言い聞かせ心を保つ。
「名前を決めるだけでかなり時間を使っちまった」
自分のせいだとは言わない。
「ここからが本題作戦会議だが。結果ヴァインズ一人では勝てないだったか?」
「そうだとも」
「それは罠に嵌め、奇襲をかけ、敵を分断して各個撃破でもか?」
「……」
面と向かってでは勝てないのは分かったが罠を使い分断し各個撃破なら可能なのでは? と思う反面義の部族と言う縛りがあるために、罠だとか奇襲だとか卑怯な手と思われがちな手段を使うことに抵抗があるのかもしれない
「それでも正直成功と失敗半々と言ったとこだと思う」
意外に忌避感は無いみたいだが
「考慮してくれたとこ悪いが、罠に嵌めるとか、奇襲とか姑息な手を使うのは大丈夫なのか?」
「姑息? 何を言ってるんだ? れっきとした作戦ではないか、それに敵方は悪党。悪党の断罪にちゃんとした作戦を使ったうえでの戦闘なら恥じることも、義に反することもない」
こっちの世界では違うみたいだが、罠に嵌めるや奇襲とかは、姑息と言われても差し支えないと思ってたのだが……俺の認識が違うだけなのか?
「それならいいとして。そうか……」
楽観してたわけではないが、正直ヴァインズさんマジぱねぇとか言いながら片づけてくれることを願ったり、実際実現するもんだと思ってたが……そうは問屋が卸さないという事らしい。
「ならいっそ」
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「こんなのはどうだ?」
「その手は正直好むところではない」
「私は別に構わないわよ? 成功率が高いんでしょ?」
「そんな!?」
皆の反応はうかがえた、嫌がっているのは依頼主であるコロネだけ。ヴァインズはこんな言い方をしているが本気で居やがってる訳ではないだろう。
いや本気で嫌がってるのかもしれないが出て行ったりせずにまだ一緒に居てくれてるところを見ている限りだと、俺たちに義が無いと思ってはいないようだ。
彼は義がなくなったと感じた時に出て行くと公言しており、いわゆる傭兵的立ち位置に居るだけの優しく強いお人よしだ。
そのお人よしが嫌がってはいるものの、見捨てないところを見る限り。まだ俺は捨てたものんじゃⅡという事だろう。
「じゃぁこの作戦で」
「ちょっと待ってください」
「何だよコロネ?」
作戦を決定するところで待ったがかかり、決まりが悪くなるような不快感を感じつつ理由を聞く。聞くまでもないのだが……
「その作戦は反対です」
「言うと思ってたが何でだ?」
「危険すぎるからです」
やはりそう来るよな……
「ならこれ以上に成功率の高い作戦を数分で思いつけるのか? お前の仲間が今この瞬間に殺される可能性がある。身軽になったやつらが逃げる可能性もある。そんな中でお前はまだうだうだ反対をするのか? それにハイリスクハイリターン。虎穴に入らざれば虎子を得ずだ、言っても分からないとは思うが危険を貸さずに得られるものなんてたいしてないと言うわけだ」
ことわざとか言われても分からんとは思うがこういった方が説明しやすいから別にきにしない。
「正直何を言ってるのか分かりませんそれどころか、はぐらかそうとしてるようにしか感じません」
通じると思っていなくても流石にこの反応は良い言葉を作ってくれた、先人たちに少し失礼とも思わないでもないが……もう居ない人物だしもちろん会ったこともないのでどうでもいい
「だからこそ思ってることを言わせて貰いま」
「俺は……俺たちはお前を救いたい。だからこそ今最も成功率の高いこの作戦に皆賛同してくれたんだ」
食い気味に言う方が流れをつかみやすいので、言ったのだけれど
「私は賛同したわけじゃ」
「ヴァインズさんは黙ってて」
講義が入りそうになって嫌な汗をかきそうになるが、助け舟が来た
「で……どうなんだ? それでもまだ反対するのか?」
「もちろん反対します。もし失敗したら」
正直この程度で折れる少女じゃないとは思っていたけど、芯が強いというのも困りものだな。扱いにくい。人を扱うほど起用でも頭が良い訳でも上に立つ資格がある訳でもないが流石に一緒に居るものの意見くらいは纏められなくては自称リーダーとして面目もたたない
「それをしないためにお前も頑張るんだ。お前は俺たちを嵌めるための間者じゃないんだろ?」
「ええもちろん」
間者だとしたらここまで反対しないだろうし、反対する意味が分からないから別に疑ってはいないが。こうも即答されると少し驚くな
「なら大丈夫だ俺たちはお前を信じてるし、お前も俺たちの信頼にちゃんと答えてくれる。これでこの話はおしまいだ、異論反論講義は受け付けない」
「……」
少し横暴だが流石にここまで言われたら反論できないのか、黙ってしまうただ
「絶対信頼にこたえて見せますので、生きて……生きて居てくださいよ」
とフラグじみたことを言い残すのだった。
————ちょっと先行き不安になってきたな
8月に入り暑さも増すばかりなので読者のみなさんもお体にお気を付けください。
作者は暑さに強くないのでのんびり書かせていただきます、
文字数少ないですがのんびり読んでください。




