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1話 微かなひととき 前編

はなしがあまり見えてきませんがまこと申し訳ありませんが本当の話は三話で出てくるかなので良ければお待ちください。


本当スミマセン。色々な意味で

ギィー、ガチャ…


「ただいまー、って誰も起きていないか」


今玄関で声がしたのが今の俺らの義理ではあるが親の橘きあらだ。

彼女はま、アメリカの機関であるイーグルの科学者でありいつも帰ってくるのが早いときもあれば遅いときもあり大抵は向こうで何週間もとまったりもしてほとんど帰ってこない状態なのだ。

でもここんとこ最近はなにもないせいか遅いが家に帰って来るのである。

けどきあらは科学者のなかでも若くそして地位も高く、早く帰ってきたかと思ったらすぐによびだされたりとまぁ大変なのである。


「よし、きあらも帰ってきたから俺も起きるか」


俺はベッドから起き上がりリビングに向かった。


「あ、すーちゃんおはよう。あ、もしかして起こしちゃった?」


「いや、元々起きてたから大丈夫。そしておかえり、おはよう」


「空ちゃんはまだ寝てるの?」


「うん、まだ寝てるの」


俺は昨日のきあら用の夕飯をレンジでチンをしている。

いつ帰って来るかわからないから一応泊まりがわかっている日以外はご飯を作っているのである。


ピーピー


レンジの音がなった。

俺はサランラップを外してきあらの前に並べた。


「お、ありがとねすーちゃん」


きあらはすぐにもくもくとご飯をたべだした。

俺も朝飯がまだなので空のぶんもふまえて朝飯を作ることにした。

とまぁ、この家ではこのとうりきあらは遅いのでご飯は子供の俺ら二人が作るというのが俺らの日課である。

最近は俺が毎日飯を作っているけど本当なら空と1日交代で飯を作るのだがその制度がもう崩れかけて最近はおれがみんなの飯を作っているのである。

でも朝からそんなにハードなものは作らないので弁当を作ってがてら余ったものを朝飯にするのがオレ流であ。

多分もうそろ起きると思うから今作っても冷めずにすむから卵焼きとウィンナー、冷凍食品の唐揚げそして空の好物のミートボールを作ることにした。

てか俺が思うになんで中学校で弁当が必要なのか、普通なら給食のはずだがこの辺の学校では弁当を持参しなければならないのだ。


「あ、そーだすーちゃん、私にも弁当を作ってちょうだい」


「あぁ、わかった」


はぁー、どうして今頃言うのか。

まぁ、少し作る量を増やすだけだが。


「そうだ、チーズ入りちくわもちゃんといれてね」


「そんなの自分でいれろよ」


「えぇー、入れてよすーちゃん。入れてくれないとママ悲しい」


「あんたはガキかよ。てかそのすーちゃんいい加減やめろよ!」


「えーなんで、かわいくていいじゃん」


「あんたがよくてもこっちはやなんだよ」


「ひどいすーちゃん、そんなこと言わなくてもいいのにママ悲しくて泣いちゃうぞ」


「はいはい解ったからいい歳して泣くなよ」


さすがに泣かれてもらってはこっちも困る。


「お、ならチーズ入りちくわ入れてくれるの。やったー」


どうして後から言ってきておいてそのうえこれいれてねと注文するのか…

俺は今日、料理当番でもないんだぞ!!

