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第十五話 優しい青い空、未だ鳴らぬ音。



小鳥のさえずりが聞こえてくる。そんな声で目を覚ますなんてなんて幸せなことだろう。 もちろん起きれればの話だが。


「いて!」


みおは痛みとともに目を覚ます。


その原因はすぐ隣に寝ているものにあった。


「真央のやつ・・・」


横っ腹に真央の蹴りが入ったのだ。当の本人は気持ち良さそうに可愛い寝顔をしている。


だが、それはみおの怒りを煽るだけだった。


「起きろーー!!」





「痛たたー・・・」

「ふんっ」


寝ぼけながらも起きた真央にみおは力の限り頬をつねった。


「おはよーってどうした真央!?」

「あーきとー」


真央は秋人に抱きつく。


「言っとくけど自業自得だからね」

「ははは。何があったのか知らないけどね、ドンマイ真央」

「ううー」



朝からみおの機嫌は悪いものとなった。それなのに・・・。


「おはよーみお!」

「あ、そら、ってちょ」


そらが思いっきりみおに抱きつく。


「そら放してよ」

「いーやだ。」

「はあ。」


みおはしょうがないと思いながらも


「じゃなきゃ昨日の件は取り消す」

「!今すぐ離れます!」


サッとそらはみおを解放する。


「みおっち!どーいうこと?」

「みおちゃんそこんとこ詳しく」


真央と秋人が詰め寄る。


「あーもういいよ!私たち付き合うことにしたの!」

「「ええー!!」」



みおはもう吹っ切れていた。


「いいいい、いつのまに!?」

「昨日あの後?」


「はあ。めんどくさいな〜。あ、今日どこ行く?」

「そ・れ・よ・り・も」

「・・・」


結局みおは全てを話した。




その後ニヤニヤする二人をシカトしながら簡単な朝食を済ませる。


「今日はどうする?」

「また海ってのもな〜」

「だよねえ・・・」


んー。みおとそらは考え込む。ここは海には近いのだが、街からは結構離れている。


「思い切って海釣りとかは?」

「あ、案外いいかもよ?」

「まあ、ね。真央達もいい?」


「私たちもいいよ」

「俺も、真央と一緒なら」


「よしじゃあ行こー」



海の近くには防波堤がある。そして昨日見た限りでは近くに竿のレンタルもあったのだ。けれど素人には若干キツイかもしれない。


「竿四本お願いします!」

「あいよ。姉ちゃん達大学生かい?」

「いいえ、まだ高校生です」

「おや、じゃあダブルデートかい?」


「まあそんな感じかな。あ。おじさんありがとう!」

「じゃあサービスだよ。お金はいらないから楽しんでおいで」


「わーありがと!!」



真央はほんとに愛想がいい。こういうときは得をするなあと真央を見ながら思うみお。



「んーとりあえず来てみたものの、実際釣りってしたことないんだよねえ」

「ええーみおっち無いのー」

「真央は?」

「ないよー」


うふふーと笑う真央。


「男性陣は?」

「あははー俺はないよ?」


そらも無いようだ・・・。残るは秋人・・・。


「ん?あれ秋人君は?」


先ほどから秋人の姿が見えない。と思ったらもうすでに海に糸をたらしていた。


「秋人釣りできるのー?」

「真央、静かに。」


真央は手で口をふさぐ。


そして次の瞬間さっそく一匹目を釣り上げた。


「・・・まだちっちゃいな・・。」

「秋人すっごーい」

「まあよくじいちゃんと来たりしてたから。・・・よっと」


秋人は魚を逃がす。


「あ、秋人逃がしちゃうの?」

「ああ。まだ小っちゃいからね。大っきいの釣れたら食べるけどね。」


「秋人君すごいねー」

「む、俺だって秋人より大物釣ってやるもんね!」


「あんたはガキか・・・」

「見ててねみお!」


「はあー。真央、私たちも始めよっか」

「そーだね。秋人ー教えてー」

「ん。えっとまずは・・・」


そして全員で釣りを始める。秋人はマイペースでどんどん釣って行く。そして二十分くらいしてみお達にも当たりが。


「お、きた!」

「あ、一回止めて・・・今!回して!」

「うん!こうかな・・・えい!」


みおがさっそく釣り上げた。続いて


「やったー私も釣れたよ!」


真央も釣れたようだ。


「二人ともそのサイズならOKだから。そこの箱の中入れといて」

「わーい今夜はこのお魚だー!」


カパっとフタを開けるとそこにはもうすでに結構な量が入っていた。改めて秋人の腕に感心する。


一方そらの調子は優れないようで・・・。


「うー全然釣れない・・・あ!来た!」


一気に釣り上げる。しかしお決まりの長靴。

ブチッ!


