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09☆:オタク帝国の逆襲

コメディか?これは。

〜兄とともに万屋へ行く僕らに。万屋で何が起こっているのか。



万屋にやってきた。

前来たのはいつだろう。


部屋には全身真っ白で、フルフェイスの、タツオが持っていたマスクと同じものを着けた人が何人もが整列していた。

狭い部屋にだ。

まるでSFに出てくる近未来の兵士のようだ。


「おやおや、こちらから伺おうと思っていたところだよ。タツオくん。それにリョウタくん」

と初老の男が言う。

「店長に会わせてもらいたい」

タツオは相手の顔を見ずに答えた。

「店長も君たちに会いたがっていたよ」

―君たち?


「だがタツオくん、君は自分の立場をわかっていないのかな?連れていけ」

たちまちタツオは周りの兵士たちに連れていかれた。

しばらくすると奧の部屋から、全身真っ黒の、黒いフルフェイスのマスクをした人物が出てきた。

マントをなびかせて登場したこの人物は、いかにもボスと言った具合だ。


「彼が店長・・・、いや、ジャアイアン卿だ」


僕は何となく理解した。

こいつは父のことと深く関係がある、と。


「父さんを、テツロウを返してくれ!」

僕は怯むことなく相手に詰め寄った。

相手の表情はマスクで見ることが出来ない。


「おまえの父はもういない」

ジャアイアン卿は淡々といった。

―っ!

僕は絶句してしまう。

こんなにはっきりと言われてしまっては。

「嘘をつくな!」

もはや僕はただ疑うことしか出来まい。


これ以上話すことはないと思い、僕は入り口から出ていった。

「追いますか?」

「いやいい。監視だけしておけ。私が自ら会いにいこう」



その日、タツオは帰ってこなかった。

この国に何が起こっているのか。


気付いた時にはもう遅い。

そんな言葉が頭をよぎる。

政治の実権は万民党が握った。

万民党独裁は、国家元首の皇帝を万屋社長の万・久部マン・クベとして新国家樹立の宣言をした。



僕の国は消滅し、新たに万帝国よろずていこくが誕生したのだ。



少しばかり万帝国の説明をする。

基本的には身分社会である。

オタクと呼ばれる人たちに権力が集中する世界だ。



僕はこのくそったれな帝国を打ち倒すために闘うことにした。

万屋、万・久部の支配から解放されるために。

僕は闘う。

兄を救うため、父を救うために。



町には真っ白の鎧をきた兵士たちが歩き回り、帝国に批判的なものは逮捕されるようになり、僕らに自由はなくなった。

パロディか?これは。

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