ま、口に出さずいつも心でいってるんだけどね。


ギィー、ガチヤ扉が開くおとがしたので見て見ると長い髪がボサボサの少女がキッチンから見えた。


「おはよう空、エルー」


「あ、おはよう空ちゃんにふーちやん」


「おはよう。お兄ちゃん早く起きたなら目覚ましちゃんと止めてきてよ」


「ほんと、朝からうるさかったわ」


「すまん、起こして悪かったな」


今の少し高い声の持ち主は空の契約相手のフローラ・エルレインの声だ。

空は4年前に両親を失った辛さから契約を交わしたらしい。

俺は空が自分で選んだのだから拒絶はしなかったがきあらはちがった。

初めはかなり怒っていてかなりごちゃごちゃしてたけれど、しだいにそれもおさまり空を契約者として受け入れてくれた。

だが契約者といっても力が使えるという面を覗けばただの人と代わりがないから普通の生活に支障はないらしい。

それにフローラがいうには契約者はそれぞれ1人に契約相手をもとにした力が使えるらしく空の場合、言葉の操作とかなんとかいっていた。


けど本当は俺は契約者が嫌いだ。

あの時契約者何てものがいなければ父さんたちは死ななくてすんだのに。



「ほら、飯ができたからソファーで寝てないで食べちゃえ空。今日も学校あるんだから」


空はソファーに倒れ混んだまま動かなくなってしまった。


「ほら、今日の弁当にミートボール入れてやったのになー」


すると空はバット起き上がり机に座ってはしとコップをもち目を輝かせていた。

なんとも単純な奴。

こういうときだけ行動が早いのは誰ににたのだか。


「まだぁー、お兄ちゃんまだぁー」


「さっきまでぐぅーたらしてた奴がなに偉そうに言ってんだよ。ほら弁当のおかずの余りとパン」


「ミートボールだぁー」


「うるさい、早く食べろ」


空はまずパンやミートボール以外のおかずを高速でたべてミートボールを最後に眺め満面な笑みで食べている。

ま、作ったこっちは嬉しそうに食べている顔を見て悪い気持ちにはならない。


「あれー、すーちゃん何空ちゃんの顔見て笑ってるのいやらしぃー」


ご飯はを食べ終わったきあらが俺の顔を見ていってきた。


「別に美味しそうに食べてくれてたから嬉しかったんだよってか何俺の朝飯食ってんだよ」


きあらは昨日の夕飯じゃ物足りなかったらしく俺のおかずをばくばく食べている。


「だって、すーちゃんのご飯おいしんだもん」


いやまて、おかずって言ってもほとんど冷凍食品で手作りと言ったらあんたの好物のチーズ入りちくわだけだぞ。


「俺の朝飯を取らなくてもちゃんと弁当には入れてやったんだから俺からご飯をとるなぁー!」




最終的に俺はパンしか食えずそのまま支度をして家を出た。

きあらが7時40分には行くと言うので俺らもそれにあわした。

でも、俺と空は徒歩でだいたい20分ぐらいなのでちょうどよかった。


「なぁ空、学校のみんなには契約者だってばれてないのか?」


「ねぇそれ、毎日聞いてるよお兄ちゃん。ばれてないから安心していいよ」


空は学校のバックをくるくる回しながら言ってきた。


「ならいいんだけど」


どうしてか俺はいつも思ってしまうのだ。

空が契約者だとばれてみんなからなんか言われてしまうのじゃないのかと。

そうしたら俺は空を守ってやれるのだろうかと。

だが実際空は契約者、俺はただの人間普通に戦えば俺が勝てるはずがない。

ただでさえ任意でコントロールできるとはいえ不思議な力が使えて身体能力が人の何倍にも上がるなどそんな時点で勝ち目などない。

一度確かめたいから空に試してもらったがかなりの力であった。


「その、お兄ちゃんは契約者が嫌いじゃないの?」


う、まさかそんなことを聞いてくるとは。

ここは何て言えば…


「あ、あぁ別に嫌いではないぞ」


