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02☆:FIRST FANTASY

ちょっと先が見えてきた。

〜日頃の兄の行動を観察するために、僕は兄とともに万屋へ向かう。


兄は三丁目のタバコ屋を曲がって細い路地へ入った。

兄曰く、サラーシャとの出会いの場は万屋だったそうだ。

惚れ薬の効き目は抜群だと兄は語る。

僕も惚れ薬なら知っている。

サラーシャも持っていた。


「リョウタ。誰にもつけられてないか?」

兄の真面目な顔を見るのは初めてだ。

そんなに重要な店なのだろうか、いやそんなはずはない。


そしてなにやらぼろアパートに入っていった。

―こんなとこにあったのか。

僕もアパートに入ると、部屋は真っ暗だった。


「ドアを閉めろ」

兄の鋭い声がする。

僕は慌てて閉めると

不自然なほど明るい照明が僕らを照らす。


「タツオ!ここどこだよ」

僕は辺りを見回しながら訪ねる。

両端は真っ白い壁に囲まれている。

正面には鋼色の巨大な扉があり、宇宙人に会えるのではないかと思わせる。


タツオは部屋の奥で何かを操作している。

「もはや、これを知っているものは少ない・・・」

―上・・・X・・・下・・・B・・・L、Y、R、A・・・。こっこれは!

「カカロットォ」

と声がしたと思ったら、扉が開き始める。


扉が開き、僕らは廊下を歩き続ける。


そして再びドアが現れる。

このドアは簡単に開くようだ。

「どうだ近かっただろう」

兄は自慢げに笑いかけてきた。

「いらっしゃい。タツオがそっちのドアから入ってくるのは久しぶりだの。」

店番をしている初老の男と兄は知り合いのようだ。

「店長はいないの?」

と兄は常連であることを匂わす。

「店長は悪魔の実を買い付けに行っておるよ」

とそんな会話をしている二人の後ろで僕は商品を眺めていた。



キノコ王国通貨、1000円

―100枚でマリオ人形プレゼント!

飛空石(小)、10万円。

―ちょっと欲しい!

眠都、200万円。

―なにやってんだハマー!

やばい興奮してしまった。

また明日来てしまいそうだ。

「タツオ、おれもう帰るよ・・・」

興奮していることを兄に悟られないように僕は呟く。こいつと同じ人間だと思われたくないからな!


「そうか。あと本来の出入口はそっちだから」

と言って正面の自動ドアを指差す。


僕は黙って万屋を出ていった。

「またのお越しをー」


万屋から一歩踏み出すと、僕は駅前の喧騒の中にいた。

―駅前かよ!

明日も万屋に行きます。

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