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第四話 片思い

みおはいつもよりもだいぶ早い時間に家に着いた。すると、みおの部屋の前には人影があった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(みおに悪いことしたな・・・)


一人取り残されたそらは席について、考え込んでいた。ちょっかいを出したのはそうなのだが、実際に好きな気持ちは変わらない。


なぜこんなにも急に話が進むのか、いや、そらはだいぶ前からみおに思いを寄せていた。


それは中学の時に芽生えた感情だった。


中学に入るまで二人はホントに兄妹のようで、異性であることなど全く意識したこともなかった。

けれど、中学にも入るとそらとみおの身長差は大きくなり、互いに違いが出てきたのだ。


いや、でもそれだけなら好きという感情には至らなかったであろう。


そうきっかけがあったのだ。そらにとってのターニングポイント。


それは、ほんとに小さな出来事だった。


体育の授業のときのことだった。普段は男子と女子で別々に授業をするのだが、その日だけは女子のほうの体育教師が不在ということで、特別に男女合同で行うことになったのだ。


内容はバレーだった。そら達のクラスには、男子バレー部に所属している人がいなく、女子のほうにはバレー部が6人と、男子は体格的に勝れど、普通にやったら女子のほうが有利だった。だからバレーになったのだ。


1チーム6人編成で6チームのトーナメント戦になった。そらとみおは決勝で戦うことに。


みおのチームにはバレー部員が二人。そして文化部にするにはもったいない実力を秘めていたみおの力で決勝まで上がっていた。


対するそら達は基本スポーツは何でも上手くこなすそらを中心にバランスがとれたチームだ。


始まってからは、少し女子チームの優勢だったが、そら達も必死に喰らいついてとても熱戦となっていた。


半分くらい時間がたち、18ー14の女子チームのリードしていた時のことだった。


「大変!みおちゃんが!」


1人の女子が叫んだとき、みおを見ると、顔からは血の気が引き、明らかに具合が悪そうだった。


(やばい!あのままだと倒れるぞ!)


そらは無意識に走り出した。そしてスタートと同時にみおの体がぐらりと揺れた。


(間に合え!)


その場にいた全員が思わず目を閉じた。


けれど、いつまでも倒れる音はしなかった。


そらの反応が良く間一髪のところで間に合ったのだ。

みおは気を失っていた。そして体育教師が駆け寄ってくる。


「笠原さんどうしたんだ!?」

「たぶん過呼吸だと思います。昔からちょっと激しい運動するとこうなっちゃうんです。」

「・・・そうか。一応念のため保健室に連れて行ってやれ。」

「はい」


そう言ってそらはみおをおぶる。みおが運動部に入らないのは、こういうこともあってのわけだ。


「失礼しまーす」


保健室の戸ガラッと開く。


しかし保健室の中には誰もいなかった。どうやら席を外しているようだ。

しょうがなく校医の先生がくるまでみおをベットに寝かせて待つことにした。


みおの様子もだいぶ落ち着いてきたようで、眠っているようだ。


すっとベットにおろした時に、みおからいい匂いがした。幼なじみから感じた女子の匂いにそらは少しドキッとした。そして寝顔を見た時には完全に見とれてしまっていた。今まで何度も見たことのある寝顔だが、成長してからの姿ではわけが違う。


整ったリズムの呼吸に、眼鏡をかけているからこそあまり気づかれないきれいな顔立ち。初めてみおに対してかわいいと思った。それははじめてみおを異性であると認識した瞬間だった。


それから好きという感情に変わるまで時間はかからなかった。


けれど、自分はともかく、みおはそう思っていないのだ。だから忘れるために無理して他の人と付き合ったりもした。


でもそれは無理だった。月日が過ぎるに連れてみおに対する思いは強まっていくばかりだ。


ついにたえきれなくなったそらは、人生で最高の勇気をふりしぼり、先日の告白に至ったのだ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



(・・・こんなことしてる場合じゃないよな。秋人達には止められたけど・・・俺はみおが好きなんだ)


頭の中を半ば強引に整理したそらは席をたち、そして走り出した。


途中で担任の教師とすれ違う。


「お、おい大和!」

「ゴメン先生!俺具合わりいから早退するね」


そして振り返りまた走り出した。


「・・・ったく具合悪いやつがそんなに速く走れるかよ・・・。今日だけだぞ。」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





「はあはあ・・・」


そらは全力ダッシュでみおの家へと向かう。普段は30分かかる道を、そらは15分で走り切った。


チャイムを鳴らす。・・・だが応答はない。


冷静さを失っているそらには焦りが増す。


(みおに何かあったら・・・くっ!)


そしてもう一回チャイムを鳴らす。

悲しくもチャイムは静寂に吸い込まれていく。





「・・・そら?」


そのとき後ろから声がした。

一番会いたい、一番声を聞きたい幼なじみが目の前にいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そらとみおは向き合う。


「何でここに・・・ってそら!?」


話してる途中でそらに抱きしめられる。


「俺と付き合って」

「!だからそれは昨日断ったじゃ」

「でも俺はみおが好きだから。いつまででも待てるから。」



みおはスッとそらから抜け出す。

そして顔を見つめる。


「・・・ゴメン。やっぱり付き合えないしそらを好きにはなれない。」


そう言ってみおは家の中へと姿を消す。




そしてまたそらは1人で立ち尽くす。


「これからもっと頑張らないとな」



そらが選んだ道は正しかったのか。でもそらは確かに一歩を踏み出した。

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