「ウソ、前にいったでしょ私の力は言葉を操るって、だから言葉の感情が見える私にはお兄ちゃんが言っているのがウソだと解る」


「うっ…」


なんだか悲しそう空がに言ってきた。


「いいの別にお兄ちゃんが私を嫌いでも私は好きだから。たった一人の家族だから」


「別に俺はお前が嫌いじゃない…」


言いながら空に振り替えると空は俺に抱きついてきた。


「ありがとう、でもごめんね勝手にこんなことして」


「今に始まったことじゃないだろ」


俺は空の頭を軽く撫でながらいった。

その時空は軽く泣いていた。

それを見て俺はなんだか心のそこでなんか変な違和感を感じた。


「ほら、泣いていないで早くいかないと遅刻するぞ」


「うんっ!」



そのあと俺は空を途中で見送ってから学校に向かった。

学校に着くと校門には多くの人が入っていっている。


はぁー、なんか朝から疲れたなぁ。


「よう傑、朝から冴えない顔してんなぁお前は」


俺は声のする方向に向いた。

するとそこには俺と同じクラスで仲のいい杉崎誠がいた。


「いや別に大したことじゃないよ」


「あ、おはよう傑、誠」


ちょうど通りかかった俺らと目があった、また同じクラスの山崎千夏が話しかけてきた。


「おはようさん」


「おはよう」


「あ、そうだ二人とも今日転校生が来るって知ってる?」


「あぁ、それ知ってるぜ確か女子が来るって話題になってたよな」


え、まじかよ話題とかそんなの全然聞いてないぞ俺。


「よく知ってるなお前」


「何言ってんだよ傑はあんまり人と絡まないからわからないだけで他のみんなはたいてい知ってるぜ」


「アハハ、確かに傑はもう少し回りとつるんだ方がいいと思うよ。学校の女子の間では傑のファンクラブ何てのもできてるんだよ」


「えっ、まじかよお前にファンクラブとかいいなぁ俺にもないのかよ誠様ファンクラブみたいなのが」


おいおい、いつの間にファンクラブなんかできてんだよ。

俺は二人の会話に少し、飽きれてはないが適当に言葉を返しながら教室に向かった。

俺は忘れていないうちに携帯の電源をおとした。

この学校、東京都霜野崎高校では校内での携帯でんは禁止だから電源をきらないといけないのである。

教室に入るといつものようにみんなが仲良く何か話している。

俺は一番後ろでしかも隣が誰もいない一番ベストな位置に席があるのでそこに向かった。


「おはよう傑。あまり元気がない顔してるけどどうかしたのか」


「ほんとだぁ、大丈夫傑君」


いつの間にかクラスのみんなに囲まれて朝から元気がないのを気にしてくれ悪くはないのだが余り今は人と話したくなかった。


「あぁ、大丈夫そんな気にしなくても平気だから」


どうしてだろう、なぜだか心の底が変な感覚がさっきから付きまとっていてこの感覚は空にさっき言われたときとなんかにていた。

そんな感覚で悩みながらきずいたら先生が黒板の前にたっていた。


「はいみなさん知っている人がほとんどかもしれませんが今日はなんとこのクラスに転校生が来ます。まだこの町に来たばっかなのでみんな仲良くしてあげてくださいね」


男は雄叫びを上げながら盛り上がって女子もそれにのりながらキャーキャーはしゃいでいた。

別に転校生が来るのが嫌ではないが俺にはさっきから変な違和感が付きまとっていてそっちに気がずっといっているのである。


「入ってきてください」


先生が言うとさっきまでのうるささが消えてみんな真剣な顔になりドアを見つめていた。


ガチャ


教室のドアが開いてそこからは少女が出てきた。

髪は赤色のツインテールで長く背はだいたい165cmぐらいで明るい表情でみんなの方を向いた。

クラスのみんなはさっきの盛り上がりを取り戻したかのようにはしゃぎ出した。

だが実際に俺も見とれていた。

