episode1
父の仕事の関係で大都会東京から鹿児島に引っ越す事になりました。
父の仕事の関係・・・と言う事で鹿児島に引っ越す事になったけど、母は昔から父は仕事の出来る男だと言っていました。現に父の仕事の事は良く分かりませんが、部長だったと聞いたので母の話は確かだと思います。そんな父が急に鹿児島に仕事の関係で引っ越す事になったと言い出したので、私は密かに父がなにか失敗したのだと思っていました。
父の運転する車に揺られる事5分。
車が停車し、運転席から父が振り返り、私に「着いたよ」と言ってきました。
車から降りると、大きな学校がありました。
そこが、私が今日から通う学校でした。
「お父さん。この学校は何て学校?」
「ん?鹿児島市立橘南中学校だよ。」
私が父に問うと父はニコやかにそう言いました。
私は鹿児島の学校とは木造立てか、プレハブの校舎だと思っていました。
でも、以外と綺麗な学校で周りは住宅ばかり、結構近くに山が見えるけど、田舎って感じはあまりしません。
「綺麗な学校ね。お父さん」
私が言うと父は得意げに「ここは鹿児島では結構都会な方だからね!」と言いました。
何故父が得意げに言うのかは分からないけど、自分が通う学校にここを選んでくれた父には感謝していました。
「あ!ほら。早く行かないと遅刻するぞ!」
父は時計を確認するとあわてた様子で私の背中をポンと押した。
「あ、うん。行って来ます。」
私は父のあわてた様子を見て、急がないと行けないのかな?と思い足早に校舎の方に走っていきました。
職員室に着いたので、ドアをノックして開くと、丁度職員会議の真っ最中でした。
他の生徒なら今が職員会議中だと知っているだろうけど、自分は今日が初日でそんな事は知らない。
でも、なんでだろう。いくら職員会議中にドアを開けてはいけないルールがあったとしても、どうしてこ
んなに睨むみたいな目で、ガン見されるのであろう?蛇に睨まれた蛙状態だ・・・。
私が固まっていると一人の先生が近づいてきた。
「君は転校生ですか?」
その一言で急に呪縛が解けたみたいに、体が動き反射的に「すみません」と誤ってしまった。
それと同時に職員室のドアを閉めらた。
「僕は3年1組の担任。今口です。君は3年3組ですね?」
今口先生は優しく私に語りかけてくる。口調は優しいし、笑ってるけど目が笑っていない。
私はそれが怖くて小さく頷く事で肯定を表現しました。
「そうですか。3年3組の釜田先生はまだ来ていないので、僕が連れて行きます・・・がいいですね?」
私はその質問にも頷いてしまった。
3年3組に向かう途中。
「君は何処から来たのかな?」
「東京です。」
などという適当な会話で間を埋め、そんな話を今口先生としている間に3年3組に到着した。
「ここが今日から君のクラスだよ。きちんとあいさつするんだよ?」
そういって今口先生が教室にドアを開くと教室にいる皆の目が私に集まった。
いくら私が転校生だからって今口先生が居るのにこんなにも私だけに注目が集まる事があるのだろうか?
