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第六話 二人の進歩

浴室からはシャワーの音が響く。


今は朝の4時半。みおはさすがに寝過ぎたのか今日は目覚まし時計も、葵から起こされることもなく、自然と目が覚めた。


起きてすぐに体が少し汗臭いことに気づき、昨夜は風呂に入ることなく寝てしまったことを思い出した。そしてシャワーを浴びに行ったのだ。


数分して、音が止み、みおが浴室から出てくる。


みおはスタイルはいい方だ。胸も一般よりは少しあり、それなのに体重は45kg前後という理想的なスタイルをしている。



「ふーさっぱりさっぱり♪」


みおはドライヤーをかけ、髪をセットし、すぐに朝食の準備をしようとする。


するとまたもや台所からはいい匂いがしてきて、葵がいることに気づく。


「お母さん、どうしたのこんなに早く」

「あ、おはよう。・・・たまには母親らしことしてあげなきゃってね」



そしてまた鼻歌を歌いながら再開する


「ホントに抜け目のない人だ。」


みおは自分の母親に対して改めて感心する。




葵が台所から出てくる。手にはすごく美味しそうなオムレツやベーコン、食欲がそそられる。


「わーおいしそー!いただきまーす!」

「ふふふ。召し上がれ」


「!!!なんでこんなふわふわに出来るのー⁉」

「それは愛する人のために作るからよ。みおも本当に愛せる人を探しなさい?」


「・・・しばらくはこんなにふわふわにできなくていいや」

「・・・相変わらずねぇ。あ、そうだお弁当も作っておいたから」


と言って弁当箱を差し出す。


「ほんと何から何までありがと」

「ふふっいいのよ。いつでも頼りなさい。私も今日中には帰らないといけないから。」


「ええっもう帰っちゃうの?」

「ゴメンねみお。また今度はヨーロッパ行かなきゃなんないのよ」


「次はいつになる?」

「わかんないわねぇ。次はお父さんも連れてくるからね。」


お父さん、という単語にみおは一瞬険しい顔になる。


お父さんが頑固な人だから嫌い。・・・・・・というわけではなく、むしろ甘甘過ぎて苦手なのだ。


「じゃ私そろそろ行くね〜」

「はい。行ってらっしゃい」


ガチャとドアを開けて、外に出る。今日もいい天気だ。そして今日行けば明日からはまた土日だ。そう思うとみおの足取りは自然と軽くなる。



そして駅に向かう途中でまたあいつに会う。


「おはよーみお」

「ん。おはよー」


「なぁみお。」

「ん?」

「俺と付き合って」

「やだ。」


あまりの即答にそらは苦笑する。


「これからは毎日好きだっていってあげるから」

「じゃあ私も毎日拒否り続けてあげるから」


二人はどうやら吹っ切れたようで、また前と同じように関係は戻りつつあった。




二人並んで校門をくぐる。まだ人もあまり来てないので、特に気にしたりはしない。


そしてそらは朝練へ、みおは教室に向かう。


「あ、おはよー」

「ん、あ!みおっち!おはよー!」


猪突猛進に突っ込んでくる真央をかわして話を続ける。


「真央ちゃん朝練は?」

「んーちょっと教室に忘れ物したの。でさー聞いてよ~。秋人ってば昨日すごいの!思わず壊れちゃうとこだったよ~。」

「へーへー。さっさと朝練行きな」

「みおっちつれないなぁ。あ、ひょっとして妬いてる?」


「・・・。」

「はいすみません。今すぐいきます。」


そう言って真央は走っていった。

真央はバレー部で、背丈がない分、リベロとして活躍している。


(まったく。誰が妬くか!)


ひとりでキレていると、教室に人が入ってくるのに気づかなかった。


「だーれだ?」

「!」


みおは手で視界を奪われ、一瞬動揺した・・が。


「離してよ西森君」

「あははーさすが気づくの早いな~」


西森拓也にしもりたくやはみおと同じクラスでサッカー部に所属している。


「ってか朝練はいいの?もう遅刻の時間じゃん」

「・・・そらが怖いし今からダッシュで行くとします」


普段はあんなそらだが、部活になると急に目つきがかわり、厳しくなる。そらのファンいわくそのギャップがぐっとくるらしい。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





(そろそろみんなくる頃だな・・・)


朝練も終わり、一般生徒も登校して来る時間だ。


「あ、お、おはよう笠原さん。」

「ん、おはよー」


昨日あんなことがあってどこかよそよそしいクラスメート達。


「あの。笠原さん。昨日はゴメンね・・・」

「ん?ああ、いいよ別に。ってかちなみに告られたのは事実だけど、私振ったから。」


若干の沈黙が流れる・・・。


「・・・ええ⁉ほんと⁉」

「なんだ今の時差は。・・・ほんとにほんと」


「ななな、なんで?」

「好きじゃないから。」

「ええーー!・・・・・・そら様が振られるなんて・・・。」

「誰だその王子様みたいなヤツは」


「あ、いってなかったけど、私そら様ファンクラブの会員番号002番、副会長してます」


「はあー⁉ファンクラブ⁉」

「いまはNo.362までいます。もちろん他校生にもファンがたくさんいますよ」


みおはあぜんとした。まさか幼なじみがそんなに王子的存在だったとは考えもつかなかった。


「実は・・・今回笠原さんが告られてからファンクラブ内で反乱が起きています。いまは私がなんとか抑えているけど、ちょっと危ないです」


「・・・いい迷惑だね・・・。」

「でも付き合ってないって知ればすこしは収まるかも。まぁここから先は副会長、中村琴美に任せてくだっさい!」


「よろしくね、中村さん」

「はい!できれば琴美で」

「うん、琴美ちゃんね」


クラスでも中心人物である琴美と仲が良くなり、これでクラス内については大丈夫だろう。



秋人が戻ってきた。ということはそらも来る頃だろう。


「あーおはようみおちゃん!」

「おはよー秋人君」

「真央まだ戻ってきてない?」

「あー今きたよ」


「秋人っ!!」


真央が秋人に後ろから抱きつく。


「おっと。どうした真央。また欲しいのか?」


少しからかうような秋人の誘いに真央は赤面しながらコクっとうなずき、二人は教室内で堂々とキスをする。


ヒューっとクラスから声があがる。


「俺もみおとあんな風にイチャイチャしたいなぁ。ね?みお」


いつのまにか戻ってきたそらがみおの真後ろでつぶやいた。


「いや、ありえないから」

「大好きだよ、みお」

「キモい、やだ、無いわ。」



おおーっとクラスから声があがる。ここまでそ

らを拒否できる女子は他にいないだろう。

そしてここまでそらが一人の女子に執着してるのも珍しく、クラスメイトからしたらかっこうのネタだ。




少し落ちついてきたように見えたが、それは嵐の前の静けさ。

そしてみお達にまた新しい風が吹き始めるのだ

った。

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