ゼクスの話
ゼクスには、ありのままを話した。
「お前、人の傷口をえぐるなんてよくできたな~まあ助けてくれてありがとよ」
ゼクスは呆れたように俺を見る。
「お前じゃないフェスだ、あとお礼なら妹たちに言ってくれ、あいつらがいなかったらあんたは死んでいた。」
俺は、窓の外で遊んでいる妹たちを見る。
「しかし、信じられないなその歳で魔法が使えるなんて」
「そんなことはどうでもいい、今度はゼクスのばんだぜ、何があったか話せよ」
「おいフェスよー俺のことは、ゼクスさんと呼べよ!」
「嫌だ」
「即答かよ‼まあいいだが、いいのか?これを聞けば後には引けなくなるぞ」
ゼクスは、俺を脅しているのか妹たちが見ると泣く顔を向けて来る。
「上等だ‼いいから言ってみろ」
「何でお前は、そんな喧嘩ごしなんだホントに?分かったよ、話すよ」
ゼクスの話は長かった。話し終わる頃には、最初の頃から3時間は経過していた。
短くまとめるとこんな話だった。
ゼクスが所属していた組織、仮面教団(全員が仮面を着けているらしいので俺が勝手に付けた)は悪の組織らしい。
ゼクスは、その組織が嫌になり裏切ろうとしたところそれがバレ、組織の幹部に深手を負わされなんとか逃げるも、途中で仮面教団の連中に追いつかれ魔剣で斬られ、そして川に落ちたらしい。
簡単に言えばこんな感じだ。
「ふうー、長い‼晩ご飯の時間だろうが」
「悪い悪い!話すことがいっぱいあったからな」
あまり反省してないようだ。
ともあれ、あれだけの長い話を聞いて俺はこれからのことを考える。
「ゼクスは、これからどうするんだ?」
何をするにしてもゼクスがどうするか、聞いておかないと始まらない。
「そうだなー」
ゼクスは少し悩むように考え込む。
「俺は、とりあえず追っ手が来る前にここを離れるわ!お前たち兄弟姉妹はにこれ以上、迷惑をお掛けられないしな、明日出て行く」
「ふーん、別に俺はそれでも構わないが……いや何でもないご飯でも食べて早く寝ようぜ‼」
晩ご飯のあとゼクスを風呂にいれ、俺たち兄弟姉妹はリビングに集まっていると
「おいいいいー‼フェス俺の仮面はどうした⁉仮面は?」
こいつは普通に風呂にも入れないのか?
「そう言えば言ってなかったけ、わりと簡単に外れたぞ?」
俺は能力のことは、兄弟姉妹にも隠していることなのでもちろんゼクスにも話していないため、ごまかして伝える。
「そんなわけないだろう‼あの仮面は、所有者が死ぬまで外れねーんだぞ‼簡単に外れるわけがねー」
「そんなこと言われても俺は知らんし、嘘だと思うならマオにも聞いてみろよ。なあマオ」
俺はマオにも援護を求める。
「うん、フェスにーが取ったよ。ヒョイって」
「それじゃあこの話は終わりな、あと裸で出てくんな‼妹たちの目に悪い」
ちなみに妹たちの目は俺が両手を器用に使い二人の目を隠していたから、汚れることなく綺麗なままだ。
ゼクスを無理やり風呂に帰したあとには
「兄ー大胆」
「おにーちゃん見えないよー」
「あ、悪かったな」
一人違うことを言っていたが気にしない。
ゼクスが風呂から出てくると、俺も風呂に入ろうとしたがゼクスに止められた。
さすがにごまかし切れないと思ったので妹たちを先に風呂に入れ、俺とゼクスだけが残る。
「まあ細かいことは聞くな、俺にも話せないこともある。」
こう言えばゼクスは、強くは追及できないだろう。
「だがよー俺はこの仮面を外す方法が無かったから困っていたんだぞ、こんな簡単に外されると気にはなるだろう」
「外れて良かった!それでいいじゃないか、理由なんてどうでも、それに家の前に好くない者がきているみたいだしな」
「まさかもう追っ手がきたのか?」
そこまでは、俺にも分からないがこの家を囲むように人が配置されているので多分そうだろう。
「悪い俺の所為でお前たち兄弟姉妹を巻き込んでしまった、このままここにいるとお前たちも命が危ない、オレが何とか時間を稼ぐからその間に逃げてくれ」
「ゼクス何か勘違いしてないか?俺がなぜ逃げないといけないんだ?まあ俺の策がある」
俺は、そう言うとゼクスの止めも聞かずに外に出て行く。
他にも投稿している作品があるので良かったら読んでみて下さい~