「だーれだー!海にゴミ捨てるやつは!」

「そらうっさい!」

「あ、ごめん・・・」


その後もそらは残念だった・・・。




「わーホント秋人すっごい!!」

「だよねえ~」

「はは、今日は入れ食い状態だったからね」



結局みおは四匹、真央は三匹、そして秋人は数えきれないくらい釣った。

そらは・・・言うまでもないだろう。しいて言うならば海の清掃にだいぶ貢献していた。



「まだ四時くらいだしねー何しよっか?」

「なら・・・勝負だ秋人!」

「また釣りで?」

「いや、さすがにそれは。・・・サッカーで!」


「ボールは?」

「もちろんあるよ」

「じゃ、いっちょやるか」



勝負の方式は一対一。先にベンチの上の空き缶に当てた方が勝ち。


「近くにこんな公園があったとはね~」


その公園はほとんど遊具がなく、その分結構なスペースがありほぼ空き地に近い感じだ。


「じゃ俺ボールな」


秋人ボールでスタートする。



秋人がドリブルを始めるとすぐさまそらも奪いに行く。

ポジション的に言えば、FWそらとMF

(秋人)となっている。


二人とも全国選抜候補に入っていて、互角と言える。


「お、チャンス」


秋人がシュートを打つ。が惜しくも外す。


「あー惜しい!秋人頑張れ~!」

「そら根性見せろー」


しかしMFということもあり、多少は秋人のほうがドリブルはうまい。

けれどそらも負けていない。なんとか秋人の突破をふせいでは果敢に攻めて行く。


そして秋人が二本目のシュートを打つ。

これはコースも高さもちょうどピッタリだ。

あ、終わるな。とみおも思った。


けれど寸前のところでそらが追いつき、カットする。そして隙のできた秋人をかわし、シュートを放つ。


少し離れたところからだったが見事綺麗に決まった。そこはFW。シュートの精度では秋人に負けるわけにはいかないのだ。


「よっし!」

「あっちゃあ。」


「秋人お疲れ!惜しかったね」

「あ、今だいぶ汗かいてるから抱きつかないほうがいいよ?」

「秋人の汗なら大丈夫だもん」


さすがはバカップル。ここでもその力を発揮している。


「あ、みお。俺も汗かいてるから抱きつかないほうがいいよ?」

「抱きつかねーよバカ」

「えーそこは真央さんみたく素直にさー」


みおは付き合ってもみおのままだ。


「えーでもみおっちさっきそら君のこと応援してたじゃん」


真央はニヤニヤしながら言う。


「あーうん。まあしてたけど。ま、好きな人のこと応援してもいいんじゃない?」


みおは天然なのか。はたして狙ってやっているのか。しかしそらにとっては会心の一撃だった。


「みおー!」

「うわ!さっき自分から抱きつかないほうがいいって言ったくせに」

「それはそれ。みお大好きだよ!」

「・・・やれやれ」

「そこは、私も!って言うとこだよ」


「・・・私も好きだよそら」

「!」


そらは今度こそ凍りついた。


「みおっち言うようになったねえ」

「ほんと大胆だね」


「・・・それよりコレどうすればいいの?」


動かないそらをどうすべきか、ここはやっぱり・・・。


「よっこいしょ、と!」


みおはそらに蹴りを繰り出す。

そしてやっとそらは覚醒する。


「はっ!みお?」

「あ、ゴメン痛かった?」

「ちょっとね・・・でも嬉しいよ」


「え、まさかのドM宣言?」

「いや、そっちじゃないよ!?さっきのこと。」

「ああ、そっちか・・・」

「もう!大好きだよ!」

「あーもう暑苦しいっつーの!」


カップルになったからにはこういう、イチャつきも増えるであろう。みおはそれを全力で防ぐことがこれからの課題となるであろう。


そしてここに闘志を燃やすもの達が。


「みおっちめ~負けないよ!秋人!私たちももっとイチャイチャしよ!」