そんな事を思っていると今口先生に背中をポンと押された。
「じゃぁ、僕はここまででいいですね?では戻りますね?」
そういって今口先生は出て行ってしまった。
私は私の自己紹介が終わって席を紹介されるまで教室に居てくれるのだろうと思っていたからビックリしてしまった。
ドアの前で硬直してしまい、普通の人から見たら変だったと思うけど今口先生が居なくなった瞬間 教室の皆は急に何もなかったかの様にうつむいてしまった。
私はとりあえず自己紹介をしなきゃ。と思って教卓の前に立ち、口を開こうとした瞬間 急に教室のドアが開いた。
あまりに突然だったので私の口は半開きだった。
ドアの前には髪の薄い・・・ハゲに近い頭のおじさんが立っていた。
多分担任だろう。
私が先生に挨拶をしようと思い声を発しようとすると手でそれは静止させられおいでおいでをして来た。私は不思議に思ったけどとりあえず先生の方へ近づいた。
すると、いきなり腕を引っ張られて廊下に無理やり連れ出された。
あまりに急だったので私は小さく「あっ」と言ってしまった。
その瞬間、先生は教室のドアを閉めた。一瞬・・・ほんの一瞬だったけど、ドアがしまる前にまたクラスの方から大量の視線を感じた。
「あの。何ですか?」
私がそういうと、先生は申し訳なさそうに頭をかき、ハッハッハといった。
「いや~。すまないね。まさか君が1時間前に到着してしまうなんて思っていなかったからね。ハハハw」
先生はとても優しそうな人で、今口先生よりも温厚な感じだった。
「あ。私はこのクラスの担任 釜田 数敏です。あ。後3分待っててくれる?その後自己紹介をしてくれる?」
そういわれたので私は大人しく3分待つことにした。
すると少ししてから教室の中から急にざわめきと悲鳴が聞こえた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!」
「チャイム~♪」
それと同時にチャイムがなった
「先生。今のは・・・。」
私が言葉を詰まらせながら先生に今のはなんですか?という意味を込めてそういう言うと、先生はニコッと笑って さぁ。入りましょうか?と聞いていない風な顔をしてそういった。
私はそんな先生の態度にビックリしてしまった。
あの叫び声が聞こえなかったの?
教室に入り、教卓の前に立つと違和感を感じてしまった。
なんだろう?さっきまですごい目で睨んでいたのに、今は皆子供の用に興味津々な眼差しを向けてくる。
「え~皆さん。今日からこのクラスの仲間になるお友達を紹介します」
そういって、先生は黒板に私の名前を書いた。
「えっと。東京から父の仕事の関係・・・で・・・」
私は自分の自己紹介をしている時、興味津々のクラスメイトとは対照的に殺気立てながら私を睨んでいる女の子を見つけてしまったそして、なにやらボソボソとつぶやいている。
よく分からないが知りたくはない。
「え~っと・・・。どうかしましたか?」
釜田先生に言われて自分が自己紹介の途中でぼ~っとその女の子を見つめてしまっている事に気が付いた。
「あ・・・。いえ・・・。すみません」
「疲れているのかな?ハハハ。あ~っと・・・。君の席はあそこだよ」
そういって先生が指を指した席には・・・その女の子が座っていた。
「え?いや・・・でもあその席は・・・。」
私があわてて別の子が座っているからと言おうとすると、先生はそれを遮るように Ou!すまないね!と言った。
私も先生が指を指した方向を間違っていた事に気がついてくれたと思い安心した。
「いや~ゴメンゴメン。あの場所は嫌だよねぇ~。ちょっと待っててね!」
そういうと先生はその子の席に近づき、机を持ち上げるとベランダへ出て行き机の中に入っていた教科書を全て外へ落としてしまった。そして、後ろの校庭に面した列の一番後ろに机を置くとその子が座っていた椅子をその子から引ったくる様に奪って机に収めてしまった。
「さぁ、どうぞ。」
私はその様子を呆然と見つめる事しか出来なかった。
「え?・・・あ・・・」
先生がその女の子から椅子を引ったくるように奪ったので、その子は尻餅を付いてしまっていた。
私はそんな女の子が可哀想ではあったけど、関わるのが嫌でそそくさとその子の横を通るとさっさと椅子に座ってしまった。
椅子にその子のぬくもりを感じる。
なんだか居たたまれない気がした。
「え~。これから。受験とかテストとか色々あると思うけど、みんながんばって!じゃぁ、先生は職員室に行くから、待っててね!あ!周りのクラスは一応授業中?HRに近い事やってるから!自由時間は・・・三分だそうだ。」
先生はそういうと教室を出て行ってしまった。
先生が出て行くと、私の周りにたくさんのクラスメイトが集まってきた。
ワラワラと集まってきたクラスメイトは皆同じ事を聞いてきた。
「LINEのID教えて!」
私は皆が同じ事を聞いてきたので、ボソボソとIDをつぶやいた。
すると、みんな一斉に携帯を取り出して、なにやらしだした。
そして、一時すると私の携帯・・・LINEのトライトーンがすごいいっぱい鳴り出した。
確認すると全部クラスメイトからの友達申請だった。
「え・・・と。ありがとう。」
私はビックリしてしまい思わずお礼を言ってしまった。
そして、もう一軒グループの招待状がLINEに届いた。
「亡霊ゲーム※絶対ルール」
私はそれを皆に見せて、何ですか?これ?と聞くと皆一斉に席に付いてしまった。
私はえ?何かしましたか?とつぶやくと前の席の子が それに参加して。と言って来たので、とりあえず参加した。
その直後にクラスメイトからのLINEがぞくぞくと私の携帯に届いてくる。
私はそれがうるさくて音を消した。
LINEの方には
>東京ってどういった所?