確かに回りから今の俺の表情を見たらみんな引くかもしれないが実際に今の前にたっている彼女は一言で表すと美女である。


「ほらみんな静かにこれから自己紹介をしてもらうのだから静かにしてください。はいお願いします」


先生は彼女にチョークを渡して名前を書いてもらった。

黒板に白く名前が書かれ初めた。

書き終わり彼女は書いた名前の横に立った。


「山下琴里です。まだここに越してよくわからないこともあるかもしれませんがよろしくお願いします」


そう言って彼女は軽くお辞儀をした。


「山下さんはまだここに2日前に越したばっかなので皆さん色々とこの町のこと教えてあげてくださいね。それと放課後山下さんを学校案内してくれる人はいますか?」


「先生、今日は委員会の集まりがある人がほとんどじゃないのですか?」


確かに今日は各委員会の話し合いと昨日聞いているが俺は家の事情で入らないでいる。

事情って言っても夕飯の買い物などをしたいから先生に頼んだのである。


「なら委員会に入っていない人は誰ですか?」


するとクラスのみんなは一斉に隅っこの俺の席を向いた。


「傑だけが確か委員会に入っていないよな」


「そうだよ家の事情がどうとかで入っていないんだよ」


俺はみんなに見られて少し汗をかきはじめた。

しかも今日放課後残されたらスーパーのタイムセールに間に合わなくなってしまう。

ただでさえ今は色々な物が高いのにここで高いものを買ったらきあらに申し訳がない。


「いや、そのぉ今日はスーパーに用事があるというかなんというか」


「別にそんなの平気だろ、琴里ちゃんの校内案内お前がしろよ」


俺の前の席の誠が俺の肩を叩きながら顔をちかずけて小声で話しかけてきた。


「あんな可愛い子を捨ててスーパーで買い物とか男の恥じたぞ。ここはお前が案内をすれば琴里ちゃんとの友好度が上がっていい関係になるかも知れないんだぞ」


「なら誠がすればいいじゃん。俺はスーパーに行って買い物をしないと…」


誠は俺の肩を力強く押さえてきて途中で言葉が止まってしまった。


「俺は人の恋を助けてみたいと前から思っていたんだ、だからお前が琴里ちゃんといい関係になるのを見てみたいんだ」


「いや別に好きなんかじゃ」


「ウソつけ、さっき琴里ちゃんが入ってきたときお前見とれてただろ、ちゃんと俺は見ていたんだぜ」


「なんでそれを…」


「この誠様に任せればそんなのたやすいのさ」


「いや、理由になってないから」


誠にあきれてため息をつき俺は考えた。

確かに可愛い子を学校案内など一生に一度確かめたいからあるかないかである。

ここで逃せば確かに損をするのは俺である。


「先生!傑がやりますと言ってます」


「な、なに勝手にいってるんだよ」


「なら橘さんよろしくお願いしますね。あ、先生はこれから会議なのでこれで山下さんは空いてる席は…あ、橘さんの隣が空いているのでそこに座ってください」


先生は急いで教室を飛び出して行った。

しかも俺の隣が転校生だなんてついているのかついていないのか。


「よろしくお願いします、えっと橘さんでいいですか?」


「あ傑、傑でいいよ」


「なら傑よろしくお願いしますね」


彼女は俺には軽い会釈をして俺のとなりに座った。

そしてクラスに先生がいないのでみんなが席をたち俺と彼女の方にやって来た。


「おいおいお前だけ抜けがけずるいぞ傑」


「あぁ、俺も家の事情で委員会入らなければよかったなぁ」


クラスの男子に俺は囲まれてみんなの文句を当てられるサンドバッグ状態になっていた。


「いやでも別にやりたいってまだ言ってないんだけどなぁ」


「この際だみんなでお前の恋を実らせることにしよう」


えっ?


「今誠に聞いたぜお前も見とれていたんだろならこの際に経験値貯めてアタックしちゃえよ」


なんなんだこいつら何でこんなに人思いなんだ!?