「ああ、俺もそらに負けちゃいられないしな!」


みおとしては闘志を燃やされても困るのだが。




その日の夜は釣って来た魚を焼いて食べることに。


「あー腹減ったなあ」

「そら全然釣れなかったもんね」

「あははーそら君地球環境にはいいことしたのにね」

「俺のあげるか?」


「うー秋人からもらうのは何か癪に障るな」


しかしそらの腹の虫は大音量で騒いでいる。


「しょうがないなあ。ほら私の分けてあげるよ」

「!み、みお・・・ありがとう。・・・食べさせて?」


「あげんのやめるぞコラ」

「はい、自分で食べます」


「そら、みおちゃんに完璧に尻に敷かれてるよ・・・。」

「そのほうが長続きするらしいしいいんじゃない?」


「じゃあ俺たちは短いのかな」

「大丈夫だよ。もし別れることになりそうになったら秋人をナイフで刺してでも別れないから」


「それはどうかと思うけど。ま、別れることなんて絶対ないよ。だって俺たちは結婚するんだろ?」

「うん!」


真央が秋人の頬にキスをする。


「今夜は寝かせないよ・・・」

「うふふ、私も寝たくなーい」


このバカップルに勝るほどあまあまなカップルはいないと思う。




その後結局そらは秋人からも分けてもらい、あれほどあった魚も今では0となっている。恐るべし高校生の胃袋。




その日の夜。みおはまたも夜空を眺めていた。


「はい、みお。」

「!、ありがと」


そらが今日はアイスコーヒーを差し出してくれた。さすがは幼なじみ。角砂糖一粒に、ミルクを少し。一番みおが好きな味だ。


「明日にはもう帰るんだよね」

「ん。そうだね。だから私もこうして滅多に見れない星空を目に焼き付けて置くんだ。」


みお達の住む街からでも星は見えないわけではないのだが、やはりこちらは空気が澄んでいてとても綺麗に見えるのだ。



「この旅行に来てよかったよ。・・・みおと付き合うことができたし。」

「私も、やっと自分の気持ちに素直になれた。」



「ねえみお・・・。俺の名前、漢字知ってる?」

「ん。知ってるよ。何でも優しく包み込む青い空で、青空そらだよね?」


「うん、正解。」

「じゃあそらは私の漢字知ってる?」


「もちろん。未だ鳴ったことのない音。で

未音みおでしょ?」

「うん。」


「未だ鳴ったことのない音でも」

「青空が包み込めば迷わずに鳴らせるってか?」

「あはは。さすがみお。ビンゴだよ」


2人は見つめ合う。そしてそっと唇を重ねる。触れるだけの短いキス。


「あ、ゴメンそら。」

「ん?なにが?」


「あの・・・実は西森くんにファーストキス奪われちゃったんだよね・・・」

「え?拓哉にキスされたの!?・・・あいつ帰ったらぶっ殺す・・・」


「だから私もファーストキスはそらが良かった」

「ん?ああそれなら問題ないよ。俺たち一回前にキスしたじゃん」

「ええ!?」

「あ、でもあのときはみお寝てたか」


そうあのときとは、そらが始めてみおに対して異性としての感情を抱いた日のことだ。あのあと、そらはみおの寝ている間に唇を奪ったのだ。


「中学の時!?」

「あ、一応謝っとくね。ただあの時から俺はみおのこと好きだったんだよ。」


「そら・・・。私もこれからそらのことずっと好きでいるから。」


日頃はガードが高いみおだが、今は星空のおかげか、素直に話せている。


「ねえみお。もっとみおの音を聞きたいな」

「?どういうこと?」

「みおの未だ鳴ったことのない音、俺に聞かせて?」


「というと?」

「ヤろう。俺と」


「!!、そ、そそそそそ、それは、その、あの行為をですか?」


「うん。」

「!!!」


みおの顔がまるで夕焼けのように赤くなった。

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