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04☆:既知との遭遇

全12話くらいにしようかと思う。

〜万屋からなんとか逃げ出した僕。しばらく万屋から遠ざかることにした。



僕の家の最寄り駅周辺はそこそこ栄えていて、若者が遊ぶ分には何の差し支えもない。


僕は中学から付き合いのあるユウヤとゲームセンターに来ていた。



「リョウタ!格ゲーやろうぜ、格ゲー」

ユウヤの提案に僕は少し顔をしかめた。

「えー、格ゲー?」


僕はあまり格ゲーが好きじゃないない。

兄が強くて勝てなかったからだ。

実際、エドモンド・本田が飛んでいくやつしかやったことない。

「やったことないのか?格闘ゲーム」

とユウヤは僕の肩を叩きながらケラケラ笑っている。

「やったことくらいあるさ!」

僕は少しムキになって火を吹く真似をした。

「誰の真似だよそれ!」

とユウヤはやはりケラケラ笑っている。

他の客の視線が僕のハートに刺さった。


「そういえばさ、駅前でおもしろい店見つけたんだよ」

ユウヤは屈託のない笑顔で話す。

「へえ、どんな店?」

と僕もつられて笑顔になる。

―こいつは雰囲気を明るくする奴だよなあ。タツオとは大違いだ。

「何か『タツオ』な商品売ってる店なんだよ」

―え?

「そっそうなんだ・・・」

―まさかな、僕の勘違いさ。

「なんかオッサンが店先でフルーツ売ってんだぜ?」

―なんだ八百屋か、八百屋。

「オッサンが海賊王にならないか、とか聞いてくんだぜ?笑っちゃうよなあ」

―あーあー!聞こえない!そうだ年号を思い出そう!

「何の店か気になっちゃってさー!」

次第に話に熱が入ってくるユウヤ。

できればこの話は止めたいんですけど。

「『タツオ』な店に入るところ見られたらやばいじゃん?だから黒い覆面被って入ったんだよねー!」

―1192つくろう鎌倉幕府!1192つくろう鎌倉幕府!

僕の心拍数はうなぎ登りに上昇中だ。

冷静になるために年号が一番だよね。


「今から一緒に行こうぜ」

―794ウグイス、平安京!794ウグイス、平安京!


「こっちだよ、こっち」

―710ねばねば平城京!710ねばねば平城京!


「ここだよ、リョウタとならギャグで通用するよ。入ろうぜ」

僕はいつの間にか万屋の前に立っていた。

―だが断る。この八菱涼太が最も好きなことの一つは、間違ったことをしようとしてるやつにNO、と断ってやることだ・・・。


その時、万屋のドアが開く。

「Hey,Ryota!What are you doing?(あら、リョウタさん。何してるの?)」

―まっまずい、サラーシャだ!


そしてユウヤがうろたえる。

「やべぇ俺、英語わからねーよ」



僕は何とかこの場を切り抜けて家路へと向かった。

「さっきの外人何て言ってたんだ?」

とユウヤが聞いてきた。

「駅に行くにはどうやって行くのか聞いてたよ」

と冷や汗をかきながら、何とか苦し紛れの言い訳をする。

「へええ!リョウタってすごい奴だな!」

―英語できない奴でよかった。

僕は安堵しつつも動揺を悟られないように真っ直ぐ前を見て歩く。

「でも駅って目の前だけどな」

と眩しいくらいの笑顔で笑うユウヤに、僕はドキドキした。


いや、恋とかじゃなくて

読んでくれてあーりがとアロエリーマン

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