第三章6話 発動第二のケルベロス討伐
昨夜の会議では言わなかったが、歌の事は確定になってるその事を伝えるかどうか迷ったが。前言撤回は怪しまれるかもしれないし、しかも周知の事実ではなく俺一人の意見、もしこれで怪しまれ、せっかく了承してくれた話までおじゃんになったら意味がない、同じ理由で彼女にも言うのは避けた方が良いだろう。だが歌の事が分かってる以上少し先手を取るよう動いてもいいか? そんなことを考えて罠へとひたすら続く殺風景な、草原の中にある道を歩いてると
「ねぇ」
彼女から声を掛けられる、何かと思い彼女の方に視線を向ける
「どうして私をそこまでして助けようとしてくれるの?」
そう小首を傾げるながら聴いてくる
「そんなの決まってるさっきも言ったが俺は君を死なせたくもなければ君が好きだ。それ以外に理由が必要か?」
実際理由は今言った通りのものだ、だからそれ以外に求められても困るし答えられないが、それ以外に理由など必要なのだろうか? 彼女が俺を助けようとしてくれた時も仲間を死なせたくないとか言ってたし。俺の考えはこの異世界でも別に変わった考えじゃないと思うんだが? 実際はどうか知らないし、まだ日数自体そんなに立ってないから分かる訳もないのだが
「それが本心なら別にいいの。ただ私を助ける価値があるのか……分からなかったから」
彼女は自分の事を軽んじ過ぎだ、それの理由は今の俺には分からない、彼女の事を覚えてること事態不思議な状態なのだ。だがそんな彼女のおかげで腐らずに、見苦しくとも足掻こうと決めることが出来た。たとえこの異次元だけの存在だとしても、顔が見えず存在自体希薄だとしても、助けてもらったし、支えになって貰ってるなら少しは彼女をはげませるよう言葉を搔けるべきだ。
「君が言う価値がある無しは分からないが、俺は君を助けたいと思う。その気持ちは俺が決めた俺だけのものだだから、価値より俺の気持ちを信じてくれないか? それに価値なんて自分では分からない……当たり前だ。それは自分じゃ無く他人が決めることだ。だから俺の意見だけを言わせてもらっていいのなら君は助けるに値するし。価値は十分あると思う」
彼女が何に悩み何に疑問を抱いてるのか分からないこの身が憎い。悩んでる彼女の力になれず、薄っぺらい言葉を並べるしか出来ないこの口が恨めしい。
彼女の支えになれない自分を、呪ってると
「そうね、自分の価値を自分で決めても他人との評価に齟齬が出るのは当たり前よね」
そう少し晴れたような声音で言ってくる。顔が見れればさぞ見惚れる様な笑顔でも付いているのだろうが、見てれない、ここを抜け出したら絶対拝んでやる。そんなことより、何やら少しはあの薄っぺらな言葉でも役に立ったみたいで良かった。
「そうだよ。そんなこと言いだしたら君が俺を助けるために命を懸けるとか言いだされても、そんな価値があるのかと疑問に抱くのと同じでね」
他人と自分の評価の違いなど皆あるんだ。他人の評価が少ないと小さいと騒ぐものも居れば。逆に他人の方かが重くデカすぎて潰れると言う人も居る。俺からすれば後者の人物は持ってるものの悩みにしか思えないが、それでも持ってるものは持ってるものなりに努力をし、苦労をし、いろんなものを積み重ねてそれでも、弱音を言いたくなる重圧を背負ってるのだろう。そう考えると非才な身でもよかったかもと思える不思議。
「そんな……あなたは」
「実際そう思うよそんなもんさ。だから俺は人の行為は甘え自分んでは過小評価をし、いづれどんな手かはまだ分からないけど甘えた行為分以上に誰かに返してやりたいとそう思う。
これは俺の意見で君に押し付けようとは思わない、だが自分が生きてることを疑問に思うようなことがあれば、一人で生きてるんじゃない、生かしてくれた人、生きてくれと望んだ人が、居ることを思いだし。その上で誰かのために尽力できるよう頑張ればいそう俺は思ってる」
