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ある男の旅行記・3

「さてと、私も準備しようかしら。」

博麗がそう言いながら立ち上がり奥の方へと向かった。

「博麗は何をするんだ。」

「まだ言ってなかったわね。あなたの用心棒よ。」

「用心棒?」

とすると、ここらへんは山賊や盗賊の様な輩が出現するということなのだろうか。しかしここは日本だ、そうならば盗賊なんて居やしない。一昔前ならまだしも、今の時代……。

「あぁ、あなたもしかして妖怪を信じない人ね。信じていれば直感で感じとれると思うのだけれど。」

妖怪、幽霊や魔法と言った洋風、近代的な言い方ではなく古風な言い回し。

「妖怪、そんなものいるはずがない。」

言い終えた時、八雲は空中に手を向け何かを開くような仕草をした。 空中に禍々しい何かわからないものが現れる。強いて言うならば空間の端にできてしまった"隙間"の様なものだった。

それを形容することができず、なんと言えばいいかわからない。

八雲がなんなのかはわからないが、普通の人間ではないことはわかる。

「ま、信じることはできないでしょうけど、理解することはできるでしょう。」

「…あぁ……」

つい、レイムの方を見てしまった。この子も妖怪なのではないだろうか。

「レイムは違うわ。ちゃんとした人間の女の子。」

人間の、ということは他の種族がいるのか。それも人間と外見の差などないような。となると厄介だ、妖怪と言わんばかりの姿形をしていてくれればこちらとしても危機を察することはできる。用心棒だから普通に出くわす可能性もあるのか、考えるだけで憂鬱だ。だからこその用心棒なのだろうが。それに加えて博麗はそれらに太刀打ちできる何かを持っているということ。彼女も妖怪なのかもしれないが今までの行動とこれまでの彼女の性格から察すると何となく違う気がした。

…それにしてもこの世界に常識は通用しないらしい。

博麗が戻ってきた。手に持っているのはお祓いとかで使う棒だろう。

「それだけなら別に奥に行かなくても良かったんじゃないの。」

「へへ、いいじゃないの。少しくらいカッコつけさせてちょうだい。」

笑顔がとても綺麗だった。

「それじゃあ行こうかしら。」

しばらく見惚れてしまった。俺に話しかけたのか。

「レイム。」

右手を差し出した。すると笑顔で手を握ってくれた。しかし、やはり喋らない。この子も色々大変な目にあったのだろうか、何となくだがそんな事を考えてしまった。思い出したくない事を夢で見たからか、暗い考えに傾いてるようだ。そんな俺を感じ取ったのか、レイムは小首を傾げ俺の安否を尋ねるかのようにまっすぐな瞳で俺を見つめ返した。

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