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12☆:王の間にようこそ!

そろそろ完結します。ここまで読んで頂き光栄です。

〜僕は皇帝の元へ連れていかれる。



「父さんにはまだ善の心が残っているはずだ。皇帝を倒して父さんを救う!」

「言ったはずだ。お前の父はもういない。・・・そして、皇帝には勝てない・・・」

僕とジャアイアン卿は皇帝のいる王座に向かって歩いている。


赤い絨毯の上を歩く。


十数メートル先の大きな扉の先に、皇帝はいるのだろう。



「この先に皇帝がいる。失礼なことをするな」


ドアが開いた。


とても広い部屋だ。

上を見上げると天井が見えないほどの高さである。

向かいにでかいスクリーンがある。

部屋の奥に椅子があり、誰か座っていた。

椅子は向こう側をむいていて誰が座っているのかわからない。

だが恐らく皇帝が座っているのだろう。



「やっと会えましたね。リョウタくん。私は万・久部だ」

椅子がこちら側を向いた。

そこには万・久部の姿があった。


「私の部下になれば世界の半分をやろう」

―世界の半分!?

「君のお父さんは快く承諾したよ」

―父さんが?

僕はジャアイアン卿の顔を見た。

マスクの中の顔は何を考えているのだろう。


「ふざけるな!」

僕は不快だという表情をして睨み付けた。


「さて『はい』か『いいえ』しか答えはないはずだが・・・」

万・久部は怪訝そうな顔をした。


「父は世界の半分を持っていて、さらに僕にもう半分くれるっていうのか!そんなの・・・、いたせりつくせりじゃないか!」

突然万・久部の表情が変わった。

「え?あっ!・・・私は頭の良いガキは嫌いだよ!」


万・久部はスクリーンの方へ目をやり、スクリーンに映像を映した。

「これを見ても考えは変わらないのかね。君たちの仲間が戦っているぞ」

―これは一体・・・?


スクリーンには小さな点がたくさん動いている映像が映っていた。

恐らく、この点の一つ一つは人間なのだろう。


「皆、君を助けに来た人たちだ。タツオくんもいるのかな」

万・久部は僕の方を向き直して言った。

「彼らが助かるかは君次第だ。リョウタくん」


「くそっ!卑怯だぞ!」

僕は拳を固めて唸った。

「そうだ、怒れ。私を倒してみろ」

万・久部は縦笛を僕の足元に放り投げた。

「こんなもので・・・!」

僕はそれを拾った。

そして呟いた。

「武器が戦力の決定的差でないことを見せてやる!」


僕は皇帝に縦笛で切り付けようとした。


しかしジャアイアン卿に阻まれて、縦笛と剣が重なる。


「邪魔をするなぁ!」


僕は自然とジャアイアン卿と対峙する形になった。


「そぉい!」


僕は縦笛でジャアイアン卿に切り付ける。

「そい!そい!そおぉい!」

縦笛と剣はぶつかり合い火花が散る。


万・久部は椅子に深々と座り見物している。

「素晴らしい・・・」



老いて傷ついた獅子は若く強い獅子に敗れようとしていた。


ついにジャアイアン卿は剣を落とされ、負けを悟った。

「さあ、とどめをさせ」

万・久部の無機質な声が部屋に響く。


ジャアイアン卿は僕の前にひざまづき息を荒そうにしている。

―僕の勝ちだ。


僕はジャアイアン卿の前に立った。

父の背中はこんなにも小さかったのだろうか。


僕は縦笛を向けて言った。

「お前の負けだ万・久部!」

「バカめ!服従しないのならば死あるのみ。服従しろ」


ついに万・久部は立ち上がった。


「リョウタ!助けに来たぞ!」

タツオが天井の見えない闇からロープを使い降りてきた。

「タツオ!」

なんと心強い援軍だろうか。

「タツオと二人で話がしたい!」

万・久部なら聞き入れてくれるはずだ。


「3分だけ待ってやる!」

―ほら!


「みんなを侵していたオタク胞子の散布は止めさせてもらった!奴は一人だ!」

タツオは僕に耳打ちした。

そして僕を見て言った。


「俺たちは負けはしない。秘密道具を持ってきた」


タツオは手を高く掲げた。

その時、

「さて、答えを聞こう!」

万・久部はこちらに向かって叫んだ。


このサイトの住人とは作風が180゜くらい違うな、とひしひしと感じる今日この頃。

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