今までこんな人思いではなかったはずだが…


このあともずっと同じことを聞かれて色々と大変であった。

だがついに放課後という過酷な壁がやって来た。

クラスのみんなは委員会の集まりでクラスからでていき俺と転校生だけになってしまった。


「ねぇ傑君ほんとうにこれから案内大丈夫なの?朝かなり必死に何か言っていたけれど用事があれば案内したことにして帰っていいですよ」


「あ、いや大丈夫ですよ。心配しなくても平気ですからほら山下さん校内案内しましょ」


「そうですかならいいんですけど。それと私のことは琴里でいいてすよ」


「あ、すみませんそれじゃ琴里さんまずどこから回りますか?」


「適当に案内してくださればいいですよ」



俺は校内のたいてい使うだろうという所を案内し、学校の人気スポットを案内して俺の解る範囲での案内は終わった。


「これぐらいですかね案内と言えば」


「ありがとうございます。傑君は人に何かを教えたりするのが上手いんですね」


「いや、別にそこまでうまいって訳じゃないと思いますけど…」


「そうだ、今日は引っ越しの荷物を勝たすので無理ですけど明日の放課後にこの町を案内してくれませんか?スーパーなどここが何かしら安いよなどでいいので」


「えっ?」


「あ、いやいいんです無理なら無理で言ってくだされば」


「へ、平気ですよその明日この町を案内すればいいんですね」


かなり同様をしてしまった。

まさか琴里から誘ってくるとは思いもしなかった。


「はい、私とその、デートになりますかね、傑君がこの町を案内をしてくれれば平気です」


「デートって」


「なんかダメでした?」


「いや、いきなりデートって言われたので少しどうようしちゃって」


いや確かに今のはビビった、まさかデートと言ってくるとは思いもしなかった。


「あ、すみませんその例え方が思い付かなかったもので…」


「なら明日の放課後はこの町の案内をすればいいんですか?」


「はい!そうです」


「なら途中でスーパーにでもよってもいいか?」


「別に構いませんよ」


「そうかならいいんだ。もう案内も終わったから帰るとするか。あ、家まで送っていこうか?」


「いや、平気ですちょっとこれから用事があるので私はこの辺で。傑君、バイバイ」


「おう、じゃあな」


琴里は何か大事な用があるのかわからないが教室を出ていった。

だが明日は二人きりでデートしながら町案内とはなかなかついてんのかな俺。


「ま、帰るか」


教室を出て廊下は委員会の会議で何かしらと聞こえるが誰も立っておらず何か平和に感じた。

学校の校門を出て家に向かって歩き出した。

時間が時間なのでスーパーは諦めることにした。

築いたら家につきそして家に入った。


「ただいま」


返事は返ってこない。

家にはきあらはほとんどいないからいるとしたら空しかいない。

そして空はいても返事しない時は寝てるか何かを熱心に頑張っている時かテレビを見ている時である。

廊下を歩きリビングに向かった。


ガチャ


「ただいま」


リビングに入ると静かであった。

奥まで行くと空がソファーで寝ていた。

何をしていたか分からないがソファーの前のテーブルには色々なものがのっていた。