こう思えるようになったのは彼女のおかげだろう、記憶をなくし歯がゆさが残るが、少しの事は分かる事もある。彼女がどれだけ俺の支えになってくれてるのかは記憶をなくしてから改めて思い知らされた部分だ。そんな感想を抱きだらだら喋ってたおかげで時間がたち、もう罠のとこまで付いた。その時
「今のこと覚えておくは。」
彼女はそう言って黙ってしまう、真意を問いたくとも黙ってしまって答えてくれそうにない、それに着いた。見晴らしのいい続くが今いるのは、草が茂っていて隠れられそうな場所だ、流石に木などは無いがこれでも、無いよりはましだろう。罠の位置はここから数百メートル、だからにはちんたら喋っても居られない、少しでも彼女の心に訴えかけれたのなら良かった。
そう思ってるとケルベロスが現れ前回同様罠に嵌る、それを見とどけ彼女は走って行ってしまう……かと思いきや、斥候の必要がなくなったので近接は総攻撃。
そう俺の意見で過去が改変され、斥候が必要なくなりここが決戦上に変更。その結果、近接隊は突撃遠距離隊は攻撃と少し変わった行動をとってる。
「やはり作戦変更すると、変わるもんだな」
ここからは過去の力が及びにくくなるだろう、歌の力や毒などは有効だと思うが、過去改変で万が一変わってたら困る……。その確認も含め結局俺たちは前線に来ているのだが。
「使う前の合図頼むな。」
合図の確認は前回同様目火の玉を使う。穴を抜けてきたら、すぐに使うと言ってあるので一度目の仕様は合図なしで大丈夫だろう。目くらましは攻撃手段として使うように変更になった。
過去に飛びかける思考を現実に引き戻すかのように出てくる影。
「ぐばろ」
そう気持ちの悪い鳴き声(?)とともに出てくるケルベロス、その姿を確認後、待機中のまま持っていたスマホを天にかざすように掲げ曲を再生すると……
「効いたのか?」
動きが遅くなり一つしか起きてなかった頭が船をこきはじめ、間もなく倒れこむ。それを見、遠距離隊に合図を送る。
効いたことを知らせる合図を打ち上げ、待機中だったのであろう魔法や矢が間もなく空を覆い尽くさん勢いで、飛んできる。遠距離ゆえに全弾着弾などと言うことにはもちろんならない、だが穴に落ちていた時に比べ、姿が見えてるだけに着弾率は高い。青空が再度見え始める頃には、近接隊も攻撃を開始している。
火の玉は毛を焼き、肌が露出されウィークポイントを作り、矢は横っ腹や背中に刺さりないよりはまし程度のダメージは刻んでいる。
近接隊は攻撃に移って入るが、横っ腹を攻撃しようとしては両端の頭が噛み付き後方を取ったと思い攻撃すれば、尻尾の迎撃と簡単には攻撃が通らない。
そんな中飛んでくる魔法はやはり効果的なのか、ひのたまは背中を焼き、氷の粒ては横腹を抉り土塊は土煙を上げながら着弾、味方敵ともに視界を塞ぐ。
「今の土魔法? 逆効果な気もするんだが?」
「相手も視界も防げたなら……まぁいいんじゃないか?」
「確かに見方の視界も塞いでたら本末転倒な気も……」
と、戦闘に参加出来るものがいなく戦況分析をしている三人は満場一致で今のは愚策との裁定が下る。
この場には三人いる俺、彼女、そしてもう一人は男、彼は合図を送ることが出来ると言うので付いて来て貰った、彼女の同行も目くらましが攻撃手段になると思い、頼んだ。
前回同様守りたい人を連れてくるという愚策を取るが、彼女は頼まなくてもどうせついてくるだろう。なら彼女の力も借りて勝利への道を切り開く方が建設的だ。
「次の睡眠はどこで取るかだな」
そうこれは判断を見誤れない問題。残るジャンルは二つ、今、魔法や奇襲のおかげでおかげで押せているいつ毒が回るか分からない、遅効性なのですぐには回らないだろうが、楽観は出来ない、時間を図って無いだけにいつ来るかも分からないのだ。
茂みからの攻撃は止めどなく続き近接も攻撃を続けている、が
