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【盗】
「だーっ!やられた!」
悲鳴にも近い叫び声が辺りに響き渡った。
ここは、この星を治める帝王が居を構える城がある中心都市タクトダの街外れで、もう少し先に行くと下町の区域になる、そんな場所である。
下町区域は治安が悪く、常に何かしらの事件が起こっている所であるが、ここはそこから少し離れた場所だった為油断をしていたらしい。
叫び声をあげたのは17歳になったばかりの少年クウヤ。
誕生日に買ってもらったバイクが嬉しくて乗り回していた。
お腹が空いたからとバイクを降り、フードカウンターへと向かった。
そして、そのほんの一瞬で盗まれたのだった。
「チキショー!こんな街中まで盗みに来てんじゃねーよ!」
叫びながらバイクが持ち去られた方へと走った。
が、人間がバイクの早さに追い付けるわけもなく、盗まれたバイクをただ見送るだけだった。
「クッソー!何でオートロックかかんなかったんだよ!」
しばらく追いかけてはみたが、体力が尽きたところで座り込んだ。
そして、はぁはぁと息を切らしながらも呟いた。
「クッソー、ぜってー探しだしてやる・・・」