「お帰り、傑。今日は遅いのね」


「あぁ、ちょっと学校で任されたことがあってねそれで遅かったんだ」


エルーが話しかけてきた。

空が寝ていてもエルーは寝ていなかったのだ。

でも寝るというよりもエルーは寝れるのかいつも疑問に思う。

ペンダントのなかにいるからそのなかはどうなっているのか、何をしているのかいつも疑問に思う。

「てか空はどうしていつもソファーで寝てんだよ」


「今日はしょうがないわ、この子帰る途中に怪我した子供を家までおぶって送ってやったのよ」


「空がっ!?」


「そうよ、この子は怪我して泣いている子を見てすぐに手をさしのべたのよ」


「ふっ、そうだったのか」


つい笑ってしまった。


「なんで人の頑張りを笑うのよ」


「いや、別に頑張りを笑ったんじゃなくて違う方に笑ったんだよ」


「違う方って何があるのよ」


「ほら、空は小さい時から一度ひがつくととことん頑張るがんばり屋さんだろ、だから笑ったんだよ」


昔から空は父さんたちが死んでから心を閉ざして何もしようとしなかったがたまにひがつくととことんやるのだ。


「まぁ確かにそれにはいちりあるわ」


「はぁ、でもここじゃあ風邪ひいちまう」


俺は空を抱えた。

さすがにソファーで寝て風邪をひかれたらこまる。

階段を上がり空の部屋に入って空をベツトに寝かせた。


「傑、君に話があるから私も連れていきなさい」


「えっ?」


「だからペンダントを持っていけばいいのよ」


「でも、持ってったら空がなんかなったりしないのか?」


「そんなの平気よ。契約同士が離れてもどちらかが望めばすぐに会えるわ」


俺はその話を聞いて安心しながらエルーのいるペンダントを持って空の部屋を出た。

リビングに入り俺はさっきまで空が寝ていたソファーに腰を掛けた。

目の前のテーブルにペンダントを置いてエルーに聞いた。


「で、話ってなんだよ」


「今日、朝に空に聞かれたこと覚えてるでしょ?その事よ」


俺は朝空に質問されたことにずっと悩んでいたのだ。

なにが自分の答えなのか、自分は契約者の空をどう思っているのか。

ずっとその答えを考えていたのだ。


「それでなんだよ」


「君は本当は空のことどう思っているのだ」


「!!」


エルーの言うことに言葉がでなかった。


「ごめん、わからない…」


「空はその事で今日1日元気がなかった。君のその返答でね」


また言葉がでない。

こんなときどう答えたらいいのか全くわからない。


「まえに言っただろう私の力は言葉を操ることができる力だと。今の空には人から出る言葉の霊、言霊ことれいが見えていると」


「・・・」


「言霊は人がその時発した言葉にこもっている感情もついていると、あのとき君の発した言葉には嫌いに近い感情が入っていたのだろう。だから今日1日元気がないのだと言うのが私の推測だ」


「・・・」


「別に私達契約者が憎いのは仕方がないだけどたった一人の妹のことも考えてやれ。話はこれだけだ」


確かに心の底は契約者が憎い、父さんや母さんを殺した契約者が憎い。

だけど身近な人が契約者になったとき複雑な気持ちになった。

けど空は契約者になったときから俺以上の気持ちを抱いていたか?