「やはり手強いな」
頭や尻尾と言った部位を中心に攻撃しようとしても、三つ首あるだけあって攻撃しようにも噛み付きの援護があり、間に合わない時はひっかきのおまけつき。尻尾も攻撃したとしても反撃で吹っ飛んだり、蹴り飛ばされたりするので決定打には遠い。ならもう一度使っておくべきか? 出来れば一つでも頭を落としてからの方が良いんだが。そう思ってると。
「ギャァロッポ」
奇声を聞き思考を中断。するとそこには目玉に矢が刺さってる、流石に狙われてると分かってれば警戒も出来るかもしれないが、どこに当たるか分からない矢相手だと警戒の仕様が無いのか、目玉が一つ失われる
「どこに当たるか分からぬ矢もやればできるじゃねぇか」
これが狙っての攻撃であったなら、近接同様回避運動を取られたかもしれないが、遠距離はとにかく売ってるだけだろう、それが証拠に矢などそこら中に埋まってる、ケルベロスに出はなく大地に。
「こいつ相手の勝利条件って無意識の攻撃?」
そう勝利条件を仮定する。もうこの戦闘は終わっていて今さら改定したとしても遅いのだが。推測を勝手に立ててるそばで
「スゴイッ……目を一つ落としたわ!」
「さっきから外れてたのに、重要な働きをするとは……なにが起こるか分かったものじゃないね」
二人の感想を聞き、思考を停止。そう攻撃はあったのだ……がまだ目一つなのだ、前進してるのはしてるが、楽観は許されない……だけに眠らせたいが
「ここは我慢か……」
この流れを断ち切って頭一つ落としたとしても、勿体無い。なら流れに任せ頭を落とすか、目を潰すまで待つべきだろう。
そう決めた次の瞬間
「ブロォン」
ケルベロスが吠える、吠えた方角に目を向けると、なぜか戦闘中だというのに蹲ってるものがちらほらそれを確認するとすぐさま
「合図と光を直ぐ頼む」
「空気中に漂う水気よ集まり光を反射させよフラッシュ」
「クリシューバ」
頼む前に詠唱に入ってる二人頼りになることこの上ない、二人が行動してるんだ俺の取る行動も一つそう思い手に持ってたスマホを操作し曲を流す。
「すごーぐぅう」
腹がなってるような寝息を立てるケルベロス。今戦場で倒れてるものはそんなに数は居ない。
「忘れてた仮説がもう一個あった」
そうこの化物が吠えると何やらデバフが現れるかもしれないということをすっかり忘れてた。その結果がこれだ、情けない……。後悔は後だまずは指示を出さなくちゃ。
「まず動ける物は蹲ってるやつを慎重に被害が及ばないとこまで運んでくれ」
そう指示を出す、前回同様異議を唱えることなく聴いてくれる面々、前回と違い今回は俺の我儘を前面に出してるため、指揮官まがいなことをしてもあまりおかしくないところだろう。
「今の何だったの?」
「吠えた後になったのか?」
と指示を出してる間に二人は会議をはじめ出す。俺のヒロインと二人きりだなんて言い度胸してるなこの野郎
「吠えたのが原因だと思っていいと思うぜ、何かの作用があったと考える方が自然だ」
と会議に加わる、実際やつの咆哮なのは確定だろう、だが今それを言ってしまうと情報を開示してなかったのでは? と疑われたら面倒なので言わない。もちろんこの二人がそんな奴ではないと分かってる、記憶がないのに分かってるのも変な話だが、何やらその辺りは信用しても良い気がする。
「咆哮で確定だとして、どうする? 発動条件も発動回数も分からない。このままだと起きれば鳴かれ起きれば鳴かれ、の繰り返しの可能性もある」
「そうね、今すぐ頭を3つとも落とすなんて不可能だわ」
神妙な顔で話をする二人、実際その条件に関しては俺も分からない。今回分かってるのは、偶然か運か分からないが効果が一つしか発動されなかったのと、脱落者が少ないことだけだ。
前回は咆哮のせいで出た被害はゼロ……なだけにどの程度被害が出るか、発動回数や条件が分からない。どうする?




