プロローグ
気分屋が書くファンタジーです。
更新が滞ったり文法がなってなかったり、単語の意味を間違えたり……なんて事が多々あるとは思いますが、どうぞ温かい目で見てやって下さい。
俺の名前は、諸魚人という。モロ魚人、そんな解釈も出来なくはないが。というかそれが、稀にある。鬼瓦という名字を読み上げる時、本当にこの読み方でいいのかと躊躇してしまう様な輩が、おどおどしながらバカ正直に読むのである。
迷惑な話だ。そして俺はそのつど声を荒げる。親がこんな衝撃的かつ奇っ怪な名前をつけた事が全ての原因なのだが。そういう意味では読み違う輩もある種被害者ではあるが、間違った事は事実。だから俺が怒ってもなんら問題はない。一番の被害者はこの俺なのだから。そしてそんな時、親はこんな事も知らずに家でのんびりテレビでも観ているのだろうなどと雑念が生じると俺はもっと怒る。済まなかった、N.Aよ。だがわかってくれ。俺は本能に身を任せているだけだったのだ。悪いのは全部俺の親なのだ。
この名前が、出来る事ならば偽名であって欲しいと自分でも強く思う。社会では、名前を書かされる場面というのが多々あるからだ。その度に顔から火が出る様な思いをしている事を親は知らない。大方昼寝でもしているのだろうなどと雑念が生じると俺はもっと恥ずかしくなる。そしてフリガナの欄を書き漏らす。恥ずかしすぎて、読み違えられても怒れないのがせめてもの救いか。
こんなにも名字と名前がベストマッチしているなんてもう、迷惑を通り越して本当に不幸である。学校で行う担任との「教育相談」では無遠慮な担任からずけずけと理由を訊かれるし。由来を訊いた自分が納得出来ないものを、一体どうして他人にそれを説明するのだ。するわけがない。お前は姓名判断をやっているのか担任よ。お前がやっているのは教育相談であろう。そう言ってやりたい気持ちを抑えて、さぁ何でしょうね。俺もなんか、訊くのは寧ろ野望なのかなとか思って訊けないんですよ。なんていってはぐらかしている。
ふぅ、過去を思い返すと気分が実に閉塞的になる。こんな時は、海だ。家から徒歩3分のところにある海だけが、何も言わずにゆっくり頷いて俺の事を理解してくれる。
俺は家を出た。