回りと違う自分を照らし合わせながら何かしらと後悔していたのだろう。

だから勇気を振り絞って俺に聞いてきたのではないか。

なのに俺は空を、そんな空を拒絶したのか。


「ごめん、エルー少しわかった気がする」


「そうか、ならいいんだ」


「空が起きたら謝らないとな俺」


「ま、明後日にその遅れを取り戻せばいい」


「明後日?」


「おいおい、傑君はどこまでひどい兄なんだ、明後日と言えば空の誕生日ではないのか?」


「あっ!!そうだった。忘れてた」


ヤバイ確かに明後日は空の誕生日だ。

エルーがいなかったらマジで危なかった。


「それにしても今日は夕飯を作らなくていいのか」


「あ、それも忘れてた」


「どれだけ忘れているのよ」


笑いで返しながらよく考えると食材がなかった。

今日スーパーによろうと思っていたらすっかりそれも忘れていた。

まだ6時すぎだから買いに行けばまだ間に合うが何にしようかなやむなぁ。


トゥルル♪


そんなときに携帯が鳴った。


「もしもし」


「あ、すーちゃん?もう夕飯作っちゃった?」


「まだ作っていないけど」


「本当!!なら一緒に食べに行きましょ。家族みんなで」


「今日は遅くないの?」


「もうそろ終わりそうだから、多分8時前には終わるわ」


「ならどこで食べるの?」


「近くのファミレスで食べましょ。時間は8時にファミレスで」


「わかった、8時なファミレスね」


「うん、じゃまた後で」


通話が終わり少し嬉しかった、久しぶりにきあらと空、3人で食事ができるのだから。


「なに話してたのよ」


「いや、久しぶりにきあらたちと食べにいくから。ほら、きあらは仕事で、いつも遅かったろだから嬉しいのさ」


「ふん、よかったじゃないの。苦ありゃ楽があるってことね」

「よくしってんじゃねえか」


「ふん、何時からなのそれは」


「えっと、8時にファミレスに集合」


「空はどうすんのよ」


「ギリギリまで寝かしとくよ」



さっきあんな話があったせいかしばらく沈黙が続いた。

だが俺は契約者のことが嫌いだ。

けどすべての契約者がみんな悪いやつだとは思えない。

契約者になったとはいえ変わらず契約者も人なのだから俺のなかでは契約者がみんな嫌いではないのだ。

多分……


「なぁ、エルーお前たちって俺たち人間と同じ人と同じ外見なのか」


「私達契約相手は人間と一緒の外見よ」


「へぇー」


「ただ、顔とかはかなり異なるわ」


「そりゃあことなるだろうな」


「・・・」


「ならどうしてエルーたちは異能な力を使えるの?」


「それはよくわからない」


「ただ、私達は人間にも同じ力を与えるため人と契約するのかもしれない」


「えっ!?」


「別に今のは聞かなかったことにしてちょうだい」


俺らはそのあと黙りが続いた。

築いたときには約束の時間にちかずいていた。


「よし、空を起こすか」


「・・・」


俺は空の部屋に向かった。

空の部屋は俺の隣のところだが空が俺の部屋に来ることがあっても俺が空の部屋に入ったことがあるのは滅多になかったから少し緊張した。

そして俺は空の部屋の前に立ちドアを叩いた。

だがやっぱり寝ているからか返事は返ってこなかった。


「は、入るぞ空」


部屋に入ると中はカーテンを閉めているから暗くだがちゃんと部屋はきれいだった。

空はやっぱりまだ寝ていた。

俺は空のベッドの前にたった。


「空、空起きろ。出掛けるぞ」


空の肩を揺さぶった。


「ん、んぅ。お兄ちゃんどしたの?」


空はまだ眠いと訴える目で俺を見ながら言ってきた。


「これから俺とお前ときあらで夕飯食べにいくんだよ。ほら起きてしたくしろ」


「三人で?」


「あぁ、三人で」


「本当!!久しぶりだねこんなの」


「あぁ、だから早くしたくしろ」


「うん♪」


「あ、そうだ空。そのあれだ、その朝はごめんな。俺はお前の事を分かってやれなくて。分かっていたつもりだったけど本当は分かってなかった。だから本当ゴメン!!」


俺は空に頭を下げた。

空がどんな表情だか分からないけど、どんな気持ちだか分からないけど今はただ謝るしかない。


「いいよ、お兄ちゃん。顔上げて。別に平気だから朝のは気にしてなんかないよ。私が勝手に聞いただけなんだからそんなの気にしないで。ほら、早くしないと遅れちゃうよ」


「俺は、俺は空が契約者であっても守る。それが約束だから。そして俺が家族のお前に出来ることだから。だからお前は気にするな、契約者であってもお前は人間だ!!俺と同じ人間だ!!だからもうそんなことは考えなくていい。ただお前は俺の家族でいればいい。変なことを考えず生きていけばいいお前は俺と同じ人間なんだから契約者がどうとか考えんな」


「おにいちゃん…」


「俺はお前を守ってやる。誰になにを言われようとも俺はお前を守る。お前の兄として、お前の家族として」


「うん、ありがと!!お兄ちゃん」


空は部屋を出ていった。

やっと言えた。

前から言いたかった気持ちがやっと言えた。


「ふぅ」


一息ついて俺は空の部屋を出た。

空は色々な所をいったりきたりしていた。

約束の時間に近ずいてきたところで空も準備が終わった。


「行こ、お兄ちゃん♪」


「あぁ」


空は元気よく出ていった。

それほど食事が嬉しいのかそれとも俺が空に打ち明けたことで空も楽になったのかわからないが、こちらとしても嬉しい。


「ほらぁお兄ちゃん早くぅ、置いていっちゃうよ!!」


俺は走り空の隣まで追いついたところで待ち合わせの場所まで歩いた。

きあらとの待ち合わせの場所まで…

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