表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

01☆:僕の家族を紹介します

僕も先がよめません。

「Hey!Ryota!(よっ!リョウタさん!)」

僕の布団をはぎ取ろうとする人物がいる。

―この声は・・・兄の婚約者のサラーシャだな。

僕は必死に抵抗しつつ呟く。

「今日は日曜日だよ、タツオに会いたくないよ・・・」

「Wake up!breakfast is ready!(起きて!朝食の準備が出来てるよ!)」

彼女は僕の布団をはがして言う。

仕方がない、僕の負けだ。

僕は二度寝を諦めて起きることにした。

「立て!立つんだジョーっ!!!(早く起きて、リョウタさん)」

―立ちますよ!

彼女が日本語を学ぶテキストが悪かったのか、日本語教師が悪かったのか、やはり兄のタツオの暗躍なのか、そもそもジャパニメーション目的で日本に来たのかはわからないが少し変った日本語を使う。

僕は寝ぼけながらも階段を降りていった。



朝の挨拶ともにリビングに入ると家族は父を除き全員席に着いていた。

ちなみにテーブルの中で一番テレビが見やすい位置に父は座り、次に兄、僕、母、サラーシャという順番で座る。


朝一番で母が僕に注意する。

「リョウタ、もう少し早く起きなさい。毎週起こしてもらってるじゃないの」

「ああ、うん」

朝一番で兄が僕に絡んでくる。

「グッドモーニング娘。!」

「ああ、うん」

―お前は黙ってろ!


僕は家族を他人に紹介するのが恥ずかしい。

なにより兄の存在を誰にも知られたくない。

残念ながら中学の時は兄と同じ中学校だったために、僕は入学したときに三年生の視線を浴びて登校したのである。

―あれは辛かった。

なんて言ったって僕の中学校には、

「お前、タツオ」

という、最悪の褒め言葉があるのだ。

「タツオ」

「キモイ」

とか

「空気読め」

の代名詞といっても過言ではない。

今でも根強く残っていると聞く。


僕が席に着いて母に聞いた。

「父さんまだ帰ってきてないの」

「仕事が終わらなくて今日も帰らないで働くみたい」

父は家族を愛する立派な人である。

そしておそらく、父の座右の銘は

「過労死」

だ。

ここ最近、会っていない。

「父さん、このままじゃ死んじゃうんじゃない?」

と僕はパンを食べながら訴える。

「そうね・・・、でもまだローンが残ってるのよ・・・」

母は心配そうに呟いた。


「親父、ベランダで『翼をください』歌ってたよ」

タツオは本当に空気が読めない奴だ。

ある意味、こいつがいるから暗い話しが途中で途切れるのかもしれない。


実は言うと父の職業を知らない。

タツオは知っているらしいが話してくれない。



どうやらタツオはこれから万屋よろずやへ行くらしい。

この店は、無い物は無いがモットーのジャンキーな店だ。

偶然にも家の近くにこの店はあるらしいのだ。

そして幼い頃の兄の人生を狂わせたのはこの店だ。


たまには兄が外で何をしているか観察するために一緒に出かけることにした。

次は万屋に行ってきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