>彼氏は居た?
>鹿児島にようこそ~w
など沢山のコチャが届く。
その中の一つにハナハナという方がいた。
私はなんだか親しみやすい感じがしたのでその人にコチャをしてみた。
<あの・・・。どうして私が教室に入った時皆さん何も言わなかったんですか?
>あ~!やっほー転校生さん!
えっとね~。ルールだよ!ルール!
<どういったルールですか?
>んっとね~・・・。私を見て!廊下側の一番前!
私がそこを見ると二つ結びの可愛らしい女の子が私の方へ手を振ってきた。
すると、急に立ち上がり沢山のプリントが貼ってある場所に近づき一枚のプリントペシペシと指で弾いた。
<それは?
>このクラスのルール。
<なんて書いてあります?
>「教室では静かに」だよ☆
<だから皆さん静かになさっているのですか?
>敬語はいいよ^▽^;
<あ・・・うん。
>えっとね。この裏にはねもう一つルールがあるの。
<ルール?
>そう。「絶対ルール」
<何それ?
>う~ん・・・。
このクラスの学級委員長ミカちゃんにパス!
ちなみに私はユウカだよ~^^よろしく~。
ハナハナことユウカさんからバイバイっといった感じのスタンプが届いてから1秒くらいして、ミカからコチャが来た。
>初LINE-!!!えっとねぇ。ユウカがこのクラスの絶対ルールの事話してーってきました><
<あ、はい。お願いします
>あのね。ウチラのクラスはそれぞれ5クラスあるです!それでですね!クラス事にそのクラスのルールを 決めるの!
1組は「みんな仲良く!」
2組は「きちんと挨拶をしよう!」
3組は「教室では静かに!」
4組は「最後の人が後始末!」
5組は「正しい敬語を!」
でね、これは1年の時に決めて3年間守り続けるのがウチの学校の伝統です!
で、ここからが本題。多分君が知りたい事ですよ!
このルールを書いた紙は3年間破ったりせずに大切にするんだけど、紙の裏にもう一つルールを決めてか くのこれが「絶対ルール。」
で、このルールにはさらにルールがあって・・・「他のクラスには知られてはいけない。」
このルールは全クラス共通です。
で、このクラスの絶対ルールは「何があっても教室内では話しちゃ行けない。」
<・・・。
でも、さっき話かけてましたよね?私に。
>あー・・・。でも3分ね・・・。
アレは許しがあったからだよ。
(ちなみに、先生はこのルールは別です。)
<許し?
>先生が言ったでしょ?最後に。「自由時間は3分」
これはこのクラスの担任だけが許される・・・命令?かな・・・。担任が好きな時に出してもいいルー ルだよ。
これも全クラスの担任の先生達がこの命令権があるけど、知られちゃダメなのね。
<それって誰が決めるんですか?
>・・・。知らない。
<え?
>私達は「王」と呼んでる。
<王・・・。
>・・・。
<あの。
絶対ルールが知られちゃいけない理由はなんですか?
「チャイム~♪」
ここでチャイムが鳴ったその音を聞いて私は顔を上げた。
あぁ、どうして私が来た時みんなが俯いたのかが分かった。
みんなLINEをしていたのか「絶対ルール」があったから。