第十四話 夏の夜と。
「わーきれい!」
完全に真っ暗になった9時ころに花火を始めた。
まず最初にひとつ、一緒に入っていた噴き出し花火をした。
色が何色にも変わり、暗闇に輝いている。
「次に線香花火!」
「おーし。じゃ誰が一番続くか勝負な」
男子は勝負事好きだなあと思いながらもみおは火をつける。
徐々に強くなっていき、綺麗さも増していく。線香花火のあの独特な匂いもまた風流があって良いものだ。
しかし次の瞬間、風がいきなり強く吹いた。
もちろん全員脱落。
「・・・気を取り直して次いこー!」
「あはは・・・」
しばらくこうして花火を楽しむ。ネズミ花火からガチで逃げ回る真央。花火の火をかけあう秋人とそら。どーでもいいけど、花火は人に向けてはいけないと思う。そして純粋に夏の夜に輝く光に見とれるみお。
あらかた終わったと思った時に、真央がまた何かを持ってくる。
「ジャーン!!今度はコレです!」
今度は少し大きめな筒状花火を何本か持っていた。
「あ、それって小型の打ち上げ花火?」
「そのとーり!」
「でもここじゃ危ないからもっかい海行こーか」
そしてまた徒歩五分。
「じゃー火つけるよ!!」
真央が点火をし、キャ〜と言いながらこちらへ走ってくる。
そして数秒後、夜空にパーンと少し大きめな音と共に花が咲いた。
4、5発終えると真央が少し残念そうな顔をする。
「・・・これで今年の花火大会はお終いです・・・。ねー来年もまた来ようね!」
「でも来年受験だよ?」
「みおっちそういうこと考えちゃうんだからこういう時くらい勉強忘れよーよ」
「真央は四六時中忘れてるけどな」
「むー秋人ひっどーい」
・・・終始真央は元気だった。
花火を終えてみんなでコテージに帰り、順番に風呂を済ませて、みおは割り当てた自室のベランダから空を眺めていた。
「よっす、みおちゃん」
「!秋人君」
「一応ノックしたんだけどなあ」
秋人もみおと並んでベランダに立つ。
「真央は?」
「もう寝ちゃってたよ。まああんだけはしゃいでたし、今日くらいはいいかなって思ってさ」
「真央ってばさっきいきなりお風呂に乱入してきて大変だったんだから」
「はは。楽しいんだよきっと。・・・明日は寝かせないけど」
となりでキランと目を光らす秋人を見て、苦笑しつつまた空を眺める。
「みおちゃん、さっき凄かったね」
「さっき?」
「海で。・・・そらと」
「!!・・・・・・見てたの?」
「悪いけどガッツリ見てました。」
「どーりでタイミングがいいと思ったよ」
夕方、みおがそらに抱きしめられ、そしてそらから離れた瞬間秋人達もやってきたのだ。
「ってことは真央も見てた?」
「Yes」
「うわー最悪」
「みおちゃん、気づいたんだよね」
「・・・うん」
「そっか。いつ伝えるの?」
「・・・次にアレを言われたら」
「アレ?」
「・・・あの悪魔の呪文」
「はは。それか・・・うまく行くよ」
「・・・。」
「じゃ俺もう行くね。あんま外出てると風邪ひいちゃうからほどほどにね」
「うん。おやすみ」
秋人は部屋から出て行く。
「みおっち・・・」
「お、真央。寝たんじゃなかったの?」
次にやってきたのは真央だった。
「うん・・・でもさっき怖い夢見ちゃったから一緒に寝よー」
「あんたは幼稚園児か!」
「もーそれでいいや。おやすみー」
そう言って真央はみおのベットに倒れる様に寝入る。
「もー真央は・・・」
しょうがないと思いながら真央の顔を見つめる。
(一応真央も気つかってくれたんだよね)
柔らかい髪を撫でると真央は少しくすぐったそうに寝返りを打つ。
「私もそろそろ寝るか・・・」
と、その前にトイレに向かう。
トイレに向かうため、途中リビングに寄るとそらがココアを飲みながら椅子に腰掛けていた。
「あ、そら。」
「ん、ああみお。まだ起きてたの?」
「うん、でもこれから寝るよ。その前にちょっとトイレにね」
「そっか。アイスココア飲む?入れるよ」
「あ、じゃお願い。トイレ行ったら戻ってくるよ」
こうも異性の前でトイレ行くことを言えるのもすごいような気はするのだが。やはりそこは二人の長い付き合いがあってこそだろう。
(ふう、にしてもずいぶん恥ずかしいことしちゃったよなあ)
みおは用をすませ、リビングにいく途中、夕方のことを思い出していた。
みおは何も意識せずともあのようなことをしてしまっていたのだから、実際後悔しても仕方ないのだが。
「あ、ありがとう」
みおはそらと向かい合うように座ると、そらがココアを置く。
「ねえみお。来てよかったでしょ?」
「うん。正直悔しいけどだいぶ楽しかった」
「悔しいって、みおは素直じゃないねえ」
「それが私だもん」
「ま、そんなみおも含めて大好きだけど」
「うっざー」
「ひっどー。ねえみお、俺と付き合って」
「うざー。けどいいよ」
「ははは。でもまだ諦めないけ・・・ん?今みおなんて言った?」
みおはグッとココアを飲み干す。
「じゃココアごちそうさま。おやすみー」
そういって部屋を出て行く。
「ええ!ちょ、みお!」
悪魔の呪文・・・それは何度もささやかれた告白のことだった。
「みお!」
「ノックくらいしろ」
「あ、ゴメン。・・・ってそうじゃなくて、みおさっきなんて言った!?」
「ノックくらいしろ」
「そのずっと前!」
「うざー」
「その一つ後!」
「君は二度も言わなきゃ分からないほどバカになっちゃったのかい?」
「ってことは・・・そういうことだよね?」
「そういうことだよ。」
「好きだよみお。」
「私も好きだよそら。」
「!!!・・・やばい鼻血出そう」
「わかったから早く出てけ!私も眠いんだ」
「あ、ゴメン!」
そういってそらは部屋を出て行く。
意外にもあれほど悩んだのに、二つの思いはいとも簡単に繋がった。
(嬉しんだけど、飛び跳ねたいくらいなんだけど、でも・・・みお冷たすぎ!)
そらはドアに寄りかかり一つ息を吐いた。
最近おきにいり数と評価が伸びませんね・・・。どうしたらいいんだろう・・・。




