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08☆:兄猫は眠らない

パロディがテーマです。

〜僕は苦しがるタツオを引きつれて家に帰る。



リビングに入ると、母は電気を消して、部屋を真っ暗にして椅子に座っていた。

「タツオ、リョウタ・・・。お帰りなさい。」

僕は電気をつけて、恐る恐る母に尋ねる。

「どっどうしたの?」

母の目は充血していて涙を堪えているようだった。

「お父さん、もう会えないかもしれない・・・」

―え?

さすがのタツオもいつものようなことは言えないようだ。

いや、タツオのことだから全部知っているのかもしれない。



母はそう言って寝てしまった。

僕は悲しそうな目をした母に尋ねることは出来なかった。


「最近、駅前の万屋に行ってないでしょ・・・?」

僕はタツオに唐突に尋ねた。

特に明確な理由があるわけではないが、なんとなくそう思った。

「まあな、リョウタと行って以来・・・、行ってない・・・」



「なんで?昔は毎日のように行ってたんでしょ?」

タツオに何かあったのだろうか。

かなりの常連のようだったが。


「明日・・・、駅前の万屋に行くか・・・」

タツオは何を考えているのだろう。

能天気な奴だと思っていたが・・・、何か思うところがあるらしい。


「うん・・・」

僕はただ頷くしかなかった。

「明日・・・、母さんが言ってたことの意味がわかるかもしれない」

「今教えてくれよ!」

僕は少し声を荒げた。

いつもそうだ。

いつもそうなんだ。

いつも僕は知らない。

いつも僕は知らないんだ。

「いや、わかったところで手遅れだがな」

―一体なんなんだ、万屋・・・?

僕は考えた。

だが考えるだけ無駄であろう。


「考えるな、感じるんだ」

タツオは虚しく笑った。


僕はそのまま自分の部屋に入り、寝た。




いつもより少し早く起きたようだ。

タツオの部屋に行く。

タツオはすでに起きていた。

―珍しい。


僕らは例のボロアパートへ向かう。

「2☆でここ通ったの覚えてるか?」

―2☆ってなんだよ、2☆って!

「え?ああー、うん。覚えてる」


アパートの中に入り、タツオはドアの操作パネルに入力する。


「カカロットォ・・・」

とドアのキーが解除されたことを告げる音声が響く。

心なしか淋しく聞こえた。

僕らは万屋へと向かって歩きだした。


そろそろ完結か!?

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